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それについては黙っておいて
五段坂君の話(#3)
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「今日もなでなでとんとんして欲しいのか?」
「おう!なでとんヨロ!」
「俺のテクにめろめろだな!」
「おう!テクめろ!」
西国がニコニコしている。
俺もニコニコしてしまう。
また一緒に寝てくれ!とは、
言えなかったが、察してくれた。
引かれなかったのも嬉しい。
「今日もジャージ貸してやる。」
「ビバ!ジャージ!でもよ、毎回借りるのもわりーから、今度俺のを持ってくるわ。五段坂んちに置かしといて。」
「いいのか?」
「それ俺のセリフじゃね?置かしといてもらっていいのか?って。」
「西国の物なら、なんだって置くから!」
「かわいいこと言ってくれるじゃねーか!」
「どんどん置いてにゃん!」
「それはないわ…。」
思いっきり引かれた。
にゃんにゃんは自粛しよう。
「俺、もう風呂入ったけど、西国は?」
「シャワー済ませてきた。」
「じゃあ、寝よ寝よ!はやく!はやく!」
「わくわくしすぎ!わんぱくかっ!」
だって、一刻も早く
甘やかされたいから。
どっちかと言えば、
甘やかす方だったのにな。
まじ西国マジック。
「そんなに強くホールドされたら、なでなでできねーじゃん。」
「わりー。こんなもん?」
「そんなもん。」
あー…。
これこれ。
すでに寝そう。
「五段坂、首元、ふんすふんすしすぎ。」
「だって、なんとなく落ち着く。いいにおい。」
「くちびる当てんなよ!その辺しっとりしてきたわ。」
「だって、西国の肌が気持ち良い。舐めてねーからいいじゃん。」
「俺、寛容すぎねー?」
「西国氏を第一次五段坂内閣、寛容大臣に任命するわ。」
「なにそれ。着任辞退していい?」
「だめ!」
あー…。
もう寝そう。
寝るだけじゃいかん、のに。
距離をもっと縮めたい、のに。
「おー。むにゃむにゃしてきたな。よし、とんとんに切り替えるか。」
とんとん、とくとく。
背中と耳で、
癒しのリズムを味わいながら、
俺は……。
「五段坂、おやすみ。俺も眠るよ。」
おぼろげに、
西国が出ていくのがわかった。
今朝もバイトか。
一人、起床して、
ちょびっと落ち込む。
こうなったら、
家長師匠に弟子入りだ!
「なんだ、話って?」
「師匠!男を落とす技をご教授下さい!」
「師匠じゃねーし。身に覚えのないこと言われてっし。」
「あの何事にも無頓着な雨崎を落としただろ!あれを技と言わず、何と言う!」
「え?!」
講義終わりが被った家長を捕まえ、
俺の家まで一緒に帰ってきた。
「雨崎とか技とか、さっぱりわからん。」
「あ~。家長が健気くんってこと、なんとなくわかっちゃったんだよね。」
「まじか!」
「西国と大社にはバレてないと思うけど。あいつらには黙っておくからさ、俺を助けてくれよ!」
「助けろって。技なんてねーぞ。しかも、お前にはすでに貸しがある。貸しっぱなしってのもな。」
「あ~。俺が原因でたっぷりお仕置きされちゃったこと?」
「軽く死んだし!ちゃぷちゃぷと三途の川が流れて見えたわ。」
「良すぎて軽く昇天した後、風呂に入れてもらったの間違いじゃね?いいじゃん、恋人同士になれたんだから。俺だって一役買ったと思うし?」
「クソッ!言い返せねー。」
「だろ?」
師匠、チョロい。
こういうのも
雨崎のやつ、
かわいく思ってんだろうな。
「G君にまた一緒に寝てもらったんだ。ちょっとエッチィこともしようと思ってたんだが、G君の寝かしつけテクを前に、俺の欲望は脆くも崩れ去った。おかげさまで朝までぐっすりだ!」
「五段坂、チョロいな。」
「師匠には言われたくない!」
「なんでだよ。なにを焦ってるのかわかんねーけど、それでいいんじゃね?初めて他のやつと一緒に寝れたんだろ?それ以上贅沢言ったら、すべてがパアになるぞ。」
「すべてがパア?」
「それ以上望んだら、お前とそいつの関係が終わるんじゃないかってこと。五段坂が抱かれる方になりたいのはわかるが、むこうがすんなり抱く方になってくれると思ってんのか?」
「それは…。思ってないけど…。でも、頼んだら…。」
「そこの壁って、思っている以上に越え難いぞ。男女の話じゃねーんだ。添い寝してくれるだけでも有り難いと思え。頼んで拒まれたらどうする?最高に気まずくならねーか?その後、今までどおり接していけるのか?」
「う…。無理かも。」
「得るか無くすか、どっちかだ。前回はお前がそれでいいなら、なにも言わねーよって言ったけど、今回はあえて言わせてもらった。」
「無くすのはやだ!うぅ…。師匠きびちぃ。」
「むこうが引くようなことばっかやんなよ。まじで友達無くすぞ。」
「う…。じゃあさ、師匠はどうやって、そこの壁を越えられたんだ?」
「人に言えるような内容じゃねーよ。」
