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兄:ミジェ編 〜魔術室長の魔術セクハラが酷いんですけど!?〜
気持ちいいから困るんだ
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「オ、オレの魔道具が、役に立ってるなら、嬉しいっす……!」
「すごく参考にしているよ。だから足しげく通っているだろう? とても感謝しているんだ」
めちゃめちゃ嬉しい言葉をかけられて、オレは感動していた。なんでこんな頻繁にこの小さな工房に来てくれるんだかって思ってたけど、オレの魔道具を本当に認めてくれてたんだ……!
そんなの、魔道具士冥利に尽きるだろ……!
「あ、あの、この前頼まれてた魔道具、試作品ができたんで……これ見てもらいながら飯食おうかと思って持ってきたんすけど、見ます?」
「もちろん!」
満面の笑みのチェイス室長に試作品の魔道具を渡す。
その日オレたちは、その魔道具を肴に美味い飯を食い、互いにルルシュを注ぎあっては色や味の変化を楽しんだ。楽しくて楽しくて、時がたつのを忘れる。
ルルシュがまた、甘くてさっぱりして飲みやすいくせに、度数だけはやたら高かったんだよな。
忘れてたけど。
で、どうなるかっていうと……話は冒頭に戻るわけだ。
オレは今、めちゃくちゃいい気分になってしまっているらしいチェイス室長の魔力に体中まさぐられている。
いや、体中っつっても上半身だけだけど。
髪を、頬を、耳を、丹念に触っていた魔力は徐々に首筋、鎖骨……と降りてきて、躊躇なく襟元からするんと服の中に入ってきた。
うわっ……。
一瞬声がでてしまいそうになるのを必死でこらえる。
俺の肌の表面を撫でるように動き回っているかと思ったら、シャツの裾の方からも魔力が侵入してきて、腹から背中から、無遠慮に体中いたるところを蹂躙していく。
ヤバい、魔力の動きが今までで一番大胆で容赦がない。
羽根で触れるようにソフトに、撫で上げるように優しく、緩急つけた動きが俺を苛む。
ともすれば際どいところを掠めるように触れる魔力に、嫌でも体は高められていき、オレは声や表情にそれを出さないようにひたすら耐えるばかりだ。ルルシュが入ったグラスを両手で握りしめて、オレは声を押し殺した。
「ああ、本当にいい出来だね。これならわずかな魔力を吹き込むだけでモーターの力が底上げされて、長時間稼働できそうだ」
オレが必死になって耐えているというのに、目の前に座る男はそんなことには何ひとつ気付いた様子もなく穏やかに微笑んで、オレが作った魔道具を褒めてくれる。
この人、酔っぱらってるのがあんまり顔にでないけど、眼のふちが赤くなって目がすこしとろんとしてきたら要注意なんだ。分かってるのに、とめることができない。
なにより困るのは、回を追うごとにこの触ってくる魔力を気持ちよく感じてしまう自分自身だった。
「すごく参考にしているよ。だから足しげく通っているだろう? とても感謝しているんだ」
めちゃめちゃ嬉しい言葉をかけられて、オレは感動していた。なんでこんな頻繁にこの小さな工房に来てくれるんだかって思ってたけど、オレの魔道具を本当に認めてくれてたんだ……!
そんなの、魔道具士冥利に尽きるだろ……!
「あ、あの、この前頼まれてた魔道具、試作品ができたんで……これ見てもらいながら飯食おうかと思って持ってきたんすけど、見ます?」
「もちろん!」
満面の笑みのチェイス室長に試作品の魔道具を渡す。
その日オレたちは、その魔道具を肴に美味い飯を食い、互いにルルシュを注ぎあっては色や味の変化を楽しんだ。楽しくて楽しくて、時がたつのを忘れる。
ルルシュがまた、甘くてさっぱりして飲みやすいくせに、度数だけはやたら高かったんだよな。
忘れてたけど。
で、どうなるかっていうと……話は冒頭に戻るわけだ。
オレは今、めちゃくちゃいい気分になってしまっているらしいチェイス室長の魔力に体中まさぐられている。
いや、体中っつっても上半身だけだけど。
髪を、頬を、耳を、丹念に触っていた魔力は徐々に首筋、鎖骨……と降りてきて、躊躇なく襟元からするんと服の中に入ってきた。
うわっ……。
一瞬声がでてしまいそうになるのを必死でこらえる。
俺の肌の表面を撫でるように動き回っているかと思ったら、シャツの裾の方からも魔力が侵入してきて、腹から背中から、無遠慮に体中いたるところを蹂躙していく。
ヤバい、魔力の動きが今までで一番大胆で容赦がない。
羽根で触れるようにソフトに、撫で上げるように優しく、緩急つけた動きが俺を苛む。
ともすれば際どいところを掠めるように触れる魔力に、嫌でも体は高められていき、オレは声や表情にそれを出さないようにひたすら耐えるばかりだ。ルルシュが入ったグラスを両手で握りしめて、オレは声を押し殺した。
「ああ、本当にいい出来だね。これならわずかな魔力を吹き込むだけでモーターの力が底上げされて、長時間稼働できそうだ」
オレが必死になって耐えているというのに、目の前に座る男はそんなことには何ひとつ気付いた様子もなく穏やかに微笑んで、オレが作った魔道具を褒めてくれる。
この人、酔っぱらってるのがあんまり顔にでないけど、眼のふちが赤くなって目がすこしとろんとしてきたら要注意なんだ。分かってるのに、とめることができない。
なにより困るのは、回を追うごとにこの触ってくる魔力を気持ちよく感じてしまう自分自身だった。
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