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変わり果てた彼
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あれから一ヶ月。森谷先生は学校に来なくなりました。体育教師の龍樹先生が、彼の家に様子を見に行った時、そこには変わり果てた彼の姿があったそうです。犬のように伏せて飯を喰らい、風呂に入っていないのか、髪の毛も体も垢でボロボロ、あちこちに排泄物が散らばっていて、部屋には異臭が立ち込めていたそうです。龍樹先生はあの家に行くと、自分まで精神がおかしくなりそうだと言いました。もうそこにいるのは森谷先生ではなく、ただの動物でした。この話を聞いた時、私はまっさきに亘理先生の顔が思い浮かびました。電話をかけてみると、やはり酷く落ち込んだ様子でした。二人は数週間前に別れたばかりで、原因はもちろんこの一件のこと。だんだん優しかった彼の気性が荒くなり、時々亘理先生に手を挙げることもあったそうです。でも亘理先生は、この人には私しかいないと、必死に彼をサポートしていたそうです。私からすれば、その時点でもう依存している関係でしかないので、別れて正解だったと思います。今日の夜、亘理先生の家にケーキでも買って行こうと思います。あのタイプの人間は、周りに吐き出せずに一人で塞ぎ込んでしまうことが多いでしょうからね。
アパート ラスタ
『あと十分ぐらいで着きます。』
『鍵は開けてあるので、勝手に入ってきてね。
亘理翔子』
ピンポーン
一応一度インターホンを鳴らして、亘理先生の自宅に入りました。中は小綺麗で、あまり私生活に支障がある様子は見られなかったので、安心しました。中に入ると紺色の縞模様の長袖Tシャツに、グレーのスウェットパンツを履いた彼女の姿がありました。
「お久しぶりです。大丈夫だった?」
「もうここ数日ずっと、心にぽっかり穴が空いたみたいだったけど、やっぱり友達に会うとホットする。今お茶入れるね。」
亘理先生は白地にピンクのクマが描かれたカップに、コーヒーをいれてくれました。
「聞いてもいいかな?別れたあとはもう一切連絡とってなかったの?」
ここは思い切って聞いてみました。
「別れてからも、仕事の連絡とかでちょくちょく連絡は取り合ってたんだけど、あのことがあってからはもうぷっつり返ってこなくなって、学校にも来ていなかったみたいだから、もう彼のことは何も分からないの。」
彼女が今の森谷先生の姿を知ったら、どう思うだろうか。ここはさすがに黙っておくことにしました。失恋後の女性のハートは非常にデリケートなものですから。
私達はそれから色々な話をしました。ご飯は食べているのか、授業の進み具合はどうか、森谷先生が受け持っていたクラスは今、代わりの先生が入ってくれていることなど。私はここで、抱いてはいけない感情を抱いてしまいました。今思い返せば、ここが全ての発端だったのかもしれません。
アパート ラスタ
『あと十分ぐらいで着きます。』
『鍵は開けてあるので、勝手に入ってきてね。
亘理翔子』
ピンポーン
一応一度インターホンを鳴らして、亘理先生の自宅に入りました。中は小綺麗で、あまり私生活に支障がある様子は見られなかったので、安心しました。中に入ると紺色の縞模様の長袖Tシャツに、グレーのスウェットパンツを履いた彼女の姿がありました。
「お久しぶりです。大丈夫だった?」
「もうここ数日ずっと、心にぽっかり穴が空いたみたいだったけど、やっぱり友達に会うとホットする。今お茶入れるね。」
亘理先生は白地にピンクのクマが描かれたカップに、コーヒーをいれてくれました。
「聞いてもいいかな?別れたあとはもう一切連絡とってなかったの?」
ここは思い切って聞いてみました。
「別れてからも、仕事の連絡とかでちょくちょく連絡は取り合ってたんだけど、あのことがあってからはもうぷっつり返ってこなくなって、学校にも来ていなかったみたいだから、もう彼のことは何も分からないの。」
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