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第二話 魔物退治
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「クソ」
忌々しげに吐き捨てた。ファウストの足下には煙草の吸い殻が落ちている。
ここは冒険者ギルドの前の道だ。
クリスと旅をすることなって速攻、クリスが「ちょっと寄りたいところがあるので」と言ってギルドに入って行ってしまった。
厄日だ。いや、厄そのものに憑かれた。
これじゃあ名前そのものの悪魔に取り憑かれた男じゃないか。
あんな悪魔みたいな女と旅なんて冗談じゃない、が、あの毒の力のからくりがわからない以上、迂闊に逃亡を試みたら本気で殺されかねない。
しかし、
『私はクリス・ヴァイオラと申します』
(クリス・ヴァイオラ。その名が本当の名前なら、あいつはヴァイオラ公爵家の人間か?)
ヴァイオラ公爵家に娘がいたなんて話は聞いたことがないが。
「お待たせしました。フォス」
そう考えた矢先にギルドからクリスが出て来た。
「逃げなかったんですねー。偉い偉い」
「撫でんな。うぜぇクソ女」
「ひどいですねえ」
軽く背伸びして頭を撫でられ、ファウストは顔をしかめると手で払った。
少なくとも手で触れても死なない。あの毒はどんな仕組みなんだ。
「クソ女とはひどい言い草です。こんな美少女を捕まえて」
「本気でそう思ってもいねえ口調で言うんじゃねえ。薄ら寒い」
頭上でそう吐き捨てたら、クリスが目を瞬いた。
「冗談だってわかるんですね」
「あ? 声でわかんだろ」
「普通の人はわかりませんよ」
まあ、確かに冗談みたいな口調ではなかったな、とは思うが。
「なんとなくわかんだよ」
「…へえ、フォスは人を見る目があるんですね」
クリスから視線を逸らして言えば、クリスは面白そうに笑ってそう返した。
「まあ行きましょうか」
「は?」
「依頼ですよ。ギルドの」
「なに勝手に受けてんだてめえ」
「今のフォスは私の従者でしょう?」
「旅の連れじゃねえのかよ!」
そう怒鳴るも虚しく、人の話なんて聞いていないクリスはそのまま歩いて行く。
逃げたら殺される以上は、ついていくしかない。
ファウストはもう一度舌打ちし、やっぱり厄日だ、と思った。
クリスが足を運んだのは深い森の中だ。
「で、こんなとこになんの用事だよ」
「村娘が森に木の実を取りに行ったきり戻ってこないんだそうです。
その捜索依頼ですね」
「ふうん」
そう答えて歩き出したクリスの後を追う。
「まあただ探すのも暇なので、情報交換と行きましょうか」
「は?」
「フォスって何歳ですか?」
「いやなにをいきなり…」
「今理由は説明しましたが」
あっけらかんと言うクリスに、ため息を吐いて仕方ない、と判断した。
「25歳…」
「私は18歳です」
「それは知ってる」
「おや、私の暗殺依頼に載っていましたか。
でもあなたは私の名を知らなかったですよね?」
「『クリス』という名前だってのは聞いてた」
「ああ、ファミリーネームを知らなかったんですね」
納得したように呟いたクリスに、そういやこいつの名前を聞いた時に驚いちまってたな、と舌打ちしたくなる。
「お前はヴァイオラ公爵の隠し子か?」
「さあ、それはご自分で調べてください」
「情報交換じゃねえのかよ」
「相手が聞かれたくないことを聞くのはマナー違反です」
クリスはさらっと言ってこちらを振り返った。
