Detectiveは宇宙人

飛鳥 進

文字の大きさ
24 / 27
第弐話-酸素

酸素-12

しおりを挟む
 翌朝、車内の後部座席で目を覚ました新三。
「あれ、ここは?」
「パトカーの中ですよ」誠はそう答えながらスポーツドリンクを新三に渡す。
「Thanks」新三は礼を言いながら受け取り、早速飲み始める。
 ごきゅごきゅと音を立てながらあっという間に飲み干す。
「どう? 動きあった?」
「いえ、特には」
「そうか・・・・・・」新三は再び後部座席に寝転がる。
「それで、昨日の成果はどうでしたか?」
「どうって、愛子ちゃんから聞いてないの?」
「ホルモン焼きを食べてここに来たとだけしか」
「ったく、しょうがないな。はい、これ」
 新三はおやっさんから貰った鑑識結果の書かれた紙を渡す。
「これで酸部がオキシジェン星人だという事が判明しましたね」誠はさっと目を通した上で発言する。
「そうだな」どこか不満げな新三に「何か、ありましたか?」と誠は質問する。
「なんか、自分の犯行を誇張している気がしてな」
「今までの犯行は違うんですか?」
「流石にそこまでは分からないけど。妙な自信というか、何というか」
「気になる事があると?」その一言に頷く新三。
 そうしていると酸部がマンションから出て来た。
「あ、出てきました」誠はエンジンを掛けて尾行の準備を始める。
 酸部はタクシーを呼んでいたらしく、マンションを出たタイミングで来たタクシーに乗り込みどこかへ走り出した。
「追いかけます」誠にそう言われ新三がシートベルトを締めると覆面パトカーは走り出した。
「何処に向かうんでしょうか?」
「さぁね」
 誠の疑問に素っ気なく答える新三を乗せた覆面パトカーはお台場方面へと向かう。
 タクシーはお台場海浜公園前に停車し、酸部を降ろす。
 酸部はそのままお台場海浜公園に入っていく。
「なぁ、まさかだとは思うけどあいつここで大勢の人間を殺るんじゃない?」
「ま、まさか」顔を引きつらせる誠は大慌てで駐車場を探す。
 そして、先に新三が車を降り、酸部を尾行し始める。
 公園内を一人闊歩する酸部の真後ろを歩いていく新三。
 その距離なんと0m。
「何です? 私に用ですか?」新三の方を振り向くと同時に話し掛ける。
「はい。オキシジェン星人さんに用です」
「オキシジェン星人?」
「またまたぁ~」
「あなた、頭おかしいんじゃないですか?」
「そうすね。でも、人殺しをするようなアタオカはないですよ」
 その一言に眉をピクリと動かす酸部に話し続ける新三。
「もう率直に言いましょう。あんたが一連の酸欠事件の犯人だ」
「何、訳の分からないこと言っているんだ? あんた」
「それだったら、警察でも呼べばいいじゃん。変な奴に絡まれてますって」
「ああ、そうさせて貰う」
 酸部はスマホを出して警察に通報しようと手を動かし始めるのだが、何かに気が付いたのか途中で止めるのだった。
「あれ、どうしましたか?」
「な、何でもない」
「変ですね。何故、警察を呼ぶのを止めるんでしょうか? もしかして、相手にしてもらえないと思ったんですか? でしたら、こちらを」
 新三は愛子が亜宇を尾行している際に、撮影した写真を見せる。
 愛子が撮影するカメラに目線を向け笑顔で写っている酸部の写真であった。勿論、隣には亜宇が写っている。
「先に言っておきますけど、あなたの隣に写っている女性は関係ありませんよ。それでこの写真から察するにオキシジェン星人さんは尾行されているのに気づいていますよね?」
「そんな事はない。尾行にすら気づいていなかった」
「それはどうすかね。ほら」
 新三は次々とカメラ目線の写真を出して見せていく。
 その度に酸部の顔が青ざめていくのだった。
「悪趣味だな。こんなの偶々、撮れただけだろ」
「そう思うんだったら、早く警察に通報すれば良いじゃないですか。何か不都合なことでも?」
 一向に手を動かそうとしない酸部に厭味ったらしく言う新三。
「そ、それは・・・・・・・」
「それはぁ~」酸部の言葉を復唱する新三。
 すると酸部は深く息を吸い始めた。
「ま、まずい!」
 新は慌てて止めようとするが、時すでに遅しといった所で酸部は息を吐き出す段階までに来ていた。
 周囲には子供連れの家族やカップル、ランニング中の人間などがひしめき合っている。
 こんな所で深呼吸されたら何人の人間が死ぬのか。そんな事はさせまいと新三は酸部に掴みかかろうとするが物凄い力で首を絞められ身動き取れなくなる。
 そして、酸部の口が息を吐き出す瞬間に差し掛かった時、「小永さんを離せ! コノヤロォォォォ!!!」その怒号と共に愛子の飛び蹴りが酸部に直撃した。
 息を吐き出す間もない酸部は華麗に吹っ飛び地面に倒れ込むと同時に、誠が酸部を確保する。
「離せっ!! 離せぇぇぇぇぇ!!!」ジタバタと暴れ回る酸部の手に「公務執行妨害の容疑で逮捕する」と当たり前の文言で酸部を逮捕する。
「大丈夫ですか? 小永さん」
 愛子は新三に近づきながら状態を確認する。
「ああ、大丈夫。助かったよ」
「全く、もう少し遅かったら大勢死んでましたよ」
「面目ない。にしても、愛子ちゃんここが分かったね」
「小永さんのスマホにGPSを仕込んでいるので」
「えっ! マジ!?」
「マジです」
 そう会話する新三と愛子は誠に連行される酸部を見送るのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。

処理中です...