11 / 27
第壱話-開始
開始-11
しおりを挟む
翌日の晩
柴取は真希に呼び出され、今はもう使われていない商業ビルの屋上へと来ていた。
周りのビルのネオンしか明かりはなく、真希の姿が見えなかった。
きょろきょろとあたりを見回していると、背中に強い衝撃が走る。
その場に倒れた柴取。
金属パイプを地面に置き、気絶したであろう柴取を引きずり縁まで持っていくとその身体を突き落とそうとする。
その時、強い光が柴取の身に浴びせられた。
「あっ、こいつ!!」自分の手の中にいるのは柴取ではなく新三であった。
「おはぁ~」そうニヤッと笑いながら真希を見ると「う、うわぁぁぁぁ」と新三をその手から離しその場に尻餅をつく。
「さぁ、これはどういうことか? 署の方でよく聞かせて貰いますね」
誠は真希の腕を掴み連行する。
「大丈夫ですか?」そう言いながら新三の元へ近づく愛子。
「愛子ちゃん、愛子ちゃん。眩しい。眩しいい!!」目をやられないように必死で手を隠しながら愛子が持つ強力なライトから目を守ろうとする。
「あ、ごめんなさい」愛子はすぐにライトを消す。
「全く、出てくるの遅すぎ。もう少しで殺される所だったし」
「チっ!!」
「ねぇ、今舌打ちした? したよね?」そう言う新三を無視し、愛子は去っていく。
「もしかして、俺のこと殺そうとした? 殺そうとしたよね? てか、俺先輩。先輩なの。そこ理解している?」
新三は愛子の後を追いながら、その言葉を連呼する。
そして、新三の言葉が虚しく使われていないビルに虚しく木霊するのだった。
警視庁本部の取り調べ室で真希の取り調べは行なわれていた。
真希は柴取いや新三の殺人未遂は認めるものの、大隈殺害については否認をしていた。
取り調べて三日経った今も尚、犯行を認めてはいなかった。
「で、俺にどうしろと?」新三は迷惑そうな顔で助けを求めに事務所へ来た誠を見る。
「そんな事を言わないでくださいよ。元は、小永さんが言いだしたんじゃないですか。真希が犯人だって」誠は頭を抱えて下を向くのに新三はムスッとしながら「だって、犯人なんだもん」とだけ言う。
「でも、凶器からは真希の指紋が検出されたんですよね?」愛子は誠にコーヒーを出しながら質問した。
「それは検出されてはいないんです。ですが、購入履歴はありました」
「その事について本人の言い分は?」
「購入した事実は認めています」誠が伝えると「ふ~ん」とだけ言い眉間に手を当て考え込み始める新三。
「ナイフはどうしたと言っているんですか?」愛子が聞くと『盗まれた』と声を揃えて二人は答える。
「小永さん。どうして、盗まれたって分かったんですか?」愛子は新三に説明を求めると「勘」とだけ答えて誠に出したコーヒーを飲む。
「勘って・・・・・・・」あまりにも適当な回答に呆れている愛子を他所に誠は新三に助言を求める。
「どうしたら良いでしょうか?」
「知らね」と言った瞬間、新三は白目を向き机に顔を載せた。
拳を降ろした愛子は「行きましょう。警察に」と言いながら、失神している新三を引きずりながら事務所を出て行った。
「起きなさい」その声と共に目を開けると目の前に真希が座っていた。
「うわぁぁぁぁ」素っ頓狂な声をあげながら椅子から転げ落ちる。
心配そうに転げ落ちた新三を見下ろす形で真希は「大丈夫ですか?」と声を掛ける。
「大丈夫。大丈夫。あんたに殴られた所は痛むけどね」と言い背中に手を当てながら再び席に着く。
因みに、背中が痛むというのは噓だ。読者の皆様は騙されないように。
では、話に戻ろう。
「それであんた、大隈さんの殺害を認めていないらしいじゃん」新三は本題を切り出した。
「またその話ですか」うんざりとした顔になる真希を無視し、新三は話を続ける。
「で、実のところどうなの? 殺ったんでしょ」
「やっていません!!」
「ふ~ん」
「あの一つ聞いて良いですか?」新三の横で話を聞いていた愛子がここで話に入ってくる。
「何でしょう」
「どうして、柴取さんを殺そうとしたんですか?」
「彼が私を脅迫していたからですよ」
「その証拠は?」
「今、調べて貰っています。ですよね?」
