3 / 18
強面の三十路兵士団長 × 若きエリート騎士団副長
3.兵士団長 × 騎士団副長(続)
しおりを挟む
ギシリ、と鳴る音を聞きながら。
こんな事になるならもう少し大きなベッドを買えば良かった……と、モナイは現実逃避にも似た事を考えていた。
「なぁ、ヨーナ副長?」
ナンディの声が予想していたよりも近い。
ビクリと肩を震わせたモナイだが、ナンディから言い難そうな気配を感じて枕から顔を外す。
この状況で、ナンディが何を躊躇うのか。
思い当たるのは、彼が『そもそもこの行為自体に戸惑っている』だろうという事だ。
それは当たり前だとモナイは思う。
大して親しくもない、互いの就いている役職から、辛うじて顔と名前とが一致する程度の知り合いだったモナイに、尻穴を弄る事を頼まれたのだから。
だが、だからと言って今更「やっぱり止めよう」と言われても困ってしまう。
「どうした……、な……何か、問題が…」
「もうちょっと足、広げられねぇか?」
恐る恐る尋ねたモナイに対して、ナンディの言葉はシンプルだ。
しかし、告げられた内容に、モナイは再び肩を震わせた。
今のモナイの姿勢はほぼうつ伏せに近い斜め向きで、枕を抱え、揃えた両足は付け根と膝の位置で軽く曲げている状態だ。
ナンディがモナイの尻肉を手で広げれば、容易に尻穴が晒せるのだから、足を開かねばならない理由がモナイには思い当たらない。
「何故だ……? べ、別に、横からでも…」
「横からじゃ見辛いんだ。触るだけならともかくよ、……何を入れるにしたって手探りはマズい。」
「そっ……。そう、か……分かった。」
とにかく入れれば良いだろうと軽く考えていた事に、モナイは気付かされる。
ローションをじっくり温めてくれた事と言い。自分よりもナンディの方が、自分の症状に対して真剣に向き合ってくれているように感じた。
忙しいであろう兵士団長の、貴重なプライベート時間を貰っている事は間違いない。
それに元はと言えば自分から頼んだ事なのだ。
手間を掛けさせているのだから、もう泣き言を洩らすのも考えるのも止めよう。
心の中でそう決めて、モナイはおっかなびっくり身体を動かす。
ナンディから見え易いように、うつ伏せで両足を開き、膝を立てて、尻を上げた。
大きな枕に上体を埋め、片腕を自分の尻へと伸ばし。その場所を知らせるべく、孔の襞を指先で辿って見せる。
泣き言は振り払ったが、残念ながら羞恥心だけは消えず。
モナイにはナンディの反応を確認する余裕は無かった。
「こ、これで……大丈夫か?」
「……あ、あぁ。大丈夫、だ……。」
恥ずかしがりながら自分の尻を広げて見せるモナイは、通常時の彼を……整った容貌に酷薄な笑みを貼り付けた姿を知らない者が見ても、劣情を掻き立てられる姿態をしていた。
思わずナンディが生唾を飲んだ事に、モナイは気が付いていない。
眼前に広がる絶景を脳膜に焼き付けようと、ナンディの瞳孔はこれでもかと言うぐらいに開き切っていた。
誰もが知っている、あの。
第二騎士団のエリート副長が、こんな。
夜の蝶でも滅多にやらないような淫らな姿勢を取って、秘められた場所を晒している。
肌を薄く桃色に染め上げながら、繊細な箇所へと自分で指を這わせ、そこを弄って欲しいと強請っている。
しかも、あの。
鉄の人形と言われるぐらい、整っているクセに高慢な表情を殆ど崩さない顔が。
足を広げるように言われただけで、恥ずかしがるような、狼狽えるような様子で視線を泳がせていた。
あん時、変な警戒しねぇで付いてって良かった。
と、ナンディは。これまでの人生の中で一番、今日の自分を褒めた。
今朝、宿舎を出てすぐの場所で。
待ち構えていたモナイから声を掛けられた。
ナンディに今夜の予定が無いかを確認し、声を潜めて「内密に頼みたい事がある」と言ったモナイは、何を考えているか分からない無表情だった。
それを聞いた時のナンディは、やっぱりそう来たか……と、内心で呟いていた。
兵士団長であるナンディはモナイに『借り』があったからだ。
ナンディの部下である、兵士団のスーパールーキーの所為で。あわやモナイが大怪我を負い掛けるという事態が、直近の過去に起きていた。
もちろんモナイは無事だったし、実はスーパールーキーの動き自体は間違った事では無かったのだが、それでも第二騎士団から問題にされそうだった所を。
当の本人であるモナイの申し出により、不問として貰っていた。
――― 鉄の人形に甘っちょろい情など無い。
兵士達の見解は概ねこうだったし、ナンディも、何か思惑があるのだろうと睨んでいた。
モナイの性格が悪いというのではなく、エリート副長殿は転んでも只では起きぬと評判だったから。
いずれ今回の借りを返すよう、モナイから要求される事を覚悟していたのだ。
そして夜。
食事をご馳走になり、モナイの自室に招かれたナンディは。
モナイの口から、思いもよらぬ頼み事を聞く。
余りの衝撃でナンディは、碌に考えられないままそれに応じていた。
腰を高く上げたモナイの背後から、ナンディは足の間に場所を取る。
目の前に、弾力のありそうな尻が待ち構えていた。
さぞや面倒な事を頼まれるかと思ったら。こんな……まさかの僥倖とは、な。
……明日、死ぬんじゃないのか?