「私だって、あなたのファミリーネームすら聞いていないでしょう?」
「…チッ」
もっともなことを言われて悔しくなった。
こいつの言う通り、こいつは自分のことをなにも聞いてこない。
「あ、でもフォスはモテそうですよね」
「勝手に考えろ」
「勝手に考えます。
そんなフォスからしたら、私くらいの女は山ほど見て来ましたか」
「…別に」
言いかけて、やめる。
そしてまじまじと自分より遙かに低い位置にある顔を見下ろした。
ひどく整った顔立ちだ。傾国の美というのがしっくりくるような。
腰あたりまでの長い艶のある黒髪、ルビーの宝石のような瞳、雪のような白磁の肌、控えめな大きさの胸に華奢で丸みを帯びた体躯。
誰もが振り返るような美少女だ。
ファウストがあまりクリスの見た目に反応しないのは、単純に出会いが悪かった。あんな恐ろしい怪物を前にしたような恐怖を味わって、見惚れるってのはない。
「あ」
不意にクリスが声を上げたので、見ていたのがバレたかと危ぶんだがクリスは「あっちから声が聞こえましたよ」と言って走って行く。
それに安堵しながら、確かに若い女の声が聞こえるな、と耳を澄ませた。
クリスを追いかけていくと、大きな大木の前にその姿があった。
「フォス、これ」
クリスはそう言って足下、大木の根元を指さす。
そこに、大木の枝や根に身体を絡め取られて動けない若い娘の姿があった。
その胸元がかすかに動いていて、呼吸していることが窺える。
「どう思います?」
「死んでるな」
迷わずファウストは即答した。クリスももうわかっている顔をしている。
「この女は人間を釣るための疑似餌だ。
本物のこの女はもうこの魔物の餌になった後だろ」
そう口にした瞬間、女の目がカッと開いて大木の枝や根が襲いかかってきた。
それを軽やかに躱して、クリスが離れた位置に着地する。
「奇遇ですね。私もすぐそう思いました」
「そもそもこんな瘴気の濃い森でただの村娘が何日も生きられるはずねえんだよ」
「もっともです」
言うなり、ファウストは銃を構えて大木の魔物の枝や根を撃つ。
枝や根によって銃弾は弾かれ、効果がない。
「おい、お前の力でどうにかなんねえのか!」
「なりますけど」
「なら…!」
「私、フォスのちょっといいとこ見てみたいんですよねえ」
踊るような動きで大木の枝や根を避けながらクリスはにっこりと微笑む。
それにファウストはもう一度舌打ちした。
意訳:お前一人でなんとかして。
ということだ。
「本当に、厄介面倒くさい女だよ」
そう呟くとファウストは魔物の攻撃を躱しながら一定の距離を保った場所で着地する。
そのまま銃を構え、引き金を引いた。
銃弾が当たったのは、根元の女の額。
銃弾が撃ち込まれた額は鮮血を噴き出し、この世のものとは思えない断末魔を上げて萎れていく。そのまま腐った木のような姿になった女の身体を一瞥し、ファウストは小銃をホルダーに戻す。
「この魔物は喰らった人間の身体に寄生するんだろ。
普通の人間は人の姿をしたものを攻撃出来ないからな」
「でもフォスは迷わず狙いましたね」
「依頼で女を殺したことがないわけじゃねえ」
「おや、そこもお互い様で」
「結局、人でなしには勝てないようになってんだよ。世の中」
そう吐き捨てる。そして背後のクリスを振り返った。
「だろ。クソ女」
「まあ、同じ人でなし仲間ですね。仲良くやりましょう」
どこか上機嫌に笑ったクリスに、嫌なこった、と舌を出した。
「って、ギルドに行って金を受け取ったのはいいが、なんでだよ」
「なにがです?
