尻穴がバイブレーションしちゃう職業病が成人病として広まってしまった世界

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強面の三十路兵士団長 × 若きエリート騎士団副長

8.兵士団長 × 騎士団副長(その後の話)

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ナンディとモナイが初めて行為に及んだ後、約一週間に渡り、モナイの症状は緩和された。
精液を注入すると安定した状態が長続きする。……というのは未だ仮説の話。しかも効果のある期間は二日~十日程度と、かなりマチマチだ。
それを考えれば、ナンディの精液とモナイの症状とは比較的相性が良かったようだ。

とは言え。
一週間が経過すれば、鎮まっていたモナイの尻穴バイブレーション機能はオンになってしまう。
それまで尻の襞がビルビル震える症状に耐えられていたモナイだったが、その振動が無くなった際の『スッキリ感』を知ってしまった後では。
自分の身体の、あられもない場所が疼き続ける状態に耐えるのは難しかった。


……マサラー団長も言ってくれたではないか。また症状が出たら自分を頼れ、と。
私としても、自分が常に万全でいられるのであればそれに越した事は無い。
定期的にマサラー団長を煩わせてしまうのは申し訳ないと思うが、どうか、もう少しだけ……。誰か『大事な人』が出来たのなら、その時にはもう迷惑を掛けないと約束しよう。

仄かに抱いた感情は肉体の快楽に引き摺られてのもの。
モナイはそう結論付ける事にした。



そうして、あの後からも。
一週間前後に一度の割合で、モナイはナンディに対処療法を求めている。

第二騎士団と兵士団が職務を共にする事は殆どないが、この二つの団は宿舎が近い場所にあった。
その為、宿舎の出入りの際や、近場の店で飲食を済ませようとした時に、顔を会わせる機会は意外に多い。
だからモナイが頼みたい時には、比較的容易に、ナンディを捕まえる事が出来た。

モナイがナンディに容易く声を掛けられるのは、実はナンディも『そのツモリ』でいたからだ。
ナンディはモナイの『周期』に合わせて、簡単に顔を会わせられるようにタイミングを見計らい、色々と調整していた。
実際の所、モナイが声を掛けそびれた時には、逆にナンディから声を掛けたりもしていた。

それはナンディも、何とも言い難い感情をモナイに対して抱いていた為だが。
何かと調整をしてまで抱こうとしている。という事までは、流石にモナイに伝わるわけがない。






幾度か身体を重ねた後の、ある日の事。

ナンディは、モナイの部屋を訪れていた。
目的はもちろん、モナイを悩ませている『振動病』の対処療法を行う為。

その日は二人とも午後から休暇で……今回はモナイがナンディに合わせる形で休暇を取得したのだが……午後のお茶を楽しむような時間帯からの訪問だ。
いつもは職務の後に会う為、当然にその時間帯も遅く、ナンディが自分の宿舎に戻る頃には僅かな仮眠しか取れないような時刻になってしまう。
それを申し訳なく思ったモナイが、偶には帰りが遅くならない時間で、と言い出したのだ。

後から考えれば、それはそれで団長に休暇を取らせた挙句にその時間を貰う事になるのだが。モナイがハッとした時には既にナンディは、半日執務とする日の予定を組んでしまっていた。



まだ明るい時間に対処療法を終え、夜になって。
寝室とは違う部屋で、ナンディへのお礼代わりにモナイが食事を振る舞っている。


「ぁー、……所で、マサラー団長。一つ提案なのだが……。」

言い出したモナイの表情は至極真面目なものだった。
飲み掛けていたグラスをテーブルに置き、ジッとナンディを見詰める。

正面から自分を捉える美しい細面に、ナンディは肉を咀嚼する振りで誤魔化しながら咽喉を鳴らした。

「……行為中はお互いに、副長、団長と呼び合うのは止めないか? その……最中に、職務上の立場を思い出して恥ずかしい。それに、我々は立場上、職務として顔を会わせる事も皆無では無い。そうした際に、妙な事を思い出すのも良くないだろう?」
「………………分かった。」

それ、ってよ……。
職場にいる時と同じ呼び方は嫌っていうカップルの発想と同じなんだが……気付いてねぇんだろぉな~。

ナンディは一瞬、指摘しようかと考えて。止めた。
そんな事にも気が付かないでいるモナイが可愛く感じたからだ。


咳払いをして、モナイは話を進める。

「ではさっそく練習だ。っま……、いや、……な、……ナ、ん…………。」
「…………ヨーナ副長?」
「あっ、呼び方っ! 肩書を呼ばないという話をしているのにっ!」
「いや、アンタだって…」
「わ、私はこれから名で呼ぶつもりだ! だから貴方も、私の事をモナイと呼んで欲しい!」


言葉だけ聞いたら、距離を縮めてくれない恋人への文句みてぇなんだが……大丈夫か?


「モ、ナ…ィ……?」
「い、が小さい! モナイだ! ほら、ちゃんと呼んで!」
「……モナイ。」
「声が小さいっ。団長らしくないぞっ。」
「モナイ! ……さて、と。オレは呼んだぜ? 次は、モナイの番だ。」
「あ……。」


しまった、そうか。私も、呼ばなくては……。な、なん……。


「ほれ、早く。言ってみろ。……ナンディ。」
「な、ん……で、ぃ…」
「違うっ。ナ、ン、ディ、だろ。」
「……ナン、ディ…」
「声が小っせぇ。」


顔を真っ赤にしたモナイが、なかなか「ナンディ」とスムーズに呼べず。
二人で妥協した結果、ナンディを「ディー」と呼ぶ事で手を打った頃には、すっかり遅い時間になっていた。




その後すぐ。
いつもマサラー団長を部屋に連れ込んでいるヨーナ副長が、自分の事をモナイと呼ぶように迫った。

という噂が、二人に知られぬよう広まった。らしい。
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