「引かないから教えてくれよ!」
「引く引かないの次元じゃねーから!」
その後も粘ったが、
教えてはくれなかった。
「おう!なでとんヨロ!」
「俺のテクにめろめろだな!」
「おう!テクめろ!」
西国がニコニコしている。
俺もニコニコしてしまう。
また一緒に寝てくれ!とは、
言えなかったが、察してくれた。
引かれなかったのも嬉しい。
「今日もジャージ貸してやる。」
「ビバ!ジャージ!でもよ、毎回借りるのもわりーから、今度俺のを持ってくるわ。五段坂んちに置かしといて。」
「いいのか?」
「それ俺のセリフじゃね?置かしといてもらっていいのか?って。」
「西国の物なら、なんだって置くから!」
「かわいいこと言ってくれるじゃねーか!」
「どんどん置いてにゃん!」
「それはないわ…。」
思いっきり引かれた。
にゃんにゃんは自粛しよう。
「俺、もう風呂入ったけど、西国は?」
「シャワー済ませてきた。」
「じゃあ、寝よ寝よ!はやく!はやく!」
「わくわくしすぎ!わんぱくかっ!」
だって、一刻も早く
甘やかされたいから。
どっちかと言えば、
甘やかす方だったのにな。
まじ西国マジック。
「そんなに強くホールドされたら、なでなでできねーじゃん。」
「わりー。こんなもん?」
「そんなもん。」
あー…。
これこれ。
すでに寝そう。
「五段坂、首元、ふんすふんすしすぎ。」
「だって、なんとなく落ち着く。いいにおい。」
「くちびる当てんなよ!その辺しっとりしてきたわ。」
「だって、西国の肌が気持ち良い。舐めてねーからいいじゃん。」
「俺、寛容すぎねー?」
「西国氏を第一次五段坂内閣、寛容大臣に任命するわ。」
「なにそれ。着任辞退していい?」
「だめ!」
あー…。
もう寝そう。
寝るだけじゃいかん、のに。
距離をもっと縮めたい、のに。
「おー。むにゃむにゃしてきたな。よし、とんとんに切り替えるか。」
とんとん、とくとく。
背中と耳で、
癒しのリズムを味わいながら、
俺は……。
「五段坂、おやすみ。俺も眠るよ。」
おぼろげに、
西国が出ていくのがわかった。
今朝もバイトか。
一人、起床して、
ちょびっと落ち込む。
こうなったら、
家長師匠に弟子入りだ!
「なんだ、話って?」
「師匠!男を落とす技をご教授下さい!」
「師匠じゃねーし。身に覚えのないこと言われてっし。」
「あの何事にも無頓着な雨崎を落としただろ!あれを技と言わず、何と言う!」
「え?!」
講義終わりが被った家長を捕まえ、
俺の家まで一緒に帰ってきた。
「雨崎とか技とか、さっぱりわからん。」
「あ~。家長が健気くんってこと、なんとなくわかっちゃったんだよね。」
「まじか!」
「西国と大社にはバレてないと思うけど。あいつらには黙っておくからさ、俺を助けてくれよ!」
「助けろって。技なんてねーぞ。しかも、お前にはすでに貸しがある。貸しっぱなしってのもな。」
「あ~。俺が原因でたっぷりお仕置きされちゃったこと?」
「軽く死んだし!ちゃぷちゃぷと三途の川が流れて見えたわ。」
「良すぎて軽く昇天した後、風呂に入れてもらったの間違いじゃね?いいじゃん、恋人同士になれたんだから。俺だって一役買ったと思うし?」
「クソッ!言い返せねー。」
「だろ?」
師匠、チョロい。
こういうのも
雨崎のやつ、
かわいく思ってんだろうな。
「G君にまた一緒に寝てもらったんだ。ちょっとエッチィこともしようと思ってたんだが、G君の寝かしつけテクを前に、俺の欲望は脆くも崩れ去った。おかげさまで朝までぐっすりだ!」
「五段坂、チョロいな。」
「師匠には言われたくない!」
「なんでだよ。なにを焦ってるのかわかんねーけど、それでいいんじゃね?初めて他のやつと一緒に寝れたんだろ?それ以上贅沢言ったら、すべてがパアになるぞ。」
「すべてがパア?」
「それ以上望んだら、お前とそいつの関係が終わるんじゃないかってこと。五段坂が抱かれる方になりたいのはわかるが、むこうがすんなり抱く方になってくれると思ってんのか?」
「それは…。思ってないけど…。でも、頼んだら…。」
「そこの壁って、思っている以上に越え難いぞ。男女の話じゃねーんだ。添い寝してくれるだけでも有り難いと思え。頼んで拒まれたらどうする?最高に気まずくならねーか?その後、今までどおり接していけるのか?」
「う…。無理かも。」
「得るか無くすか、どっちかだ。前回はお前がそれでいいなら、なにも言わねーよって言ったけど、今回はあえて言わせてもらった。」
「無くすのはやだ!うぅ…。師匠きびちぃ。」
「むこうが引くようなことばっかやんなよ。まじで友達無くすぞ。」
「う…。じゃあさ、師匠はどうやって、そこの壁を越えられたんだ?」
「人に言えるような内容じゃねーよ。」
「引かないから教えてくれよ!」
「引く引かないの次元じゃねーから!」
その後も粘ったが、
教えてはくれなかった。
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