報酬はちゃんと半分こしたでしょう?」
「そこじゃねえよ」
こめかみをひくつかせたファウストの前には、ベッドが二つ並んだ宿屋の一室。
もう窓の外は暗い。
「なんで二人部屋なんだよ!」
「だって一人ずつ部屋を取るのは不経済ですし、あなた絶対、私にその気にならないでしょう?」
「金積まれたってならねえが…!」
「それに百戦錬磨のフォスなら、私みたいな貧相な身体を見ても間違いは起こさないでしょうからね」
にこにこといつもの食えない笑顔で言って、クリスは荷物をベッドの上に置くと、
「じゃあ、私はお風呂に行ってきますね。また夕食のときに」
と告げて部屋の扉に近づき、扉を開けて出て行ってしまう。
ファウストはその場にしゃがみ込み、頭を抱えて深い嘆息を吐く。
「クソ、なんでこうなった」
目下、それが悩みの種だった。
忌々しげに吐き捨てた。ファウストの足下には煙草の吸い殻が落ちている。
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しかし、
『私はクリス・ヴァイオラと申します』
(クリス・ヴァイオラ。その名が本当の名前なら、あいつはヴァイオラ公爵家の人間か?)
ヴァイオラ公爵家に娘がいたなんて話は聞いたことがないが。
「お待たせしました。フォス」
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「逃げなかったんですねー。偉い偉い」
「撫でんな。うぜぇクソ女」
「ひどいですねえ」
軽く背伸びして頭を撫でられ、ファウストは顔をしかめると手で払った。
少なくとも手で触れても死なない。あの毒はどんな仕組みなんだ。
「クソ女とはひどい言い草です。こんな美少女を捕まえて」
「本気でそう思ってもいねえ口調で言うんじゃねえ。薄ら寒い」
頭上でそう吐き捨てたら、クリスが目を瞬いた。
「冗談だってわかるんですね」
「あ? 声でわかんだろ」
「普通の人はわかりませんよ」
まあ、確かに冗談みたいな口調ではなかったな、とは思うが。
「なんとなくわかんだよ」
「…へえ、フォスは人を見る目があるんですね」
クリスから視線を逸らして言えば、クリスは面白そうに笑ってそう返した。
「まあ行きましょうか」
「は?」
「依頼ですよ。ギルドの」
「なに勝手に受けてんだてめえ」
「今のフォスは私の従者でしょう?」
「旅の連れじゃねえのかよ!」
そう怒鳴るも虚しく、人の話なんて聞いていないクリスはそのまま歩いて行く。
逃げたら殺される以上は、ついていくしかない。
ファウストはもう一度舌打ちし、やっぱり厄日だ、と思った。
クリスが足を運んだのは深い森の中だ。
「で、こんなとこになんの用事だよ」
「村娘が森に木の実を取りに行ったきり戻ってこないんだそうです。
その捜索依頼ですね」
「ふうん」
そう答えて歩き出したクリスの後を追う。
「まあただ探すのも暇なので、情報交換と行きましょうか」
「は?」
「フォスって何歳ですか?」
「いやなにをいきなり…」
「今理由は説明しましたが」
あっけらかんと言うクリスに、ため息を吐いて仕方ない、と判断した。
「25歳…」
「私は18歳です」
「それは知ってる」
「おや、私の暗殺依頼に載っていましたか。
でもあなたは私の名を知らなかったですよね?」
「『クリス』という名前だってのは聞いてた」
「ああ、ファミリーネームを知らなかったんですね」
納得したように呟いたクリスに、そういやこいつの名前を聞いた時に驚いちまってたな、と舌打ちしたくなる。
「お前はヴァイオラ公爵の隠し子か?」
「さあ、それはご自分で調べてください」
「情報交換じゃねえのかよ」
「相手が聞かれたくないことを聞くのはマナー違反です」
クリスはさらっと言ってこちらを振り返った。
「私だって、あなたのファミリーネームすら聞いていないでしょう?」
「…チッ」
もっともなことを言われて悔しくなった。
こいつの言う通り、こいつは自分のことをなにも聞いてこない。
「あ、でもフォスはモテそうですよね」
「勝手に考えろ」
「勝手に考えます。
