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対等でありたい
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佐々木と恋人になってから、なんだかんだ一か月ちょっとが経った。
学校帰りに佐々木ん家に寄って、ひと通り宿題を済ませたら二人してクッションによっかかってイチャイチャする、いつも通りの甘々な日々。前と違うのは、隣同士に座ってるんじゃなくて、佐々木に抱きしめられるみたいな体勢で座るのがデフォルトになった事だろう。
気持ちを確かめあったその日でラブラブセックスまでもつれ込んでしまったオレ達は、もちろん猿のように翌日もベッドの中でいちゃついた。ヤリたい盛りの男子高校生なんだからそれは仕方ない。
それでも流石に最終日は体がもたねーし、ゆっくり二人でテレビでも見よっか、って事になった。その日からずっとこのソファに座る時はこのポジショニングだ。
佐々木が先に座って、満面の笑顔で両手を広げて「おいで」ってしてくる。
俺としてはあの日いきなりエロい事された体勢になるわけだから、最初はちょっと警戒したけど、佐々木は単にオレを抱きしめたままテレビでもマンガでもゲームでもできるから、こうしていたいだけらしい。
オレもオレで、離れてるとキスしようとしてきたり、あちこち触ってきたりしがちな佐々木が、長時間大人しくしているのがこの体勢だから、マンガとか集中して読みたい時にはむしろこっちの方がいい。
「あー……幸せ」
黙々とマンガを読むオレの腹に腕を回し、後ろからオレの肩にコテンと頭をもたれかけた佐々木が、本当に幸せそうにため息を漏らす。実はその声を聞くとオレまで幸せな気分になるんだけど、こっ恥ずかしいから言わない。
「あ、そうだ。明日『レディダークヴァンパイア』の発売日か。届くの楽しみだね」
そんな佐々木の言葉に、オレは言わなきゃいけないな、と思っていた事を思い出して振り向いた。
「佐々木、それなんだけどさ。お前もう、ゲームとかマンガとか、買わなくていいから」
「えっ、なんで?」
ショックを受けた顔してるけど、そんなの、決まってる。
「だってお前さ、それ、その……オレのために買ってんじゃないか?」
自惚れてるみたいで言うのめっちゃ勇気要るけど、あえて言う。
だって最初の頃って佐々木の部屋、ビックリするくらい物がなかったのに、今はオレの好きな物で溢れかえってる。そういうのに興味持ってくれたんだって思って嬉しかったけど、よく見たらオレが好きだって言った物しかないのってやっぱ変だ。
それに……それに。
「このところずっとさ、お前……こうやってオレを抱っこして座ってるかエッチなことしてるだけじゃん。ゲームとかマンガとか、本当は興味ないんじゃねーの?」
佐々木は幸せそうにふふっと笑って、オレの首筋に顔を埋める。
「そんなことないよ。悠真と一緒の時は悠真を優先したいだけ。悠真が帰ったあと楽しんでるよ。いくらだって時間はあるんだから」
「それならいいけどさ」
ホントかよ、と思いつつもそれ以上は言えなくて、オレは曖昧に頷いた。
この一か月で気になり始めたのは、佐々木がいつだってオレ優先で、すぐに貢ごう、奉仕しよう、という姿勢に見える事だった。
無理矢理エロい事しようとしてきた負い目があるのかも知れねぇけど、オレだって佐々木が好きなんだ。だから、いきなりあんな事をされても結局は許して恋人になったわけで、要は与えられるだけじゃなくて対等でありたい。
今ひとつオレの気持ちを信じられてないっぽい佐々木に、オレは小さな声で言った。
「あのさ、言っとくけどオレ、マンガやゲームがあるからここに来てるんじゃないからな? ちゃんと、その、佐々木に会いに、来てるんだから」
めっちゃ恥ずかしい。なのに佐々木は何も言ってくれなくて、なんかオレの腹にまわってる腕だけがブルブル震えてた。
「佐々木……?」
「悠真!!!!」
「うげぇっ」
内臓が飛び出すかと思うくらいぎゅうぎゅうに抱きしめられた。
後ろから、ほっぺたに、うなじに、首筋に、耳に、高速で音を立ててキスされる、あまりの高速連打に感じる暇もない……と思ったら。耳の後ろから首筋までをイヤラしく舐められた。
「んあ……っ」
不意打ち過ぎて、つい甘い声が出た。佐々木の手が俺のズボンのベルトにかかるけど、何を焦ってんだかうまくいかない。抱っこされて座ってるケツにはいつの間にそんなに成長したんだか、佐々木のギンギンに勃った息子が布越しに打ちつけられて入りたい、入りたいって主張してくる。
まだオレなんて制服なのに、何してくれてんだ。
相変わらず我慢できない息子さんですこと。佐々木も『待て』が効かないやつだが、佐々木の息子は本人以上に『待て』が効かねぇからなぁ。
「なんだよもー、急に盛んなって」
「悠真、好き。挿れたい……っ」
耳元でハァハァ言いながらチンコを押しつけてくる佐々木が、待ダメ犬っぽくてそれはそれで可愛く思えてしまうんだから、オレも相当末期だ。
「指、うまく動かない……悠真、脱いで……!」