真希は誠に壁に寄り掛かって話を聞いている誠に確認すると「その事についてなんですが」と前置きして結果を報告する。
「そのような事実はありませんでした。それどころか貴方が柴取さんを脅迫していた事実が判明しました」
「そんなのは噓だ!!」
「では、これは何ですか?」
誠は柴取から借りた写真を机に並べる。
「この写真から貴方の指紋が検出されました」
「それはあの宇宙人がやっていたんでしょ」
「ふふっ、宇宙人ね。何で被害者が宇宙人だって知っているんですかぁ~」新三は嫌味ったらしい口調で話す。
「え?」
「いやだから、何で被害者が宇宙人だって知っているか。聞いているの?」
新三が身を乗り出して真希に視線を向ける。
「答えられないですよね。興信所を使って調べましたよね? ウラは取れてますよ」誠は真希を睨み付ける。
「くっ!」
「まぁ~だ、ねば~る君かぁ~ 仕方ない。誠っち、例のアレを」
「はい」誠は取調室から出て何かを取りに行った。
暫くすると、一台のノートパソコンを持って帰ってきた誠はノートパソコンを開き動画再生ソフトを起動させ再生ボタンを押す。
動画が再生されると、そこに映っていたのは凶器を捨てている真希の姿であった。
「これは何でしょうか?」
「そんな馬鹿な!! あそこには防犯カメラはなかった!!!」
「そうですか。無かったですか。だってさ」
「どうして、この場所に防犯カメラがないと思ったんでしょうか? それも明確に」
「偶々、行ったんです」
「え? 真希さんって行く先、行く先で防犯カメラを確かめるんですか?」愛子が追撃をする。
「・・・・・・・・・・・・・・・」余裕がなくなったのか無口になる真希。
「どうしましたか? 真希さん」と誠が言う。
「この状況の説明をして欲しいなぁ~ 俺を襲ったのも含めて」
「畜生ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」机を足でガンガン蹴り上げ、真希は大粒の涙を流し始め悔しがる。
三人はこの光景を見て、落ちた。そう確信した。
柴取は真希に呼び出され、今はもう使われていない商業ビルの屋上へと来ていた。
周りのビルのネオンしか明かりはなく、真希の姿が見えなかった。
きょろきょろとあたりを見回していると、背中に強い衝撃が走る。
その場に倒れた柴取。
金属パイプを地面に置き、気絶したであろう柴取を引きずり縁まで持っていくとその身体を突き落とそうとする。
その時、強い光が柴取の身に浴びせられた。
「あっ、こいつ!!」自分の手の中にいるのは柴取ではなく新三であった。
「おはぁ~」そうニヤッと笑いながら真希を見ると「う、うわぁぁぁぁ」と新三をその手から離しその場に尻餅をつく。
「さぁ、これはどういうことか? 署の方でよく聞かせて貰いますね」
誠は真希の腕を掴み連行する。
「大丈夫ですか?」そう言いながら新三の元へ近づく愛子。
「愛子ちゃん、愛子ちゃん。眩しい。眩しいい!!」目をやられないように必死で手を隠しながら愛子が持つ強力なライトから目を守ろうとする。
「あ、ごめんなさい」愛子はすぐにライトを消す。
「全く、出てくるの遅すぎ。もう少しで殺される所だったし」
「チっ!!」
「ねぇ、今舌打ちした? したよね?」そう言う新三を無視し、愛子は去っていく。
「もしかして、俺のこと殺そうとした? 殺そうとしたよね? てか、俺先輩。先輩なの。そこ理解している?」
新三は愛子の後を追いながら、その言葉を連呼する。
そして、新三の言葉が虚しく使われていないビルに虚しく木霊するのだった。
警視庁本部の取り調べ室で真希の取り調べは行なわれていた。
真希は柴取いや新三の殺人未遂は認めるものの、大隈殺害については否認をしていた。
取り調べて三日経った今も尚、犯行を認めてはいなかった。
「で、俺にどうしろと?」新三は迷惑そうな顔で助けを求めに事務所へ来た誠を見る。
「そんな事を言わないでくださいよ。元は、小永さんが言いだしたんじゃないですか。真希が犯人だって」誠は頭を抱えて下を向くのに新三はムスッとしながら「だって、犯人なんだもん」とだけ言う。
