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第1章
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しおりを挟む「…?」
相沢が訝しげにこちらの顔を覗いている。
僕自身彼女の姿を見てあまりにも驚いてしまったのか,そう答えるのが精一杯だった。
そう僕は…,
男子生徒は告げていた。
「こんな時間に呼び出してごめんなさい。伝えたいことがあって…」
僕の横で相沢が子供が新しい玩具を見るような顔でとても嬉しそうに笑みを浮かべている。
さらに男子生徒は告げる。
「初めて見た時から好きでした。…付き合って下さい」
その男子生徒はどこか中性的で男の僕が言うのもヘンだがかわいい顔というのだろうか,きれいな顔立ちをいていた。
もちろん性格はわからないが外見だけで言うと対面している美少女と釣り合いが取れるであろう。
しかし彼女は少し困惑した表情を見せていたが,告白の返事からあまり間を空けずに彼女は大人びた表情で答えた。
「―ごめんなさい。私初めて会ったばかりだし,いきなり付き合うっていうのは無理かな」
案外いや思った通り一刀両断した。だが男子生徒は引き下がらない。それは甲斐のないことだと僕は感じた。
「じゃあもっと僕のこと知ってもらえればいいの?」
その言葉を受け彼女は答える。
「? 私のことは? 僕のこと? じゃあ今から一分以内に面白い自己紹介して。昼休みあと十分もないし」
彼女の柔らかな雰囲気からは想像できない言葉に男子生徒はあっけにとられ何も言い出せていない。これではせっかく与えられた時間がもったいない。
すると彼女はふーと息をつく。
「まったく自己紹介もできないの? 人は第一印象で七十パーセント決っちゃうんだよ。もっと最初からガンガンいこうぜ」
メラビアンの法則か。しかし視覚のパーセンテージは六十パーセントじゃなかったか? まあいいや。
彼女は大人びた表情を反転させ子供らしい無邪気な笑みで答えた。見事な変貌ぶりである。
その表情を見た男子生徒も晴れやかな表情で答える。
「はい。これを機に頑張ります!」
少し早すぎるが諦めは早い方がいい,そしてもう彼女はやめておいた方がいい。
「うん。その意気ね。これからは私以外の人で頑張ってね。私初対面の人とは付き合わないことにしてるから」
結果として男子生徒は振られていた。
最終的には大ヒットゲームの作戦みたく励まされた男子生徒は最後に自己紹介ではなく質問を投げかけた。
「君って彼氏いるの?」
その質問なら僕らも気になっていた。特に相沢だけど。
彼女は今度は何モードだろう? 見る限りでは普通の女子高生モードという感じで返答した。
「…うん。いるよ。先輩なんだけどね。少し変な趣味があるの,人の告白現場を盗み見するっていう」
相沢と僕はお互いに顔を見合わせていた。
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