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報告する由良川と、逃れられない才原
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「けどさ~、あの天然タラシ野郎は油断ならねーよ!才原は、起きてる高條に会ったことがないから、そんな無責任なことが言えるんだ!」
「無責任って…。チカちゃんの他にも、男でそういうやつがいるっていうのか?それなら、話は変わってくるけど」
「う~ん?そういう目で、高條を取り巻くやつらを見たことがなかったわ~。チカちゃん以外の男は眼中にねーし。そもそも、チカちゃんはチカちゃんであって、男とかそーいうカテゴリーじゃないわけで~。そんなの超越した存在なわけで~。俺のナンバーワンでオンリーワンなわけで~」
「おまえ、本当にうざいな…。一度、しっかり見てみろよ。そしたら、チカちゃんがアタックしそうになってるなんて、思わなくなるから。それと、チカちゃんの高條以外への態度も、もう一度よく見てみろ。高篠を目の敵にすることもなくなると思うぞ」
「おっし、わかった!才原は、俺の調査が終わるまで、高條の関心をしっかり引いておいてくれ!なんなら、起きてるあいつと会ってみれば?妹の代わりとかって言ってさ~。そんで、タラシこまれても知らんけどな!」
「それはないから!会うつもりないし」
高篠とメールをしなくても済むように話を持っていくはずが、失敗した。由良川の調査が早く終わるのを願うしかない。でも、そこは由良川だ。どんな調査結果になるか、それこそ油断ができない。
由良川は、「明日より調査に入りまーす!」と、右手で敬礼してから帰っていった。バカ元気なあいつがうらやましい。よく知らない相手を騙しているってことで、憂鬱になっている俺とは大違いだ。高篠からメールが入ってなきゃいいなと思いながら、スマホを見ればメールが1と表示されていた。
『キスマークが消えた頃に、またメールする』
かなりたくさん吸い付いたし、内ももは一番しっかりと痕が付いていた。あれって、どれくらいで消えるのだろうか?
消えるまでの期間、俺が付けたキスマークを観察されると思うと、なんだかすごく恥ずかしくなってきた。高條はそうすることで、俺の存在を忘れないでいるだろうし、俺は次にメールが入ってくるまで、そんな高條のことを気にしてしまうじゃないか。
あいつが何を思って、そうメールしてきたかはわからないけど、これにどう返せばいいのか迷う。返信しないのも一つの返事だというのに、どうしてかまたメールを送ってしまった。
『そんなことしないで。忘れられなくなる。お互いにとって良くないと思う』
予想通り、高條のことを気にしながら悶々と一週間を過ごした。バイトで由良川に会ったが、「まだ調査中でーす!」と、アホ陽気に言ってきたので、無言でやつの背中に連続チョップをお見舞いしてやった。「不意打ちビビる!しかも連打で痛ぇ~!」と騒いでいたけど、無視した。
あのメールのやり取りから8日後、バイト終わりに、由良川といつものファミレスに来た。
「調査が済んだから結果報告~!ピーピー、パフパフ、ドンドンドン~!なんだ才原、テンション低いな?」
「由良川が無駄に高いんだよ。で、思い込みや勘違いに気づけたか?」
「それがさ、やばいのなんのって!高條って、男にもモテモテで、アタックしそうなやつしかいなかった!やつら、表面上は穏やかなんだよ~。でもな、俺にはわかった。平穏な日常の裏側で、てめえ抜け駆けすんなよ!的な牽制をし合っていることを!その均衡が保たれてる間はいいが、女の子も含めると、相当数いるわけ。ありゃ、血みどろの争いに発展するのも時間の問題だな~。」
「本当なのか、それ。…大丈夫?」
由良川の目と頭に向けた言葉だったけど、こいつにはその意味で伝わらなかった。
「心配ありがと~!俺が仲良くしているやつも、チカちゃんを含めて何人かいるからさ、身内の恥を晒すようで忍びなかったが、才原は、この争いを止めることができるただ一人の女神だから、包み隠さず報告させてもらったってわけ!」
「女神?!…もう怖い、おまえ怖いよ!」
「才原、怯えるな!チカちゃんを救うためだ!マイ、スウィーティ~が恋に破れちゃったら、全身全霊で慰める気でいることに変わりはないが、あんな獰猛な狼どもの争いに、俺のかわいいかわいい子羊を易々と参戦させたくねーんだよ!」
「聞きたくない!あー聞きたくない!」
「才原、高條の彼氏になれ!どんな汚い手を使ってでもな!あいつがおまえのモノになってしまえば、すべてが丸く治まるんだよ!無血和平実現のために、ひと肌でもふた肌でも脱いでくれよ~!」
