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挟まれた由良川と、挟んだチカちゃん
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「わりぃ。由良川が居たんだった」
「その口調、ぜんぜん悪いと思ってないよな?!」
「そんなに怒るなよ」
「例外なくタラシこまれやがって!才原、ホントにチョロいわ~!」
「俺達のことはいいから、あの後、鮎登とどうなったのかを話せば?」
「そうだ!そうだった!おまえら聞いてくれ~!」
笑われはしなかったけど、タラシこまれたことはバレバレだった。そして、やっぱり俺はチョロいのか(自覚はしてたけど)。高條が仕切り直すと、由良川が話し始めた。
「おまえらが居なくなった後さ、チカちゃんがもう帰るって言うから、俺達もすぐ店を出たんだよ。チカちゃんはそれからまったく口を利いてくれなくて、やっちまったわ~!気まずいわ~!って思いながら帰ったんだけど。だけど!いつもなら必ず、チカちゃんちの前で追い返されるのに、その時は玄関に入っても拒否されなかったんだわ!そんで、超久しぶりに部屋にも入れてくれるんじゃねーの?と、すんげー期待したわけよ~!」
「で、部屋の手前で追い返されたってオチ?」
「だと思っただろ?それが!それが!!チカちゃんの部屋のベッドで、素股までさせてくれたんだよ!!!」
「声がでけぇーな、おい」
「この店、もう利用できなくなるじゃん…」
由良川の大声のせいで、まわりの客から生ぬるい視線を向けられた。それでも尚、話し続けようとするので、由良川の口を物理的に塞いで黙らせた後、ドリンクバーを3つ注文し、それぞれ1杯ずつ飲んでから素早く退散した。もちろん、由良川に奢らせた。
「話が中途半端だし、俺んちに来る?」
「行く!行く!飯食いそびれちゃったから、いろいろ買ってこーぜ!腹減りすぎて、お腹と背中がくっつきそーだ!」
「食いそびれたのは、おまえのせいだろ…」
「24時間営業のスーパーなら近くにある。こっちだ」
「その店なら知ってる!高條んちはそっち側だったのか~!」
高條のアパートは、スーパーから更に10分ほど歩いたところにあった。バイト先からそこまで遠くはなかったけど、そっち側にもスーパーがあるって知らなかったし、初めて通る道だった。買い物袋をガサガサいわせながら、部屋に上がりこむ。これらもすべて由良川の奢りだ。
「ここでも大声で話すのは禁止だ。わかったか?」
「わかった!残りの酒、冷蔵庫に入れておくわ~。まずはビールからでいいだろ?」
「いいよ。高條、お湯は?」
「そこに電気ケトルがある。グラスはいる?」
「直飲みでいいよ~!才原、これにも早くお湯を注いでくれ!」
「まだ沸いてないから」
お湯が沸いたのでカップ麺の容器に注いでから、ビールのプルタブを開けて、お菓子の袋に手を伸ばす。
「由良川、話が急展開すぎて意味がわからなかったんだけど」
「鮎登の部屋に入ってから、どんな話をしてそうなったんだ?」
「やっと口を利いてくれたチカちゃんに、居酒屋での告白は性的な意味も含めてか?って聞かれたから、当たり前じゃん!俺はチカちゃんとエッチなこともがっつんがっつんヤリまくりたい!!って、決死の覚悟で抱きついてみたんだよ。そしたら、あれよあれよという間に、素股でズボズボするとこまでやらせてくれたんだわ~!チカちゃんの反応がすげーかわいくて、かわいくて!俺の大天使~!ムッチムチのケツも最強で最高だった!思い出しただけでバッキバッキに勃ちそ~!」
「後半の部分は話さなくていいから」
「それでめでたく、恋愛することになったんだ?」
「そ・れ・が!なってない!なってないんだよ~!俺は身も心も固く結ばれたと思ったんだが、今朝からまた目も合わせてくれないんだ!どーして?どーしてなんだ!?チカちゃーん!!ズズゥッ~!!!」
由良川は、叫びながら豪快にカップ麺をすすった直後、スープが気管に入ったらしく、盛大にムセた。大声で話すなと言われたのに、色々とうるさいったらない。
「ゴボッ!ゲホッ、ゴホッ…!!」
「汚ねぇーな。ほら、これ使え」
「高條、何か拭くもんないか?」
「そこに除菌のウエットティッシュが置いてある」
「はあ、苦し~!おまえら、ありがとう!」
水を飲ませ落ち着かせてから、もう少し詳しく話を聞くと、昨夜は身体を許してもらっただけで、付き合うとかそういう話はできなかったようだ。今朝になって話かけようとするも、あからさまに目を逸らされてしまい、それについて確認することができないでいるらしい。
「ただ照れているだけなんじゃねぇ?」
「俺もそう思う。抱きついて、もう一回ズバッと告ってみろよ」
「才原は顔に似合わず大胆だよな!でも、その案かなりいいかも~!思い立ったが吉日!今からチカちゃんにハグハグかまして、付き合ってくれ!!って猛アタックしてくる!いい返事がもらえるまで絶対に離さーん!待ってろよ!マイ、スウィーティ~!おまえら、また報告するから聞いてくれよ?」
「はいはい。聞くから」
「今度は鮎登も一緒に連れて来い」
「わかった!それじゃあ、邪魔したな~!」
由良川が嵐のように去っていき、残された俺達は顔を見合わせて苦笑した。
「うまくいくといいな」
「きっとうまくいくよ。そうでないと、巻き込まれた甲斐がないから」
「そりゃ言えてる。せっかく由良川に奢ってもらったことだし、続きを食うか」
