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第3章・冒険者デビュー
再び商都ビジードへ②
しおりを挟む私とユリウスとサーチートは、テレポートの呪文で、商都ビジードまで歩いて三十分くらいの、人気のない草原へと降り立った。
この間、商都ビジードからシルヴィーク村に戻る時も、このあたりからテレポートの呪文を使ったんだけど、その理由は目立つからだ。
このテレポートの呪文は便利だけど、使える人はあまり居ないらしいからね。
ただでさえ目立つユリウスがこの呪文で移動すると、さらに目立つ事になってしまうので、緊急事態の時以外は、なるべく人目に付かないように使おうという事にしたのだ。
「あ、薬草だ」
商都ビジードの周りの草原には、雑草に紛れて、いろんな草花が生えていた。
見つけた薬草や毒消し草を摘んで、アイテムボックスに放り込む。
ポーション作りには、薬草はいくらあっても足りないからなぁ。
シルヴィーク村に戻ってから、ユリウスは狩りに、私は冒険者ギルドに買い取ってもらうためのポーション作りにと、結構忙しかった。
今回は、下級ポーションを二十本と中級ポーションを十本作って持ってきた。
今まであまり意識せずに作っていたのが上級から特級だったから、下級や中級のポーションってどうやって作るんだろうと思ってたんだけど、薬草の量を変えるだけで作る事ができた。
でもアルバトスさん曰く、普通はそんなに簡単に作れないらしいので、私の聖女の力が影響しているのではないかという事だった。
聖女パワー、便利だなぁ。
でも、誰かの役に立てる力なら、どんどん使わなきゃだよね。
今回は、ポーション大量生産のために、ビジードでポーション用の小瓶を大量に買い込もうと思ってる。
そして、どんどん作って、冒険者ギルドに持って行くのだ。
薬草を摘みながらてくてく歩いて、商都ビジードに入場するための列に並ぶ。
そして私たちの番になった時に、門番の人に前回と同じようにギルドカードを見せると、呼び止められてしまった。
門番の人は私とユリウスのギルドカードを見て少し黙り込むと、言った。
「あんたら、カードの本登録をしないと駄目だぜ。この間来た時に、してなかったんだな」
「え?」
どういう事だろうと、私とユリウスが首を傾げると、門番の人は、私とユリウスのカードは仮登録の状態なのだと教えてくれた。
冒険者ギルドのカードは、身分証明書替わりに小さな街や村で冒険者ギルドのカードを作る事ができるが、本登録は冒険者ギルドで行わなければならないのだそうだ。
「ちょうどあんたたちの事を、冒険者ギルドのギルドマスターが探していたから、カードの本登録もしてもらえばいい」
「わ、わかった……ありがとう」
門番の人にお礼を言って、私とユリウスはまず冒険者ギルドへと向かう事にした。
だけど、冒険者ギルドのギルドマスターのゴムレスさんが私たちを探している?
何かあったのかな?
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