探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第参拾伍話-都市

都市-4

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「これが9件の捜査資料ですっ!」

 分厚い捜査資料を机の上にドンッと置く絢巡査長。

「すごいね。この資料・・・・・・」
 長四郎はパラパラと、捜査資料をめくる。

「それだけ、犯人が証拠を残しているんです。現場に」

「え、それって、挑戦ってこと?」

「ラモちゃんは、鋭いねぇ~」絢巡査長は賛辞の言葉を送る。

「ありがとうございます」

「さぁ~て、一件目の事件は?」

 一件目の事件は十日前の夜に起った。文京区内で帰宅途中のサラリーマン・九角 角也くすみ すみや 32歳が刺殺された。通り魔的な犯行であった。

 二件目の事件は、その三日後に起きた。これも帰宅途中のサラリーマン・八谷 谷子はちや たにこ 28歳。これまた通り魔的な犯行であった。

 そして、同日の深夜に三件目の事件が発生した。今度はフリーターの七海 海緒ななみ うみお 23歳が刺殺された。そこで、犯人は自身の毛髪を残していった。

 四件目の事件は、三件目の事件から二日後に起った。文京区内のマンションがひしめく住宅街でパート従業員の六宮 宮美ろくみや みやびが刺殺された。

 五件目は同日、深夜に発生した。深夜の買い出し途中の高校生の五味 味津ごみ みつが刺殺された。
 ここでも、犯人の皮膚片が残されていた。

 五件目の事件から三日後に起った。六件目の犯行は通り魔的な犯行で、四本木 四理よほんぎ しり。七件目の事件は同日、三ツ矢 三恵みつや みえ。これも刺殺体となっていた。

 その翌日、八件目は二葉 祐二ふたば ゆうじ、これもまた通り魔的な犯行で刺殺された。そして、同日に九件目の事件は和一 市一かずい かずいちが刺殺された。

「ふ~む。通り魔的な犯行とシリアルキラー的な犯行・・・・・・」
 長四郎は目を通しながら、頭をボリボリと掻く。

「共通点は・・・・・・」燐は9件の全ての事件の共通点を探ろうとする。

「共通点は全ての事件は文京区内で起きているってことだな」

 長四郎が燐よりも先に、発言した。

「そう。それが言いたかったのよ」

「それで、長さんの見解は?」
 絢巡査長は長四郎の見解を伺う。

「う~ん。個人的見解として、個人的見解だよ」と前置きし「犯人は別じゃないのかってことかな?」と告げた。

「あ! 分かった!! 通り魔じゃない方の死体は顔が引きつってる!!」
 燐は嬉々として、長四郎達にその事実を告げる。

「うん、そうだねぇ~」

「そうだねぇ~」

 大人二人は冷ややかな態度で燐の意見をあしらう。

「何、その態度は!?」

 燐はすぐさま長四郎のこめかみをぐりぐり攻撃する。

「痛い! よく分かった! 褒めてる!! 褒めてるから!!!」

「褒めてない!!!」燐はより一層ぐりぐり攻撃の圧を強める。

「はいはい。落ち着いて。落ち着いて」
 絢巡査長のストップが入り、ぐりぐり攻撃は中断される。

 痛むこめかみを抑えながら長四郎は続ける。

「ラモちゃんの指摘通り、通り魔じゃない方の被害者の顔は引きつっている。けど、通り魔の方は引きつっていない。ここが、違う事件ではないかと思う根拠ね。お~ 痛て」

「でも、刺殺という共通点はあるじゃない?」

「よく見なさいよ。通り魔と使っている凶器が違うから」

 そう言われた燐は捜査資料に目をやる。確かに長四郎の言う通りに、凶器が違う。

 通り魔的な犯行で使われている凶器は、サバイバルナイフ。それに対して、顔を引きつらせる方の殺人で使われているのは、医療用器具のメス。

「全然、違う」

「だっしょぉ~ん」

「だっしょぉ~んじゃないよ。で、どうやって、犯人を見つけるの?」

「どうやろうか・・・・・・ 規則的なようで規則的じゃない。悩ましいなぁ~」

「さっさとケリを付けなさいよ。名探偵!!」

 燐は長四郎のバンッと背中を叩いて、気合いを入れさす。

「あ、今、良い事思いついたのに。記憶とんじゃったよ。どうしてくれるの?」

「ど、どうしましょうか?」

 そう聞かれた絢巡査長も困った顔で「ど、どうしましょう?」と答えるしかなかった。
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