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25話 厄介
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帝都が襲われた。
そう聞いて、皇帝戦争開催に合わせて十二家のどこかが兵を動かし、クーデターでも起こしたのかと思ったが、どうやらそれは違ったようだ。
「帝都を襲ったのは巨大な木です。巨大な木が一晩で帝都の全てを覆ってしまったんです。私達は外周部にいたので、運良く逃げ出せましたが、帝都にいた他の人は皇帝陛下も含め、その中で……」
衛兵さんは信じられないでしょうがと、帝都が襲われた情報を話してくれたが、信じるしかないんじゃないかな。
そんなことを起こせる存在が、一つ思い当たるから。
《ユノ、どう思う? 世界樹を消滅させたエルフの仕業か?》
《ん~、そうねえ》
ユノが世界樹消滅の犯人ではないと思っている俺は、ユノに話をふってみる。
正直に言うと、ユノと会って戦闘になった時、彼女が世界樹を消滅させた犯人かと思った。
しかし戦闘中の彼女の話からは、彼女が犯人や共犯者と想像出来ず、判断に迷った。
そしてそれは、この同居状態になってもしばらく続いたが、今は結論が出ている。
その結論が出た理由は、魂の状態で接しているせいか、何となくだが分かったからだ。
ああ、もう一つ分かったことがある。
ユノのアイリさんへの感情だ。
ユノがあそこまで嫌悪したのは、あまりにも強過ぎる憧れの結果なんだよな。
まあ、この同居生活が大変なことになるから、それは本人には言わないけけど。
《木で帝都全てを覆い人々を閉じ込める……人が出来る芸当ではないわよね。エルフでも一晩でっていうのは、ちょっと難しいわ。何か強力な力を補助に使えば別だけど》
《世界樹とか?》
《そうね。それで? どうするの?》
《エルフ関連なら、なおさら行くに決まってる》
《あっそ》
★★★
帝都から逃げてきた来た人達を、また帝都に連れて行くわけにはいかない。
だから彼女達には旧サジタリウスの街の方へと向かってもらい、俺達は急ぎ帝都へと出発した。
そして翌日、帝都を確認出来る場所へとやって来たが、想像以上に大変なことになっている。
遠方から皇帝戦争を見に来たが帝都に入れない人達が、ウネウネと曲がりながら帝都を飲み込んだ巨大な木の周りに、何千人といるのだ。
そしてそれは、ちょっと厄介なことを表している。
帝都を囲む人達の中には、皇帝戦争に参加する家の人間が見えないんだが、それは俺達のようにギリギリ到着ではなく、早めに帝都入りしているからだろう。
つまり今帝都の中には、皇帝の兵やそれらの家の戦力が閉じ込められているんだが、それらの戦力をもってしても、木を破壊して出て来れないっていうこと。
《……ちょっと、あれ》
世界樹が関連していたら、俺の収納スキルで収納は出来ない可能性がある。
だからその場合に備え、他の作戦を考えようとすると、ユノの驚いた声が。
《ん~何か見えるのか? 俺には分からないが》
《見えるでしょ、あれだけ大きいのよ》
《大きい? ああ、木のことか? 確かに巨大過ぎだが、それが?》
《分からないの? あれ、普通の木じゃないわよ》
《まあ、普通じゃないな。厄介そうだし》
《はぁ、厄介そうとかじゃないわよ。気付かない? あれ、世界樹よ》
………………そりゃあ、確かに厄介どころじゃないな。
そう聞いて、皇帝戦争開催に合わせて十二家のどこかが兵を動かし、クーデターでも起こしたのかと思ったが、どうやらそれは違ったようだ。
「帝都を襲ったのは巨大な木です。巨大な木が一晩で帝都の全てを覆ってしまったんです。私達は外周部にいたので、運良く逃げ出せましたが、帝都にいた他の人は皇帝陛下も含め、その中で……」
衛兵さんは信じられないでしょうがと、帝都が襲われた情報を話してくれたが、信じるしかないんじゃないかな。
そんなことを起こせる存在が、一つ思い当たるから。
《ユノ、どう思う? 世界樹を消滅させたエルフの仕業か?》
《ん~、そうねえ》
ユノが世界樹消滅の犯人ではないと思っている俺は、ユノに話をふってみる。
正直に言うと、ユノと会って戦闘になった時、彼女が世界樹を消滅させた犯人かと思った。
しかし戦闘中の彼女の話からは、彼女が犯人や共犯者と想像出来ず、判断に迷った。
そしてそれは、この同居状態になってもしばらく続いたが、今は結論が出ている。
その結論が出た理由は、魂の状態で接しているせいか、何となくだが分かったからだ。
ああ、もう一つ分かったことがある。
ユノのアイリさんへの感情だ。
ユノがあそこまで嫌悪したのは、あまりにも強過ぎる憧れの結果なんだよな。
まあ、この同居生活が大変なことになるから、それは本人には言わないけけど。
《木で帝都全てを覆い人々を閉じ込める……人が出来る芸当ではないわよね。エルフでも一晩でっていうのは、ちょっと難しいわ。何か強力な力を補助に使えば別だけど》
《世界樹とか?》
《そうね。それで? どうするの?》
《エルフ関連なら、なおさら行くに決まってる》
《あっそ》
★★★
帝都から逃げてきた来た人達を、また帝都に連れて行くわけにはいかない。
だから彼女達には旧サジタリウスの街の方へと向かってもらい、俺達は急ぎ帝都へと出発した。
そして翌日、帝都を確認出来る場所へとやって来たが、想像以上に大変なことになっている。
遠方から皇帝戦争を見に来たが帝都に入れない人達が、ウネウネと曲がりながら帝都を飲み込んだ巨大な木の周りに、何千人といるのだ。
そしてそれは、ちょっと厄介なことを表している。
帝都を囲む人達の中には、皇帝戦争に参加する家の人間が見えないんだが、それは俺達のようにギリギリ到着ではなく、早めに帝都入りしているからだろう。
つまり今帝都の中には、皇帝の兵やそれらの家の戦力が閉じ込められているんだが、それらの戦力をもってしても、木を破壊して出て来れないっていうこと。
《……ちょっと、あれ》
世界樹が関連していたら、俺の収納スキルで収納は出来ない可能性がある。
だからその場合に備え、他の作戦を考えようとすると、ユノの驚いた声が。
《ん~何か見えるのか? 俺には分からないが》
《見えるでしょ、あれだけ大きいのよ》
《大きい? ああ、木のことか? 確かに巨大過ぎだが、それが?》
《分からないの? あれ、普通の木じゃないわよ》
《まあ、普通じゃないな。厄介そうだし》
《はぁ、厄介そうとかじゃないわよ。気付かない? あれ、世界樹よ》
………………そりゃあ、確かに厄介どころじゃないな。
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