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01 ローズ聖帝国はヌルゲーにありがちな国

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大陸の東側にあるローズ聖帝国は豊かな国だ。

帝国と言っても、高い軍事力で諸国を従わせるような、尖った強大国ではない。

東側と南側とを恵み豊かな海で囲まれた、そこそこに広大な国土からそれなりの実りが採れる、侵略の標的にされやすそうな中堅国だ。



そんな国家が何代にも渡って平和を享受できるのには、もちろん理由がある。


その1つは、地理的な事情だ。

地続きで聖帝国と繋がる隣国は、いずれも小国だった。

比較せずとも国力に差があるのは歴然としている。

仮に何処かの国が、自国の国力を高めるために他国に戦争を仕掛けるとしても、その相手に聖帝国を選ぶのは、あまりにも無謀と言わざるを得ない。

また、西方にある血気盛んな大帝国に狙われた場合でも。

攻め込んで来るには大帝国と聖帝国との距離はかなり遠く、幾つもの国々を軍隊が通らなければならない。2国の間には大帝国のことをあまり良く思っていない中堅国も存在するため、進軍はなかなか難しい話だろう。


もう1つの理由は……こちらの方が重要なのだが……次元を超越した者の存在だ。

神に愛された者だとも、神から使命を授かった者だとも言われている。

実際に、歴史上で確認されたいずれの人物もが、この世界の人々を遥かに超える能力を持っていた。

ある者は類い稀なる魔力を。ある者は素晴らしい知識を。ある者は人々に癒しを。

まとめて<超越者>と称される彼らは、対象者によって更に細かく、<聖者>や<神子>、<愛し子>など、それぞれの特徴を表す二つ名で呼ばれた。



何年ごとか、何十年ごとか。

出現間隔はまばらだが、しばしば彼らは現れ、ローズ聖帝国を支えてくれた。

その頻度・回数は、同じ大陸に存在する他の国々など比にならない。


だが彼らの恩恵を受けるためには条件がある。

それは<神の遊技>と呼ばれる儀式を完遂することだ。


記録に残されている<神の遊技>の概要は、以下のとおり。


 1 身分・立場を問わず、神に指定された者達は必ず遊技に参加すること。

遊技の参加者には、神から選別されたことが確実に分かる方法で指示があるという。

選ばれた者は、例え皇帝でも参加拒否は許されない。

だがその分、参加者には、国やビエル教会からそれなりのバックアップがある。


 2 参加者は神からの指示に従って物事を進めていき、最終的に、<超越者>と良い関係を築くこと。

これは、<超越者>が国内で暮らすことで恩恵をもたらす、ということだ。

つまりは、<超越者>が「この国に住みたい」と希望するように努めなくてはならないし、それが叶わない場合でも、せめて、この国を気に入ってもらう必要がある。




その<神の遊技>がもうそろそろ、ローズ聖帝国にて開催されるようだ。


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