高條の言葉に頷いて、冷めてきたカップ麺の残りをすすった。
「その口調、ぜんぜん悪いと思ってないよな?!」
「そんなに怒るなよ」
「例外なくタラシこまれやがって!才原、ホントにチョロいわ~!」
「俺達のことはいいから、あの後、鮎登とどうなったのかを話せば?」
「そうだ!そうだった!おまえら聞いてくれ~!」
笑われはしなかったけど、タラシこまれたことはバレバレだった。そして、やっぱり俺はチョロいのか(自覚はしてたけど)。高條が仕切り直すと、由良川が話し始めた。
「おまえらが居なくなった後さ、チカちゃんがもう帰るって言うから、俺達もすぐ店を出たんだよ。チカちゃんはそれからまったく口を利いてくれなくて、やっちまったわ~!気まずいわ~!って思いながら帰ったんだけど。だけど!いつもなら必ず、チカちゃんちの前で追い返されるのに、その時は玄関に入っても拒否されなかったんだわ!そんで、超久しぶりに部屋にも入れてくれるんじゃねーの?と、すんげー期待したわけよ~!」
「で、部屋の手前で追い返されたってオチ?」
「だと思っただろ?それが!それが!!チカちゃんの部屋のベッドで、素股までさせてくれたんだよ!!!」
「声がでけぇーな、おい」
「この店、もう利用できなくなるじゃん…」
由良川の大声のせいで、まわりの客から生ぬるい視線を向けられた。それでも尚、話し続けようとするので、由良川の口を物理的に塞いで黙らせた後、ドリンクバーを3つ注文し、それぞれ1杯ずつ飲んでから素早く退散した。もちろん、由良川に奢らせた。
「話が中途半端だし、俺んちに来る?」
「行く!行く!飯食いそびれちゃったから、いろいろ買ってこーぜ!腹減りすぎて、お腹と背中がくっつきそーだ!」
「食いそびれたのは、おまえのせいだろ…」
「24時間営業のスーパーなら近くにある。こっちだ」
「その店なら知ってる!高條んちはそっち側だったのか~!」
高條のアパートは、スーパーから更に10分ほど歩いたところにあった。バイト先からそこまで遠くはなかったけど、そっち側にもスーパーがあるって知らなかったし、初めて通る道だった。買い物袋をガサガサいわせながら、部屋に上がりこむ。これらもすべて由良川の奢りだ。
「ここでも大声で話すのは禁止だ。わかったか?」
「わかった!残りの酒、冷蔵庫に入れておくわ~。まずはビールからでいいだろ?」
「いいよ。高條、お湯は?」
「そこに電気ケトルがある。グラスはいる?」
「直飲みでいいよ~!才原、これにも早くお湯を注いでくれ!」
「まだ沸いてないから」
お湯が沸いたのでカップ麺の容器に注いでから、ビールのプルタブを開けて、お菓子の袋に手を伸ばす。
「由良川、話が急展開すぎて意味がわからなかったんだけど」
「鮎登の部屋に入ってから、どんな話をしてそうなったんだ?」
「やっと口を利いてくれたチカちゃんに、居酒屋での告白は性的な意味も含めてか?って聞かれたから、当たり前じゃん!俺はチカちゃんとエッチなこともがっつんがっつんヤリまくりたい!!って、決死の覚悟で抱きついてみたんだよ。そしたら、あれよあれよという間に、素股でズボズボするとこまでやらせてくれたんだわ~!チカちゃんの反応がすげーかわいくて、かわいくて!俺の大天使~!ムッチムチのケツも最強で最高だった!思い出しただけでバッキバッキに勃ちそ~!」
「後半の部分は話さなくていいから」
「それでめでたく、恋愛することになったんだ?」
「そ・れ・が!なってない!なってないんだよ~!俺は身も心も固く結ばれたと思ったんだが、今朝からまた目も合わせてくれないんだ!どーして?どーしてなんだ!?チカちゃーん!!ズズゥッ~!!!」
由良川は、叫びながら豪快にカップ麺をすすった直後、スープが気管に入ったらしく、盛大にムセた。大声で話すなと言われたのに、色々とうるさいったらない。
「ゴボッ!ゲホッ、ゴホッ…!!」
「汚ねぇーな。ほら、これ使え」
「高條、何か拭くもんないか?」
「そこに除菌のウエットティッシュが置いてある」
「はあ、苦し~!おまえら、ありがとう!」
水を飲ませ落ち着かせてから、もう少し詳しく話を聞くと、昨夜は身体を許してもらっただけで、付き合うとかそういう話はできなかったようだ。今朝になって話かけようとするも、あからさまに目を逸らされてしまい、それについて確認することができないでいるらしい。
「ただ照れているだけなんじゃねぇ?」
「俺もそう思う。抱きついて、もう一回ズバッと告ってみろよ」
「才原は顔に似合わず大胆だよな!でも、その案かなりいいかも~!思い立ったが吉日!今からチカちゃんにハグハグかまして、付き合ってくれ!!って猛アタックしてくる!いい返事がもらえるまで絶対に離さーん!待ってろよ!マイ、スウィーティ~!おまえら、また報告するから聞いてくれよ?」
「はいはい。聞くから」
「今度は鮎登も一緒に連れて来い」
「わかった!それじゃあ、邪魔したな~!」
由良川が嵐のように去っていき、残された俺達は顔を見合わせて苦笑した。
「うまくいくといいな」
「きっとうまくいくよ。そうでないと、巻き込まれた甲斐がないから」
「そりゃ言えてる。せっかく由良川に奢ってもらったことだし、続きを食うか」
高條の言葉に頷いて、冷めてきたカップ麺の残りをすすった。
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