「ハイハイ。あ、ちょっと待てよ。今日はオレ、ミッションがあるんだった」
学校帰りに佐々木ん家に寄って、ひと通り宿題を済ませたら二人してクッションによっかかってイチャイチャする、いつも通りの甘々な日々。前と違うのは、隣同士に座ってるんじゃなくて、佐々木に抱きしめられるみたいな体勢で座るのがデフォルトになった事だろう。
気持ちを確かめあったその日でラブラブセックスまでもつれ込んでしまったオレ達は、もちろん猿のように翌日もベッドの中でいちゃついた。ヤリたい盛りの男子高校生なんだからそれは仕方ない。
それでも流石に最終日は体がもたねーし、ゆっくり二人でテレビでも見よっか、って事になった。その日からずっとこのソファに座る時はこのポジショニングだ。
佐々木が先に座って、満面の笑顔で両手を広げて「おいで」ってしてくる。
俺としてはあの日いきなりエロい事された体勢になるわけだから、最初はちょっと警戒したけど、佐々木は単にオレを抱きしめたままテレビでもマンガでもゲームでもできるから、こうしていたいだけらしい。
オレもオレで、離れてるとキスしようとしてきたり、あちこち触ってきたりしがちな佐々木が、長時間大人しくしているのがこの体勢だから、マンガとか集中して読みたい時にはむしろこっちの方がいい。
「あー……幸せ」
黙々とマンガを読むオレの腹に腕を回し、後ろからオレの肩にコテンと頭をもたれかけた佐々木が、本当に幸せそうにため息を漏らす。実はその声を聞くとオレまで幸せな気分になるんだけど、こっ恥ずかしいから言わない。
「あ、そうだ。明日『レディダークヴァンパイア』の発売日か。届くの楽しみだね」
そんな佐々木の言葉に、オレは言わなきゃいけないな、と思っていた事を思い出して振り向いた。
「佐々木、それなんだけどさ。お前もう、ゲームとかマンガとか、買わなくていいから」
「えっ、なんで?」
ショックを受けた顔してるけど、そんなの、決まってる。
「だってお前さ、それ、その……オレのために買ってんじゃないか?」
自惚れてるみたいで言うのめっちゃ勇気要るけど、あえて言う。
だって最初の頃って佐々木の部屋、ビックリするくらい物がなかったのに、今はオレの好きな物で溢れかえってる。そういうのに興味持ってくれたんだって思って嬉しかったけど、よく見たらオレが好きだって言った物しかないのってやっぱ変だ。
それに……それに。
「このところずっとさ、お前……こうやってオレを抱っこして座ってるかエッチなことしてるだけじゃん。ゲームとかマンガとか、本当は興味ないんじゃねーの?」
佐々木は幸せそうにふふっと笑って、オレの首筋に顔を埋める。
「そんなことないよ。悠真と一緒の時は悠真を優先したいだけ。悠真が帰ったあと楽しんでるよ。いくらだって時間はあるんだから」
「それならいいけどさ」
ホントかよ、と思いつつもそれ以上は言えなくて、オレは曖昧に頷いた。
この一か月で気になり始めたのは、佐々木がいつだってオレ優先で、すぐに貢ごう、奉仕しよう、という姿勢に見える事だった。
無理矢理エロい事しようとしてきた負い目があるのかも知れねぇけど、オレだって佐々木が好きなんだ。だから、いきなりあんな事をされても結局は許して恋人になったわけで、要は与えられるだけじゃなくて対等でありたい。
今ひとつオレの気持ちを信じられてないっぽい佐々木に、オレは小さな声で言った。
「あのさ、言っとくけどオレ、マンガやゲームがあるからここに来てるんじゃないからな? ちゃんと、その、佐々木に会いに、来てるんだから」
めっちゃ恥ずかしい。なのに佐々木は何も言ってくれなくて、なんかオレの腹にまわってる腕だけがブルブル震えてた。
「佐々木……?」
「悠真!!!!」
「うげぇっ」
内臓が飛び出すかと思うくらいぎゅうぎゅうに抱きしめられた。
後ろから、ほっぺたに、うなじに、首筋に、耳に、高速で音を立ててキスされる、あまりの高速連打に感じる暇もない……と思ったら。耳の後ろから首筋までをイヤラしく舐められた。
「んあ……っ」
不意打ち過ぎて、つい甘い声が出た。佐々木の手が俺のズボンのベルトにかかるけど、何を焦ってんだかうまくいかない。抱っこされて座ってるケツにはいつの間にそんなに成長したんだか、佐々木のギンギンに勃った息子が布越しに打ちつけられて入りたい、入りたいって主張してくる。
まだオレなんて制服なのに、何してくれてんだ。
相変わらず我慢できない息子さんですこと。佐々木も『待て』が効かないやつだが、佐々木の息子は本人以上に『待て』が効かねぇからなぁ。
「なんだよもー、急に盛んなって」
「悠真、好き。挿れたい……っ」
耳元でハァハァ言いながらチンコを押しつけてくる佐々木が、待ダメ犬っぽくてそれはそれで可愛く思えてしまうんだから、オレも相当末期だ。
「指、うまく動かない……悠真、脱いで……!」
「ハイハイ。あ、ちょっと待てよ。今日はオレ、ミッションがあるんだった」
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