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第2章・のんびりまったりスローライフ?
スタイリッシュ・アーマーの店主②
しおりを挟む「それでさ、ジュニアス王子が自分こそが現世のルリアルーク王であるって宣言する、その日に纏う衣装を、王都オブリ―ルとこの商都ビジードの商人ギルドに作らせて、出来を競い合わせる事になったんだ。それで、このビジードの商人ギルドから、アタシにその衣装を作れっていう依頼が来たわけよ」
だけど、その依頼を受けても、リュシーさんはなかなかやる気が出なかったのだという。
その理由は、リュシーさんがジュニアスの事を良く思っていないかららしい。
今、ほとんどの冒険者たちが、ジュニアスを現世のルリアルーク王だと信じて浮かれているけど、一部の人間のジュニアスの評価は、かなり低いものなのだそうだ。
「商人ギルドのギルドマスターから頼まれはしたものの、やる気も出なけりゃ、全くデザインが思い浮かばなくてさ。時間だけが過ぎていくし、もう断っちゃった方がいいかもって思ってたんだよ。そうしたら、アタシの目の前に、アンタが現れた。アンタを見た瞬間、今まで全く思い浮かばなかったデザインが、思い浮かんできてさ! だから、ねぇ、お願い! ちょっとでいいから、付き合ってよ! 体に布を当てさせてくれるだけでもいいからさ!」
「断る! 絶対、嫌だ!」
「何でだよ! いいじゃん、ここまで来てくれたんだから、ちょっとだけでいいから付き合ってよ!」
「悪いが、絶対に嫌だ!」
ここまで来てユリウスが嫌だと譲らないのは、ジュニアスのための服だから、だろうなぁ。
ユリウス、ジュニアスの事、大っ嫌いだからなぁ。
ルリアルーク王の役をジュニアスに押し付けようって言ったけれど、それとこれとはまた別の話だ。
これは申し訳ないけど、リュシーさんには諦めてもらうしかないと思う。
でもなぁ~、私の意見としては、すっごく見たいんだよねぇ。
だってルリアルーク王のための衣装って、絶対に豪華でカッコいいと思うから。
そんなユリウスを見てみたいって思うんだよねぇ。
「ユリウス、私、見てみたいなぁ~。駄目、かなぁ?」
上目遣いで見つめると、「ちょっとオリエ!」と、ユリウスはものすごく困った顔をした。
「オリエ、君なら俺の気持ち、わかるだろう? 勘弁してくれよ!」
「ごめん、ユリウス……わかる……ユリウスの気持ち、ちゃんとわかってるんだよ? でもね、きっとカッコいい衣装だろうな~って思って……そうしたら、カッコ良く着飾ったユリウスを見てみたいな~って思っちゃってね~」
ユリウスはシンプルな服が好みだから、着飾る事なんて、滅多にないと思うんだよね。
だから余計に、見てみたいなぁって思うんだ。
ルリアルーク王の衣装を着た、ユリウスの姿を。
「あぁ、もう……」
深いため息をついて、仕方ないな、とユリウスが言う。
「やったぁ! お嬢ちゃん、えと、オリエちゃんだっけ? ありがとう!」
「いえ、私だって見てみたかったんです! 見学させてくださいね!」
「もちろんだよ! いろいろと感想を聞かせてほしい!」
私とリュシーさんは、互いに喜びハイタッチをした。
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