「でも、凶器からは真希の指紋が検出されたんですよね?」愛子は誠にコーヒーを出しながら質問した。
「それは検出されてはいないんです。ですが、購入履歴はありました」
「その事について本人の言い分は?」
「購入した事実は認めています」誠が伝えると「ふ~ん」とだけ言い眉間に手を当て考え込み始める新三。
「ナイフはどうしたと言っているんですか?」愛子が聞くと『盗まれた』と声を揃えて二人は答える。
「小永さん。どうして、盗まれたって分かったんですか?」愛子は新三に説明を求めると「勘」とだけ答えて誠に出したコーヒーを飲む。
「勘って・・・・・・・」あまりにも適当な回答に呆れている愛子を他所に誠は新三に助言を求める。
「どうしたら良いでしょうか?」
「知らね」と言った瞬間、新三は白目を向き机に顔を載せた。
拳を降ろした愛子は「行きましょう。警察に」と言いながら、失神している新三を引きずりながら事務所を出て行った。
「起きなさい」その声と共に目を開けると目の前に真希が座っていた。
「うわぁぁぁぁ」素っ頓狂な声をあげながら椅子から転げ落ちる。
心配そうに転げ落ちた新三を見下ろす形で真希は「大丈夫ですか?」と声を掛ける。
「大丈夫。大丈夫。あんたに殴られた所は痛むけどね」と言い背中に手を当てながら再び席に着く。
因みに、背中が痛むというのは噓だ。読者の皆様は騙されないように。
では、話に戻ろう。
「それであんた、大隈さんの殺害を認めていないらしいじゃん」新三は本題を切り出した。
「またその話ですか」うんざりとした顔になる真希を無視し、新三は話を続ける。
「で、実のところどうなの? 殺ったんでしょ」
「やっていません!!」
「ふ~ん」
「あの一つ聞いて良いですか?」新三の横で話を聞いていた愛子がここで話に入ってくる。
「何でしょう」
「どうして、柴取さんを殺そうとしたんですか?」
「彼が私を脅迫していたからですよ」
「その証拠は?」
「今、調べて貰っています。ですよね?」
真希は誠に壁に寄り掛かって話を聞いている誠に確認すると「その事についてなんですが」と前置きして結果を報告する。
「そのような事実はありませんでした。それどころか貴方が柴取さんを脅迫していた事実が判明しました」
「そんなのは噓だ!!」
「では、これは何ですか?」
誠は柴取から借りた写真を机に並べる。
「この写真から貴方の指紋が検出されました」
「それはあの宇宙人がやっていたんでしょ」
「ふふっ、宇宙人ね。何で被害者が宇宙人だって知っているんですかぁ~」新三は嫌味ったらしい口調で話す。
「え?」
「いやだから、何で被害者が宇宙人だって知っているか。聞いているの?」
新三が身を乗り出して真希に視線を向ける。
「答えられないですよね。興信所を使って調べましたよね? ウラは取れてますよ」誠は真希を睨み付ける。
「くっ!」
「まぁ~だ、ねば~る君かぁ~ 仕方ない。誠っち、例のアレを」
「はい」誠は取調室から出て何かを取りに行った。
暫くすると、一台のノートパソコンを持って帰ってきた誠はノートパソコンを開き動画再生ソフトを起動させ再生ボタンを押す。
動画が再生されると、そこに映っていたのは凶器を捨てている真希の姿であった。
「これは何でしょうか?」
「そんな馬鹿な!! あそこには防犯カメラはなかった!!!」
「そうですか。無かったですか。だってさ」
「どうして、この場所に防犯カメラがないと思ったんでしょうか? それも明確に」
「偶々、行ったんです」
「え? 真希さんって行く先、行く先で防犯カメラを確かめるんですか?」愛子が追撃をする。
「・・・・・・・・・・・・・・・」余裕がなくなったのか無口になる真希。
「どうしましたか? 真希さん」と誠が言う。
「この状況の説明をして欲しいなぁ~ 俺を襲ったのも含めて」
「畜生ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」机を足でガンガン蹴り上げ、真希は大粒の涙を流し始め悔しがる。
三人はこの光景を見て、落ちた。そう確信した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる