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ふらふらの由良川と、酔い潰された高條
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金曜日が来てしまった。
朝起きると、首謀者から「今日はよろしく!」と、ハートを抱えたラブリーなネコのスタンプと一緒に、メッセージが入っていた。あいつが使うと、キモい。全くもって、よろしくしたくない。
引き受けた後に気づいたけど、今日の金曜日に限って、バイトが休みだった。由良川は、そこまでチェック済みだったんだろう。抜かりのないやつめ。
夕方まで講義を受けた後、荷物を置きに一度アパートに帰った。夕飯は外で食べて、由良川に請求してやろうか。それ位のおいしい思いをしてもいいはずだ。
あ、ちょっとでも、女の子っぽい色の服に、着替えて行った方がいいのか?あー、でも、ヅラで隠れるから、服の色は関係ないのか?
酔っ払って、寝こけている見ず知らずの男相手に、そこまで気を遣う必要はないかと思ったが、一瞬でも、添い寝みたいなポーズをするなら、汗臭くない方がいい。迷ったけど、風呂に入るついでに、着替えもすることにした。どうせなら、歯磨きもしておきたい。
外食をあきらめ、簡単に夕飯を食べた後、いつもより気合いを入れて、身支度してしまった。
高條ってやつは、根が真面目だと、由良川が言っていたけど、俺は真面目な上に几帳面だ。どんなことでも、引き受けたからには、最後まできちんとやりたい。
駅前をぶらぶらして待っていたが、21時半を過ぎても、由良川から連絡が来ない。中止ならそれで構わない。むしろ中止がいいけど、一応は確認してから帰るか。無料通話機能で、由良川を呼び出す。
「はいは~い!!!もう、ラブホまえにいる~!!!はやくきてくれ~!!!」
なかなか出なくて、通話をキャンセルしようと思った時に、めちゃくちゃでかい声で、由良川が出た。相当、酔っ払ってるんじゃないのか?
ラブホ前と言われても、そのラブホがどこなのか教えてもらっていない。なんとかホテル名を聞き出し、検索結果を見ながらその場所へ向かう。
「よ~!!!さいはら、ごくろ~さん!!!」
「声がでかいよ。ちょっと抑えろ」
「へへ。たかじょ~、おもったより、さけがちゅよくて、おれも、こんなんなっちゃった~!」
「高篠は?」
「ふふ。うしろでねてる~!」
ラブホ前の道端で、座り込んでいる由良川の背後に、男が丸まって寝転がっている。2人とも、よくここまで来られたな…。古めかしい外観のラブホで、周囲に人気が少なくてよかった。
とりあえず、由良川の手を引っぱって立たせる。ふらふらしていて、すごく危なっかしい。こいつがまた座り込んでしまわないうちに、高篠をどうにかしたかったが、寝ている状態から起き上がらせるのは、容易じゃなかった。
「はあ、クッソ重い。おい、由良川、立て!中に入るんだろ!」
「へへ。そうだった!よいしょっと~!」
自分よりでかい高篠をおぶりながら、ふらふら歩く由良川の手を引いて中に入った。早く部屋に行かないと、俺の体力がやばい。
部屋のパネルの、明かりがついている箇所のボタンを、手早く押すと、ジーッ、カシャッという音がして、部屋番号が印字されたレシートみたいなのが出てきた。
ラブホなんて初めて入るけど、ボタンを押した部屋を利用するってことで、合っているだろう。
「ふふ。ジーッ、カシャッ!かぎいらず~!」
「鍵はいらないのか?由良川、その紙を取ってくれ。エレベーターで3階まで行くからな」
「まかせろ~!ふふふ。エレベーターがせまくて、うける~!ふふふ。」
たしかに狭い。男3人でぎゅうぎゅうだった。ふふふ…と笑い続ける由良川が不気味だし、酒臭さが充満して、俺まで酔いそうだ。それでも、階段じゃなかっただけマシかと思った。
部屋番号が点滅している扉の前に着くと、由良川がふらふらしながらも、がチャッと開けてくれた。鍵いらずとは、鍵がかかっていないってことだったのか。
外観とエレベーターの割に、室内はきれいだった。最後の力を振り絞って、ベッドまで突進する。
高篠をベッドの上に乱暴に転がしてしまったけど、そんな扱いにも起きる気配はなかった。ベッドの端に腰をかけ、大きな荷物を下ろした後の脱力感に耐える。
「さいはら、のどがかわいた~!みずくれよ~!」
一人掛けのソファに、どっかりと座っている由良川に、はっきりと殺意を覚えた。いやいやいや、相手は酔っ払いだ。平常心を保たなければ、余計やっかいなことになる。
小さめの冷蔵庫に「ミネラルウォーター無料です!」と、POPが貼り付けてあったので、一本取り出して由良川に渡す。
「さっさっと済ませるからな。ヅラは?」
「づら~?いざかやで、だれかがつけてたわ~!」
「まじかよ…。居酒屋で出しちゃったのか?」
「だって~!さけのしぇきで、おとこがかぶったら、もりあがるじゃ~ん!」
「ここで使う予定だっただろ?…もういいよ。このままで撮る」
「さいはらは、かみがしゃらしゃらだし、みじかくないから、ぜんぜんいけるよ~!」
伸びてきて、うざったくなってきたところだった。明日もバイトが休みだし、髪を切りに行くか。カット代は、由良川に請求してやろう。
「事後っていう設定だよな?高篠の上半身を裸にしてから写す?」
「さいはら、やるきまんま~ん!ぜんらにしちゃえ~!」
「しないから!…ったく、これも俺がやらなきゃならないのかよ」
口は動くが、身体が動かない由良川は、まったく役に立たない。悪く思うなよと、横向きに丸まっていた高篠を仰向けにした。
朝起きると、首謀者から「今日はよろしく!」と、ハートを抱えたラブリーなネコのスタンプと一緒に、メッセージが入っていた。あいつが使うと、キモい。全くもって、よろしくしたくない。
引き受けた後に気づいたけど、今日の金曜日に限って、バイトが休みだった。由良川は、そこまでチェック済みだったんだろう。抜かりのないやつめ。
夕方まで講義を受けた後、荷物を置きに一度アパートに帰った。夕飯は外で食べて、由良川に請求してやろうか。それ位のおいしい思いをしてもいいはずだ。
あ、ちょっとでも、女の子っぽい色の服に、着替えて行った方がいいのか?あー、でも、ヅラで隠れるから、服の色は関係ないのか?
酔っ払って、寝こけている見ず知らずの男相手に、そこまで気を遣う必要はないかと思ったが、一瞬でも、添い寝みたいなポーズをするなら、汗臭くない方がいい。迷ったけど、風呂に入るついでに、着替えもすることにした。どうせなら、歯磨きもしておきたい。
外食をあきらめ、簡単に夕飯を食べた後、いつもより気合いを入れて、身支度してしまった。
高條ってやつは、根が真面目だと、由良川が言っていたけど、俺は真面目な上に几帳面だ。どんなことでも、引き受けたからには、最後まできちんとやりたい。
駅前をぶらぶらして待っていたが、21時半を過ぎても、由良川から連絡が来ない。中止ならそれで構わない。むしろ中止がいいけど、一応は確認してから帰るか。無料通話機能で、由良川を呼び出す。
「はいは~い!!!もう、ラブホまえにいる~!!!はやくきてくれ~!!!」
なかなか出なくて、通話をキャンセルしようと思った時に、めちゃくちゃでかい声で、由良川が出た。相当、酔っ払ってるんじゃないのか?
ラブホ前と言われても、そのラブホがどこなのか教えてもらっていない。なんとかホテル名を聞き出し、検索結果を見ながらその場所へ向かう。
「よ~!!!さいはら、ごくろ~さん!!!」
「声がでかいよ。ちょっと抑えろ」
「へへ。たかじょ~、おもったより、さけがちゅよくて、おれも、こんなんなっちゃった~!」
「高篠は?」
「ふふ。うしろでねてる~!」
ラブホ前の道端で、座り込んでいる由良川の背後に、男が丸まって寝転がっている。2人とも、よくここまで来られたな…。古めかしい外観のラブホで、周囲に人気が少なくてよかった。
とりあえず、由良川の手を引っぱって立たせる。ふらふらしていて、すごく危なっかしい。こいつがまた座り込んでしまわないうちに、高篠をどうにかしたかったが、寝ている状態から起き上がらせるのは、容易じゃなかった。
「はあ、クッソ重い。おい、由良川、立て!中に入るんだろ!」
「へへ。そうだった!よいしょっと~!」
自分よりでかい高篠をおぶりながら、ふらふら歩く由良川の手を引いて中に入った。早く部屋に行かないと、俺の体力がやばい。
部屋のパネルの、明かりがついている箇所のボタンを、手早く押すと、ジーッ、カシャッという音がして、部屋番号が印字されたレシートみたいなのが出てきた。
ラブホなんて初めて入るけど、ボタンを押した部屋を利用するってことで、合っているだろう。
「ふふ。ジーッ、カシャッ!かぎいらず~!」
「鍵はいらないのか?由良川、その紙を取ってくれ。エレベーターで3階まで行くからな」
「まかせろ~!ふふふ。エレベーターがせまくて、うける~!ふふふ。」
たしかに狭い。男3人でぎゅうぎゅうだった。ふふふ…と笑い続ける由良川が不気味だし、酒臭さが充満して、俺まで酔いそうだ。それでも、階段じゃなかっただけマシかと思った。
部屋番号が点滅している扉の前に着くと、由良川がふらふらしながらも、がチャッと開けてくれた。鍵いらずとは、鍵がかかっていないってことだったのか。
外観とエレベーターの割に、室内はきれいだった。最後の力を振り絞って、ベッドまで突進する。
高篠をベッドの上に乱暴に転がしてしまったけど、そんな扱いにも起きる気配はなかった。ベッドの端に腰をかけ、大きな荷物を下ろした後の脱力感に耐える。
「さいはら、のどがかわいた~!みずくれよ~!」
一人掛けのソファに、どっかりと座っている由良川に、はっきりと殺意を覚えた。いやいやいや、相手は酔っ払いだ。平常心を保たなければ、余計やっかいなことになる。
小さめの冷蔵庫に「ミネラルウォーター無料です!」と、POPが貼り付けてあったので、一本取り出して由良川に渡す。
「さっさっと済ませるからな。ヅラは?」
「づら~?いざかやで、だれかがつけてたわ~!」
「まじかよ…。居酒屋で出しちゃったのか?」
「だって~!さけのしぇきで、おとこがかぶったら、もりあがるじゃ~ん!」
「ここで使う予定だっただろ?…もういいよ。このままで撮る」
「さいはらは、かみがしゃらしゃらだし、みじかくないから、ぜんぜんいけるよ~!」
伸びてきて、うざったくなってきたところだった。明日もバイトが休みだし、髪を切りに行くか。カット代は、由良川に請求してやろう。
「事後っていう設定だよな?高篠の上半身を裸にしてから写す?」
「さいはら、やるきまんま~ん!ぜんらにしちゃえ~!」
「しないから!…ったく、これも俺がやらなきゃならないのかよ」
口は動くが、身体が動かない由良川は、まったく役に立たない。悪く思うなよと、横向きに丸まっていた高篠を仰向けにした。
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