Detectiveは宇宙人

飛鳥 進

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第弐話-酸素

酸素-13

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 それから一週間の時が流れた。
 酸部は自供していないようで、誠もかなり手こずっていると社長の史から教えられた愛子。
 居ても立っても居られないので、何か協力できないかと例の宇宙人商店街へ新三を伴って訪れた。
「さ、事件解決の為にどうすれば良いんですか?」
 愛子は、隣で嫌な顔をしながら某立ちしている新三に尋ねる。
「どうすればって・・・・・・・」困り顔で返答する新三の手を取り歩き出す愛子。
「どこに行くのよ」
「おやっさんの所です」
 愛子は例の八百屋へと向かう。
「おやっさぁぁぁん!」愛子は店先で名前を呼ぶが新三の時と同じく反応がない。
 仕方ないのでもう一度「おやっさぁぁぁん!!」と叫ぶ。
「愛子ちゃん、無駄、無駄」
 新三は一人中に入って行くので、愛子もその後を追う。
「お邪魔しまぁ~す」申し訳なそうに愛子は小声で言いながら、新三について行く。
「あ、居た」
 新三が指を指す先に、おやっさんは居た。
 ヘッドホンをつけ踊り狂っていた。
 新三はおやっさんに気づかれないように近づき、ヘッドホンを取り上げると耳元で「わぁ!!」と大声を出す。
 その瞬間、おやっさんの体は驚きのあまりその体は宙を舞った。
「お、驚かすなよぉ~」情けない声を出しながら新三達を見る。
「申し訳ない。愛子ちゃんがやれって言うから」
「私は何も!」愛子は無実を訴える。
「そんな事より何しに来たの?」
「実はさ、愛子ちゃんがおやっさんの力を借りたいんだって」
「ほう」
 おやっさんは普段使用しているであろう座布団に腰を下ろしながら、愛子を大きな瞳で見つめる。
「実はオキシジェン星人の事なんですけど」
「ああ、捕まったらしいね」
「そうなんですけど。自分の犯行だと自供しないそうなんです」
「ふ~ん」どうでもいいといった感じの返事をしながらおやっさんは愛子の話を聞く。
「それで何かあの男を自白に持っていける証拠のようなものはないかなと思いまして・・・・・・」迷子の犬のような目で愛子は、おやっさんを口説き落そうとする。
「そ、そう言われてもなぁ」少し照れ気味に頭を働かせ始める。
「愛子ちゃん、前にも言ったかもだけど宇宙警察と警視庁は仲が悪いからここで得た証拠は役に立たないんだよ」
「そんな事は分かった上で来ているんです!」
 新三もまさか怒られるとは思わず「すいません」と謝りお茶がないことに気づきそそくさとキッチンへと移動した。
「で、どうです? おやっさん」
「う~ん」おやっさんは腕を組み考え込んでしまう。
 愛子の中に少し諦めムードが漂い始めたその時、「そのおっさんに聞いても意味ないで」と声が聞こえたので振り向くとホルモン焼き屋の女の子がいた。
「あ、署長!!」おやっさんはスッと立ち上がり女の子に敬礼する。
「改めて自己紹介や。ウチ、こういうもんやねん」
 戸惑う愛子に自分の名刺を渡す。
 そこには、宇宙警察日本支部署長 越智本 竹えちもと たけと書かれていた。
「どうも」愛子もまた自分の名刺を竹に渡した。
「それで、ウチらにどうして欲しいの?」
 竹にそう聞かれ再度、事情説明をした。
「成程な。こりゃ難題や」
「そうなんですか?」
「はい、お茶入りましたよぉ~」
 三人分のお茶が載ったお盆を持って新三が戻ってきた。
 新三が愛子、おやっさんの分とお茶を置いていき自分の手元にお茶を置こうとした時、そのお茶を竹に取られる。
「あ、それ、俺のお茶」
「あん? なんか文句あるんか?」
「いえ、ありません」悲しそうに新三は再びキッチンへと引っ込んでいった。
 それから暫くの間沈黙が流れる。
 その間、ずずずっと竹がお茶をすする音だけが部屋に響き渡る。
「やっぱり、あれしかないかなぁ~」
 ここで頬杖をついている竹が口を開いた。
「あれと言うのは?」
「ウチんとこで身柄を引き取って、取り調べするしかないかなぁ~」
「それ以外の方法はないんですか?」
「それ以外って、おねぇはん。なんで、ウチらが立件したらあかんの?」
「それは好きな刑事の手柄にしたいからだよ」新三が戻ってくると同時に竹の疑問に答える。
「な、何言っているんですか!!」顔を真っ赤にして否定する愛子を見て「そうなんや~ なら、この手は使えんなぁ~」ニタニタと笑いながら竹は愛子を見る。
「と、取り敢えず、知恵をお貸しください。お願いします」愛子は頭を下げる。
 そこから四人顔を突き合わせて色々な案を出す。
 対宇宙人拷問器具を使って自供させる。お袋さん落としをする。そう言った案を出しあうのだがこれといった案が出ず頭を抱える四人組。
「あ! 一番初歩的な物を忘れていた!!」
 新三が何かを閃いたらしく大きな声を出す。
「それは一体なんや」
 竹の言葉に賛同するようにおやっさんと愛子は頷く。
「ほら、検出された物質だよ。あれから酸部のDNAって検出出来ないの?」
「確かできたはず」とおやっさん。
「じゃあ」愛子の顔に笑みが生まれる。
「ちょい待ち。それが出来たとしてもこの国の警察がそれを良しとするとは思えんわ」
「だ・か・らこその俺達。俺達やったらその物質が検出できる機械を使って調査しましたぁで提供できるからな」
「小永さん、何で最初にそれを言わないんですか」愛子は何をいまさらといった顔で新三を見る。
「今、思いついたんだから仕方ないよね。署長」
「そうやなぁ~ 何にせよ。これで事件解決や」
「そんなんで良いんですか?」
「まぁ、それしか手がないからな。よし、その機械を貸してください」
「はいよ」おやっさんはその機械を取りに行く。
「貸すんやない。売るんや」
「売る? お幾らで?」
 新三のその言葉に竹は近くに置いてあったそろばんをはじいて計算する。
「ざっと、150万っていう所やな」
「150万!?」新三は卒倒する。
「分かりました。背に腹は代えられません。ローンを組んでも私が払います」
「おねぇはん、見かけによらず根性あるな。よっしゃ! おもろいこと教えてあげるわ」
 新三に聞かれないよう竹は愛子に何かを耳打ちする。
「な、分かった?」と聞かれた愛子は「は、はい」と不敵な笑みを浮かべる。
「はい、これが検出器です」
 円卓のちゃぶ台にその機械を置いたおやっさんはその流れで、愛子に機械の操作方法をレクチャーする。
「理解しました。じゃあ、早速使わせてもらいます」
「うん、そうしてや~」
「帰りますよ。小永さん」
「あ、はい」
 足蹴で起こされた新三はそう返事して愛子について行く形で警視庁へと場所を移すのだった。
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