こんな事になるならもう少し大きなベッドを買えば良かった……と、モナイは現実逃避にも似た事を考えていた。
「なぁ、ヨーナ副長?」
ナンディの声が予想していたよりも近い。
ビクリと肩を震わせたモナイだが、ナンディから言い難そうな気配を感じて枕から顔を外す。
この状況で、ナンディが何を躊躇うのか。
思い当たるのは、彼が『そもそもこの行為自体に戸惑っている』だろうという事だ。
それは当たり前だとモナイは思う。
大して親しくもない、互いの就いている役職から、辛うじて顔と名前とが一致する程度の知り合いだったモナイに、尻穴を弄る事を頼まれたのだから。
だが、だからと言って今更「やっぱり止めよう」と言われても困ってしまう。
「どうした……、な……何か、問題が…」
「もうちょっと足、広げられねぇか?」
恐る恐る尋ねたモナイに対して、ナンディの言葉はシンプルだ。
しかし、告げられた内容に、モナイは再び肩を震わせた。
今のモナイの姿勢はほぼうつ伏せに近い斜め向きで、枕を抱え、揃えた両足は付け根と膝の位置で軽く曲げている状態だ。
ナンディがモナイの尻肉を手で広げれば、容易に尻穴が晒せるのだから、足を開かねばならない理由がモナイには思い当たらない。
「何故だ……? べ、別に、横からでも…」
「横からじゃ見辛いんだ。触るだけならともかくよ、……何を入れるにしたって手探りはマズい。」
「そっ……。そう、か……分かった。」
とにかく入れれば良いだろうと軽く考えていた事に、モナイは気付かされる。
ローションをじっくり温めてくれた事と言い。自分よりもナンディの方が、自分の症状に対して真剣に向き合ってくれているように感じた。
忙しいであろう兵士団長の、貴重なプライベート時間を貰っている事は間違いない。
それに元はと言えば自分から頼んだ事なのだ。
手間を掛けさせているのだから、もう泣き言を洩らすのも考えるのも止めよう。
心の中でそう決めて、モナイはおっかなびっくり身体を動かす。
ナンディから見え易いように、うつ伏せで両足を開き、膝を立てて、尻を上げた。
大きな枕に上体を埋め、片腕を自分の尻へと伸ばし。その場所を知らせるべく、孔の襞を指先で辿って見せる。
泣き言は振り払ったが、残念ながら羞恥心だけは消えず。
モナイにはナンディの反応を確認する余裕は無かった。
「こ、これで……大丈夫か?」
「……あ、あぁ。大丈夫、だ……。」
恥ずかしがりながら自分の尻を広げて見せるモナイは、通常時の彼を……整った容貌に酷薄な笑みを貼り付けた姿を知らない者が見ても、劣情を掻き立てられる姿態をしていた。
思わずナンディが生唾を飲んだ事に、モナイは気が付いていない。
眼前に広がる絶景を脳膜に焼き付けようと、ナンディの瞳孔はこれでもかと言うぐらいに開き切っていた。
誰もが知っている、あの。
第二騎士団のエリート副長が、こんな。
夜の蝶でも滅多にやらないような淫らな姿勢を取って、秘められた場所を晒している。
肌を薄く桃色に染め上げながら、繊細な箇所へと自分で指を這わせ、そこを弄って欲しいと強請っている。
しかも、あの。
鉄の人形と言われるぐらい、整っているクセに高慢な表情を殆ど崩さない顔が。
足を広げるように言われただけで、恥ずかしがるような、狼狽えるような様子で視線を泳がせていた。
あん時、変な警戒しねぇで付いてって良かった。
と、ナンディは。これまでの人生の中で一番、今日の自分を褒めた。
今朝、宿舎を出てすぐの場所で。
待ち構えていたモナイから声を掛けられた。
ナンディに今夜の予定が無いかを確認し、声を潜めて「内密に頼みたい事がある」と言ったモナイは、何を考えているか分からない無表情だった。
それを聞いた時のナンディは、やっぱりそう来たか……と、内心で呟いていた。
兵士団長であるナンディはモナイに『借り』があったからだ。
ナンディの部下である、兵士団のスーパールーキーの所為で。あわやモナイが大怪我を負い掛けるという事態が、直近の過去に起きていた。
もちろんモナイは無事だったし、実はスーパールーキーの動き自体は間違った事では無かったのだが、それでも第二騎士団から問題にされそうだった所を。
当の本人であるモナイの申し出により、不問として貰っていた。
――― 鉄の人形に甘っちょろい情など無い。
兵士達の見解は概ねこうだったし、ナンディも、何か思惑があるのだろうと睨んでいた。
モナイの性格が悪いというのではなく、エリート副長殿は転んでも只では起きぬと評判だったから。
いずれ今回の借りを返すよう、モナイから要求される事を覚悟していたのだ。
そして夜。
食事をご馳走になり、モナイの自室に招かれたナンディは。
モナイの口から、思いもよらぬ頼み事を聞く。
余りの衝撃でナンディは、碌に考えられないままそれに応じていた。
腰を高く上げたモナイの背後から、ナンディは足の間に場所を取る。
目の前に、弾力のありそうな尻が待ち構えていた。
さぞや面倒な事を頼まれるかと思ったら。こんな……まさかの僥倖とは、な。
……明日、死ぬんじゃないのか?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる