345 / 364
第六章 ~ゲームと違ってオレのハーレムは自動生成されない~
今日の予定が急に決まった
しおりを挟む
「イグゥ、何やってるの?」
「鍵でも無くしましたか?」
自宅の外壁にぶら下がる怪しいオレに話し掛けて来た声は、二人分。
振り返る前でも分かった。フィロウと、たぶんエステードさん。
そっと確認したら、オレの斜め下辺りから二人が見上げてた。
フィロウはちょっと驚いたような表情で。エステードさんは何だか苦笑っぽい。
「イグゥってば、なんでそんな所にぶら下がってるの? 凄く怪しいよ?」
「あ~、いや、ちょっとな……。」
「玄関は開いてないんですか? 鍵、一緒に探しましょうか?」
「いや、鍵が無くて二階の窓から入ろうってワケじゃなくて。えぇと、……この体勢と距離で話すのもオカシイよな。二人とも、ちょっと離れてくれ。今、降りるから。」
二人が距離を取ってくれたのを確認して、オレは壁を軽く蹴りながら手を離す。
ただ手を離して落下したら、壁に身体が擦れちゃう可能性があるからな。
壁に背中を向けるように空中で反転、地面に飛び降りた。
着地したオレに、更に驚いた表情のフィロウが駆け寄って来る。
「なっ、何やってるのっ!」
「ちょっとぶら下がってみたくなって…」
「飛び降りるなんて危ないじゃない! 怪我でもしたらどうするの!」
「それは大丈夫だ。流石にこの高さくらいじゃ、落ちても怪我しないし。それに今のは『予想外に落ちてしまった』じゃなくて、『安全に飛び降りた』だから安心してくれ。」
「……もおぉ~っ。」
王子様フェイスを心配そうに曇らせるフィロウ。
オレは安心させるべく、精一杯、力強く言った。
力強く頷いても効果があまり無いって、分かったからな。
フィロウは心配して、ちょっとプリプリして、それから許してくれた。
「窓から入ろうとしてたんじゃないんですか。」
「エステードさん、それも違うから安心してくれ。」
エステードさんもエステードさんで、納得行かないって顔をしてる。
オレが二階からぶら下がってた件について、シッカリした理由が無いからだな。
これに関してはほっといて良さそうだ。
ところで……。オレも、気になってることがある。
お昼前から兄弟二人揃って訪ねて来る理由。
この時間、ルサーが家にいないのはエステードさんは分かってるハズ。
だったら用事があるのはオレに、ってワケで。
それを考えたら、こんな、呑気にしてる場合じゃないぞ。早く聞かなきゃ。
話を逸らす為じゃないからな。
「それはそうと……二人してオレに、何か用事か?」
「そうだった。イグゥに伝えたい事があって来たんだよ。ハーレムの事。」
「危うく忘れる所でしたね?」
「お兄さんっ……。もうっ、忘れたりなんかしないもん。」
そうだぞ、忘れられたら困るぞ。
例え、それが良い話って限らなくてもな。
「あのね、イグゥ。お父さんとお母さんがね。ハーレムに入ってもいい、って。」
「許可して貰えたのか。良かった……。えっと……エステードさんは?」
「私は保留です。」
「そんな……っ!」
フィロウのハーレム入りの許可が意外に早かったから、オレは期待してた。
でもエステードさんのアッサリした言葉に、デジャヴを感じつつ膝を着く。
厳しいっ。厳しいぞ、エステードさん。
ここはエステードさん、ちょっと渋々でも「いいですよ」って言う流れだろ。
流石は最難関って仮定しただけはあるぞ。
「ちゃんとフィロウを大事にしてくれるか、ハーレムに入ってからもシッカリ様子を観察してますからね? 油断しないようにしてください。」
「ぃよ……っしゃ! じゃ、許可してくれるんだな?」
「保留です。」
「そんなっ!」
再びガクリってなるオレ。
そんなオレを見てエステードさんはクスクス笑った。
小さな声を漏らして笑う様子を見たら、オレもホッとする。
「それでね、イグゥ。ボクの加入手続きなんだけど、今日これから、どうかな?」
「オレは予定無いから構わない。でもまだ、フィロウの両親に挨拶してないぞ。」
「大丈夫。教会に行ったら会えるから。」
「そっ……そうか。」
まさかの、加入手続きと両親への挨拶を同時に済ませる、ってヤツか~。
ちょっと慌ただしいなぁ。むしろ逆に、それくらいの方が緊張しなくていいか?