「それって、女神じゃなくて、生贄だろ…」
どこから突っ込んだらいいんだろう。もはや、由良川の思考を修正できる自信がない。とりあえず、カット代はきっちり請求しようと思った。
「無責任って…。チカちゃんの他にも、男でそういうやつがいるっていうのか?それなら、話は変わってくるけど」
「う~ん?そういう目で、高條を取り巻くやつらを見たことがなかったわ~。チカちゃん以外の男は眼中にねーし。そもそも、チカちゃんはチカちゃんであって、男とかそーいうカテゴリーじゃないわけで~。そんなの超越した存在なわけで~。俺のナンバーワンでオンリーワンなわけで~」
「おまえ、本当にうざいな…。一度、しっかり見てみろよ。そしたら、チカちゃんがアタックしそうになってるなんて、思わなくなるから。それと、チカちゃんの高條以外への態度も、もう一度よく見てみろ。高篠を目の敵にすることもなくなると思うぞ」
「おっし、わかった!才原は、俺の調査が終わるまで、高條の関心をしっかり引いておいてくれ!なんなら、起きてるあいつと会ってみれば?妹の代わりとかって言ってさ~。そんで、タラシこまれても知らんけどな!」
「それはないから!会うつもりないし」
高篠とメールをしなくても済むように話を持っていくはずが、失敗した。由良川の調査が早く終わるのを願うしかない。でも、そこは由良川だ。どんな調査結果になるか、それこそ油断ができない。
由良川は、「明日より調査に入りまーす!」と、右手で敬礼してから帰っていった。バカ元気なあいつがうらやましい。よく知らない相手を騙しているってことで、憂鬱になっている俺とは大違いだ。高篠からメールが入ってなきゃいいなと思いながら、スマホを見ればメールが1と表示されていた。
『キスマークが消えた頃に、またメールする』
かなりたくさん吸い付いたし、内ももは一番しっかりと痕が付いていた。あれって、どれくらいで消えるのだろうか?
消えるまでの期間、俺が付けたキスマークを観察されると思うと、なんだかすごく恥ずかしくなってきた。高條はそうすることで、俺の存在を忘れないでいるだろうし、俺は次にメールが入ってくるまで、そんな高條のことを気にしてしまうじゃないか。
あいつが何を思って、そうメールしてきたかはわからないけど、これにどう返せばいいのか迷う。返信しないのも一つの返事だというのに、どうしてかまたメールを送ってしまった。
『そんなことしないで。忘れられなくなる。お互いにとって良くないと思う』
予想通り、高條のことを気にしながら悶々と一週間を過ごした。バイトで由良川に会ったが、「まだ調査中でーす!」と、アホ陽気に言ってきたので、無言でやつの背中に連続チョップをお見舞いしてやった。「不意打ちビビる!しかも連打で痛ぇ~!」と騒いでいたけど、無視した。
あのメールのやり取りから8日後、バイト終わりに、由良川といつものファミレスに来た。
「調査が済んだから結果報告~!ピーピー、パフパフ、ドンドンドン~!なんだ才原、テンション低いな?」
「由良川が無駄に高いんだよ。で、思い込みや勘違いに気づけたか?」
「それがさ、やばいのなんのって!高條って、男にもモテモテで、アタックしそうなやつしかいなかった!やつら、表面上は穏やかなんだよ~。でもな、俺にはわかった。平穏な日常の裏側で、てめえ抜け駆けすんなよ!的な牽制をし合っていることを!その均衡が保たれてる間はいいが、女の子も含めると、相当数いるわけ。ありゃ、血みどろの争いに発展するのも時間の問題だな~。」
「本当なのか、それ。…大丈夫?」
由良川の目と頭に向けた言葉だったけど、こいつにはその意味で伝わらなかった。
「心配ありがと~!俺が仲良くしているやつも、チカちゃんを含めて何人かいるからさ、身内の恥を晒すようで忍びなかったが、才原は、この争いを止めることができるただ一人の女神だから、包み隠さず報告させてもらったってわけ!」
「女神?!…もう怖い、おまえ怖いよ!」
「才原、怯えるな!チカちゃんを救うためだ!マイ、スウィーティ~が恋に破れちゃったら、全身全霊で慰める気でいることに変わりはないが、あんな獰猛な狼どもの争いに、俺のかわいいかわいい子羊を易々と参戦させたくねーんだよ!」
「聞きたくない!あー聞きたくない!」
「才原、高條の彼氏になれ!どんな汚い手を使ってでもな!あいつがおまえのモノになってしまえば、すべてが丸く治まるんだよ!無血和平実現のために、ひと肌でもふた肌でも脱いでくれよ~!」
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