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休日
しおりを挟む次の日の日曜日。
学校が休みのメグは、仕事をしている母親のもとを訪れた。
メグの母親は看護師で「隣吏市病院」にいる。
この病院は綺麗でとてつもなく広く、患者数も多い。さることながら働いてる医療従事者も多い。
母親を探す唯一の情報は働いている階数、五階だ。
エレベーターを探すのも一苦労。やっとの思いでたどり着いた。
しかしここも大勢の患者や看護師、そして見舞客で賑わっており、母親は見つかりそうにない。
途方に暮れていると声をかけられた。
「どうしたの?」
声をかけてくれたのは、茶髪にウェーブがかかった、長い髪の女の人だった。
服装をみるに看護師だろう。ナース服の上からグレーのパーカーを羽織っている。
「あ…あの、その、お母さんを探していて…看護師をしていてここで働いているんです。」
すると看護師さんは「あ!」と手をたたいてこういった。
「あなたが美奈ちゃんの娘さんね!」
「…!?そうです!」
美奈と言うのは、まさしくメグの母親の名前だ、看護師さんはメグを母親のところまで案内してくれた。そして、メグをナースステーションまでつれてくると、母親を探して辺りを見回した。
ふとメグの後方に人気を察知した看護師。
次の瞬間だ
「何回言わせるの!いい加減にしなさい!」
突如、看護師さんが口調を荒げた。
メグが後ろを振り返る。
つけていたのは前と同一人物だった。
昨日の交流会でメグを見つめていた、あの男の子だったのだ。
「え…??昨日の。」
メグがぼそっと口にするとその男の子は不貞腐れたようにそっぽを向いた。
「さっきからつけてくると思ったら、なにがしたいわけ?この子がびっくりしちゃうでしょ。家に戻りなさい。」
呆れた口調で男の子告げると、メグのほうに目線を変えた。
「ごめんね…そこの部屋はいったらお母さんいるからね」
といい送り届けてくれた。
「ありがとうございました」とお礼を言って、あの子をちらりと見ながら、母親のもとへ向かった。
「よく来たわね、大変だったでしょ。」
「人が多すぎてどこがどこかわからなかった…。でも看護師さんに案内してもらったの。」
やっとのことで母親に会えたメグは少々愚痴を漏らす。
しばらくすると、さっきの看護師さんも戻ってきた。
どうやら母親と一緒の五階担当らしい。
「あすちゃんお疲れさま。大変なようね。」
母親が看護師に向かってそういった。
「もう、大変どころじゃないわよ。メグちゃん、びっくりさせてごめんね。」
「あ、いえいえ。」
「そういえば、メグちゃんって小学校六年生だっけ。だったら、中学は同じになるのね。」
「え…?」
「さっきのね私の息子なの。メグちゃんと同い年。ちょっと過去にあって色々持ってるのよ。」
ふうとため息をつくと開いた扉に向かって呼びかけた。
「蓮そこにいるんでしょ、…全く。呼ぶと来ないくせに。」
その声に呼応するように別の声が聞こえた。
「グズグズしないで早く行け。」
しばらくすると、一人の男の子が入ってきた。髪の毛の色は看護師さんともあの子とも同じ、メグより背が高く、顔立ちがよい。俗にいうイケメンの類だ。
「颯太くんはあいかわらず美形でかっこいいわね。」
母親がぽろっと口にするとその看護師さんが、はははと笑った。
「ソウタは社交性もあって、周りにも人気なんだけどねえ。レンは似なかったわね。」
看護師さんはそういうと以前外に突っ立ったままであろう陰に向かって声をかける。
「同じ兄弟なのにね、次男とも似てないし、長女とも似てないし、あの子だけ一匹狼なのよ。」
カルテをいじりながらぼんやりとみつめている。
どうやら同じ家族らしい。
母親たちのやりとりを眺めていると、ソウタから声をかけられた。
「ちょっと頼み事があるんだけど、いいかな?」
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