そんなフォスからしたら、私くらいの女は山ほど見て来ましたか」
「…別に」
言いかけて、やめる。
そしてまじまじと自分より遙かに低い位置にある顔を見下ろした。
ひどく整った顔立ちだ。傾国の美というのがしっくりくるような。
腰あたりまでの長い艶のある黒髪、ルビーの宝石のような瞳、雪のような白磁の肌、控えめな大きさの胸に華奢で丸みを帯びた体躯。
誰もが振り返るような美少女だ。
ファウストがあまりクリスの見た目に反応しないのは、単純に出会いが悪かった。あんな恐ろしい怪物を前にしたような恐怖を味わって、見惚れるってのはない。
「あ」
不意にクリスが声を上げたので、見ていたのがバレたかと危ぶんだがクリスは「あっちから声が聞こえましたよ」と言って走って行く。
それに安堵しながら、確かに若い女の声が聞こえるな、と耳を澄ませた。
クリスを追いかけていくと、大きな大木の前にその姿があった。
「フォス、これ」
クリスはそう言って足下、大木の根元を指さす。
そこに、大木の枝や根に身体を絡め取られて動けない若い娘の姿があった。
その胸元がかすかに動いていて、呼吸していることが窺える。
「どう思います?」
「死んでるな」
迷わずファウストは即答した。クリスももうわかっている顔をしている。
「この女は人間を釣るための疑似餌だ。
本物のこの女はもうこの魔物の餌になった後だろ」
そう口にした瞬間、女の目がカッと開いて大木の枝や根が襲いかかってきた。
それを軽やかに躱して、クリスが離れた位置に着地する。
「奇遇ですね。私もすぐそう思いました」
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「もっともです」
言うなり、ファウストは銃を構えて大木の魔物の枝や根を撃つ。
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「おい、お前の力でどうにかなんねえのか!」
「なりますけど」
「なら…!」
「私、フォスのちょっといいとこ見てみたいんですよねえ」
踊るような動きで大木の枝や根を避けながらクリスはにっこりと微笑む。
それにファウストはもう一度舌打ちした。
意訳:お前一人でなんとかして。
ということだ。
「本当に、厄介面倒くさい女だよ」
そう呟くとファウストは魔物の攻撃を躱しながら一定の距離を保った場所で着地する。
そのまま銃を構え、引き金を引いた。
銃弾が当たったのは、根元の女の額。
銃弾が撃ち込まれた額は鮮血を噴き出し、この世のものとは思えない断末魔を上げて萎れていく。そのまま腐った木のような姿になった女の身体を一瞥し、ファウストは小銃をホルダーに戻す。
「この魔物は喰らった人間の身体に寄生するんだろ。
普通の人間は人の姿をしたものを攻撃出来ないからな」
「でもフォスは迷わず狙いましたね」
「依頼で女を殺したことがないわけじゃねえ」
「おや、そこもお互い様で」
「結局、人でなしには勝てないようになってんだよ。世の中」
そう吐き捨てる。そして背後のクリスを振り返った。
「だろ。クソ女」
「まあ、同じ人でなし仲間ですね。仲良くやりましょう」
どこか上機嫌に笑ったクリスに、嫌なこった、と舌を出した。
「って、ギルドに行って金を受け取ったのはいいが、なんでだよ」
「なにがです?
報酬はちゃんと半分こしたでしょう?」
「そこじゃねえよ」
こめかみをひくつかせたファウストの前には、ベッドが二つ並んだ宿屋の一室。
もう窓の外は暗い。
「なんで二人部屋なんだよ!」
「だって一人ずつ部屋を取るのは不経済ですし、あなた絶対、私にその気にならないでしょう?」
「金積まれたってならねえが…!」
「それに百戦錬磨のフォスなら、私みたいな貧相な身体を見ても間違いは起こさないでしょうからね」
にこにこといつもの食えない笑顔で言って、クリスは荷物をベッドの上に置くと、
「じゃあ、私はお風呂に行ってきますね。また夕食のときに」
と告げて部屋の扉に近づき、扉を開けて出て行ってしまう。
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