「大丈夫かなぁ、オレ、殴られたりしないかな?」
「イグゥが堂々としてれば大丈夫だよ。」
「イグゥ君が既にハーレム登録をした天守だと、分かってますからね。客観的な証拠がある事ですから、両親も安心出来たはずです。」
教会で手続きをしたから、少なくともオレが天守だ、って点だけは確実だ。
それなら……あの日、ハーレムを作っといて良かったんだな。
じゃ、後はオレが心の準備をしとけばいい話か。
あぁ……だったら、教会へ行く前に。
「教会へ行く前に、さ。詰め所に行ってもいいかな? ルサーにも伝えときたい。」
「いいよ、勿論。」
「昼の休憩時に話せば良いですね。」
「ありがとう。急いで支度して来る。」
「あんまり慌てなくてもいいよ。馬車で来てるから。」
「分かった。でもなるべく急ぐ。」
二人を待たせてるんだから、出来るだけ急ぐのは普通にマナーだろ。
洗濯物を干したまま、しばらく放置になるのは仕方ないよな。
「鍵でも無くしましたか?」
自宅の外壁にぶら下がる怪しいオレに話し掛けて来た声は、二人分。
振り返る前でも分かった。フィロウと、たぶんエステードさん。
そっと確認したら、オレの斜め下辺りから二人が見上げてた。
フィロウはちょっと驚いたような表情で。エステードさんは何だか苦笑っぽい。
「イグゥってば、なんでそんな所にぶら下がってるの? 凄く怪しいよ?」
「あ~、いや、ちょっとな……。」
「玄関は開いてないんですか? 鍵、一緒に探しましょうか?」
「いや、鍵が無くて二階の窓から入ろうってワケじゃなくて。えぇと、……この体勢と距離で話すのもオカシイよな。二人とも、ちょっと離れてくれ。今、降りるから。」
二人が距離を取ってくれたのを確認して、オレは壁を軽く蹴りながら手を離す。
ただ手を離して落下したら、壁に身体が擦れちゃう可能性があるからな。
壁に背中を向けるように空中で反転、地面に飛び降りた。
着地したオレに、更に驚いた表情のフィロウが駆け寄って来る。
「なっ、何やってるのっ!」
「ちょっとぶら下がってみたくなって…」
「飛び降りるなんて危ないじゃない! 怪我でもしたらどうするの!」
「それは大丈夫だ。流石にこの高さくらいじゃ、落ちても怪我しないし。それに今のは『予想外に落ちてしまった』じゃなくて、『安全に飛び降りた』だから安心してくれ。」
「……もおぉ~っ。」
王子様フェイスを心配そうに曇らせるフィロウ。
オレは安心させるべく、精一杯、力強く言った。
力強く頷いても効果があまり無いって、分かったからな。
フィロウは心配して、ちょっとプリプリして、それから許してくれた。
「窓から入ろうとしてたんじゃないんですか。」
「エステードさん、それも違うから安心してくれ。」
エステードさんもエステードさんで、納得行かないって顔をしてる。
オレが二階からぶら下がってた件について、シッカリした理由が無いからだな。
これに関してはほっといて良さそうだ。
ところで……。オレも、気になってることがある。
お昼前から兄弟二人揃って訪ねて来る理由。
この時間、ルサーが家にいないのはエステードさんは分かってるハズ。
だったら用事があるのはオレに、ってワケで。
それを考えたら、こんな、呑気にしてる場合じゃないぞ。早く聞かなきゃ。
話を逸らす為じゃないからな。
「それはそうと……二人してオレに、何か用事か?」
「そうだった。イグゥに伝えたい事があって来たんだよ。ハーレムの事。」
「危うく忘れる所でしたね?」
「お兄さんっ……。もうっ、忘れたりなんかしないもん。」
そうだぞ、忘れられたら困るぞ。
例え、それが良い話って限らなくてもな。
「あのね、イグゥ。お父さんとお母さんがね。ハーレムに入ってもいい、って。」
「許可して貰えたのか。良かった……。えっと……エステードさんは?」
「私は保留です。」
「そんな……っ!」
フィロウのハーレム入りの許可が意外に早かったから、オレは期待してた。
でもエステードさんのアッサリした言葉に、デジャヴを感じつつ膝を着く。
厳しいっ。厳しいぞ、エステードさん。
ここはエステードさん、ちょっと渋々でも「いいですよ」って言う流れだろ。
流石は最難関って仮定しただけはあるぞ。
「ちゃんとフィロウを大事にしてくれるか、ハーレムに入ってからもシッカリ様子を観察してますからね? 油断しないようにしてください。」
「ぃよ……っしゃ! じゃ、許可してくれるんだな?」
「保留です。」
「そんなっ!」
再びガクリってなるオレ。
そんなオレを見てエステードさんはクスクス笑った。
小さな声を漏らして笑う様子を見たら、オレもホッとする。
「それでね、イグゥ。ボクの加入手続きなんだけど、今日これから、どうかな?」
「オレは予定無いから構わない。でもまだ、フィロウの両親に挨拶してないぞ。」
「大丈夫。教会に行ったら会えるから。」
「そっ……そうか。」
まさかの、加入手続きと両親への挨拶を同時に済ませる、ってヤツか~。
ちょっと慌ただしいなぁ。むしろ逆に、それくらいの方が緊張しなくていいか?
「大丈夫かなぁ、オレ、殴られたりしないかな?」
「イグゥが堂々としてれば大丈夫だよ。」
「イグゥ君が既にハーレム登録をした天守だと、分かってますからね。客観的な証拠がある事ですから、両親も安心出来たはずです。」
教会で手続きをしたから、少なくともオレが天守だ、って点だけは確実だ。
それなら……あの日、ハーレムを作っといて良かったんだな。
じゃ、後はオレが心の準備をしとけばいい話か。
あぁ……だったら、教会へ行く前に。
「教会へ行く前に、さ。詰め所に行ってもいいかな? ルサーにも伝えときたい。」
「いいよ、勿論。」
「昼の休憩時に話せば良いですね。」
「ありがとう。急いで支度して来る。」
「あんまり慌てなくてもいいよ。馬車で来てるから。」
「分かった。でもなるべく急ぐ。」
二人を待たせてるんだから、出来るだけ急ぐのは普通にマナーだろ。
洗濯物を干したまま、しばらく放置になるのは仕方ないよな。
0
あなたにおすすめの小説
泥酔している間に愛人契約されていたんだが
暮田呉子
BL
泥酔していた夜、目を覚ましたら――【愛人契約書】にサインしていた。
黒髪の青年公爵レナード・フォン・ディアセント。
かつて嫡外子として疎まれ、戦場に送られた彼は、己の命を救った傭兵グレイを「女避けの盾」として雇う。
だが、片腕を失ったその男こそ、レナードの心を動かした唯一の存在だった。
元部下の冷徹な公爵と、酒に溺れる片腕の傭兵。
交わした契約の中で、二人の距離は少しずつ近づいていくが――。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
僕がサポーターになった理由
弥生 桜香
BL
この世界には能力というものが存在する
生きている人全員に何らかの力がある
「光」「闇」「火」「水」「地」「木」「風」「雷」「氷」などの能力(ちから)
でも、そんな能力にあふれる世界なのに僕ーー空野紫織(そらの しおり)は無属性だった
だけど、僕には支えがあった
そして、その支えによって、僕は彼を支えるサポーターを目指す
僕は弱い
弱いからこそ、ある力だけを駆使して僕は彼を支えたい
だから、頑張ろうと思う……
って、えっ?何でこんな事になる訳????
ちょっと、どういう事っ!
嘘だろうっ!
幕開けは高校生入学か幼き頃か
それとも前世か
僕自身も知らない、思いもよらない物語が始まった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる