尻穴がバイブレーションしちゃう職業病が成人病として広まってしまった世界

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癒し系美人騎士団長 + 強面の三十路兵士団長 × 若きエリート騎士団副長

6.騎士団長 + 兵士団長 × 騎士団副長

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「執務時間外に済まないね、ヨーナ副長。」
「いえ、問題ありません。」

モナイは第二騎士団の『鉄の人形』と称される副長だ。職務中に内心の動揺が表に出るような事は滅多にない。
しかし、私室をいきなり訪問したキリとナンディに対し、密かに戸惑っていた。

このような遅い時間帯に、この二人の組合せで、何の前触れもなくやって来る。という事に、何かしらの不穏な気配を感じたからだった。
何らかの緊急事態が生じたのだとしても。
モナイが所属する第二騎士団の団長であるキリだけならばともかく、兵士団の長であるナンディをわざわざ伴っている事の意味が分からない。
キリにもナンディにも、神経を尖らせるような切迫した様子は見受けられない。かと言って穏やかな雰囲気とは呼べない。
最も適切な表現としては、些かの緊張感。
が妥当だろう。特にナンディが。


ふと、モナイは思い至った。

もしかすると昼間、王城内で。団長だけが聞いたであろう話について、ではないか。
王城から騎士団に戻った後も、団長からは何も言われなかったが。団内では口に出すのを憚られるような問題……表立って動くわけには行かない内容か、それとも極めて私的かつ繊細な事柄か。
あの時に私が聞けなかった話について伝えて貰えるのなら。
恐らくは相当に深刻な話なのだろう。気を引き締めねば。

何を聞かされても良いようにと、努めて心を落ち着けながら。
殆ど動きの無い表情で、モナイは訪問者を室内へと招き入れた。





応接セットのソファへと案内され。何か飲み物でも用意しようとするモナイに、キリもナンディも一応は遠慮したのだが。
だからと言ってモナイが、「ハイそうですか」と言うわけにも行くまい。
残念ながら、いつでもすぐに茶を出せる程、モナイが常に温かい湯を用意しているわけでもない為。結局ここでもワイン瓶を空ける事になる。


長ソファにキリが一人で身体を預け、その向かい側で一人掛けソファにナンディが座っている。
その二人とちょうど直角に位置する場所。お誕生日席のソファにモナイが腰を下ろした。

ワインで舌を湿らせながらキリが眦を細めてナンディとモナイとを見やる。
一般的な評価としては『微笑の君』と称される柔らかい美形の、その口元が緩やかに弧を描いてはいても。その表情は『苛立ちをどうにか抑えている鬼畜攻め』の微笑に見えて仕方ない。
キリ・バイハル団長は今、決して楽しい気分ではないようだ。……と。
キリを見ている二人はそう感じていた。


そして実際の所。
キリはこっそりと困り、弱り、焦っていた。

ナンディの前でモナイに『王子殿下の用件』を伝えれば色々と面倒事が回避出来るかと思い、モナイの部屋に来た所までは良い。
だが肝心の、どう説明しようかという所を全く考えていなかった。
そもそもキリは、王子殿下からの依頼をモナイに話す気が無かったのだから仕方ない。
ナンディを案内してここに来るまでの間も、酔っ払って少々具合が悪くなったのもあり。手短に事実だけを伝えて後はナンディに任せて帰ろう、などと考えてしまっていた。


手短に、か……。まずいな、身も蓋も無い言い方をしてしまいそうだ。
仮に最悪の場合でも。僕が王子殿下を抱ける自信が無い、という事まで話してしまわないよう。それだけは注意しなくてはな。



キリから話すべきだと考えているナンディは口を開かない。
もちろんモナイも、上司であるキリが話すのを神妙に待っている。

キリは二人の顔を交互に見比べ。
開き直って話し始めた。


「ヨーナ副長には、どのように話そうかと考えたんだけどね?」
「やはり、殿下から。何か……あったのですね。」
「もしかすると今後、月に何度か、僕一人で王城に上がる事になるかも知れない。デューク王子殿下とお会いする為に。詳細はまだ決まっていないが、分かり次第、知らせよう。」
「……承知しました。」

言葉に出してしまえば実にシンプルな説明で済んだ。
酔っ払って半ば面倒になって来たのが逆に良かったのかも知れない。
こんなに咽喉が渇くぐらい困ったのは一体何だったのか。

手元に目線を下ろせば、キリのグラスの中身はまだ半分程も残っている。考えていたよりも随分と早く話が終わってしまったようだ。
早くお暇すべきと判断したキリは、残りを一気に飲み干した。



「ご馳走様」と言おうとしたキリの視界に、今一つ納得が行かない様子のナンディの姿が入り込む。
今の説明の一体何が不満なのか。
やや考えてから、唐突にキリは思い出した。

モナイの部屋にわざわざナンディを連れて来たのは。王子殿下と身体を重ねる任務を打診された事について、モナイとナンディの仲が拗れないようにフォローしてやろうと考えたからではなかったか。
すっかり忘れていた。
果たして本当にそうだったかと言われれば記憶が微妙だが、とりあえず『用件』も済んだ事だし。酔っ払っていても少しぐらいの話は出来るだろう。


気が重かった説明を終えて楽になったキリは。
気を揉んでいるであろうナンディに。
頼もしいと思えるような、心からの微笑を向けた。
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