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俺の彼女
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森谷鉄朗
新しい彼女が出来た。二つ年下の新任の英語教師、亘理翔子だ。笑顔がとても可愛い。普段の仕事の時はサバサバしているが、俺と二人で居る時はとても甘えん坊なところがあって、そのギャップがたまらない。よく、俺たちは仕事終わりに、職場近くの居酒屋で酒を飲んでいた。翔子は酒が大好きで、まあまあ強い。俺がもうフラフラでも、まだ注文を通していることがよくある。俺は、中学校から徒歩7分のアパートに住んでいる。翔子の家から中学校までが10分だから、俺の家から翔子の家までは17分だ。だから飲んだあとは2人でフラフラで帰る。そのまま翔子が泊まりに来ることもあるが、これはあくまで明日仕事が休みの時だけだ。翔子は真面目な性格だから、明日も仕事がある日は、酒は程々にして、家に帰ってから残りの仕事をしている。新任だからか、えらく気合が入っている。俺の時は正直そんな感じではなかった。周りの先生に助けられながらやっていた。俺が昔から先輩や年上の人達の懐に入るのが得意だったということもあるが、俺が困っていると、周りが自然と手を貸してくれた。でも、3年の担任になってからはなぜか上司に甘えられなくなった。担任になったというらプレッシャーから、人に弱みを見せられなくなったのだ。元々、悩みがあってもあまり友達に相談せずに、自分で解決しようとする性格だった。それに俺はプライドも少し高かった。今の生徒たちは1年から担当している。2年前は、俺も教師1年目、生徒たちも中学1年生で、お互いに新入りだな、などと話しながら、一緒に成長するかのように過ごしてきた。俺にとって特別な生徒たちだった。きっとこのまま、何事もなくみんな卒業して行くと思っていた。でも、そうは行かなかった。今年受験を控えている生徒たちの心中は、決して穏やかではなかった。受験のストレスからか、喧嘩、万引きなど、今まで無かったような問題が多発した。職員会議、学年集会の数も増えた。初めての受験生の担任をした俺は、もうどうしてあげたらいいか分からなかった。とりあえず、放課後に希望する生徒向けの個人相談会をやってみたり、自分の担当の数学で、分からないところがある生徒たちにも積極的に指導した。普段の授業も一層力を入れ、入試で出題傾向が高い問題、実践問題などをネットや参考書から取り入れたオリジナルの「受験生プリント」を作ったり、自分に出来る最大の努力をした。大好きな生徒たちのためだ。なんでも出来た。たとえ睡眠時間が4時間を切ろうと、授業のクオリティも落とすことは無かった。高校、大学入試をスポーツ推薦で通った俺にとって、過酷以外の何ものでもなかった教員採用試験の受験期間を思い出したりもした。あの過酷な時間を、生徒たちも味わっているのだと思うと、自然と生徒たちの気持ちも理解出来たからだ。
俺も生徒たちも受験に向けて必死にやっていたその頃だ。俺のクラス、3年2組が崩れ始めたのは。
新しい彼女が出来た。二つ年下の新任の英語教師、亘理翔子だ。笑顔がとても可愛い。普段の仕事の時はサバサバしているが、俺と二人で居る時はとても甘えん坊なところがあって、そのギャップがたまらない。よく、俺たちは仕事終わりに、職場近くの居酒屋で酒を飲んでいた。翔子は酒が大好きで、まあまあ強い。俺がもうフラフラでも、まだ注文を通していることがよくある。俺は、中学校から徒歩7分のアパートに住んでいる。翔子の家から中学校までが10分だから、俺の家から翔子の家までは17分だ。だから飲んだあとは2人でフラフラで帰る。そのまま翔子が泊まりに来ることもあるが、これはあくまで明日仕事が休みの時だけだ。翔子は真面目な性格だから、明日も仕事がある日は、酒は程々にして、家に帰ってから残りの仕事をしている。新任だからか、えらく気合が入っている。俺の時は正直そんな感じではなかった。周りの先生に助けられながらやっていた。俺が昔から先輩や年上の人達の懐に入るのが得意だったということもあるが、俺が困っていると、周りが自然と手を貸してくれた。でも、3年の担任になってからはなぜか上司に甘えられなくなった。担任になったというらプレッシャーから、人に弱みを見せられなくなったのだ。元々、悩みがあってもあまり友達に相談せずに、自分で解決しようとする性格だった。それに俺はプライドも少し高かった。今の生徒たちは1年から担当している。2年前は、俺も教師1年目、生徒たちも中学1年生で、お互いに新入りだな、などと話しながら、一緒に成長するかのように過ごしてきた。俺にとって特別な生徒たちだった。きっとこのまま、何事もなくみんな卒業して行くと思っていた。でも、そうは行かなかった。今年受験を控えている生徒たちの心中は、決して穏やかではなかった。受験のストレスからか、喧嘩、万引きなど、今まで無かったような問題が多発した。職員会議、学年集会の数も増えた。初めての受験生の担任をした俺は、もうどうしてあげたらいいか分からなかった。とりあえず、放課後に希望する生徒向けの個人相談会をやってみたり、自分の担当の数学で、分からないところがある生徒たちにも積極的に指導した。普段の授業も一層力を入れ、入試で出題傾向が高い問題、実践問題などをネットや参考書から取り入れたオリジナルの「受験生プリント」を作ったり、自分に出来る最大の努力をした。大好きな生徒たちのためだ。なんでも出来た。たとえ睡眠時間が4時間を切ろうと、授業のクオリティも落とすことは無かった。高校、大学入試をスポーツ推薦で通った俺にとって、過酷以外の何ものでもなかった教員採用試験の受験期間を思い出したりもした。あの過酷な時間を、生徒たちも味わっているのだと思うと、自然と生徒たちの気持ちも理解出来たからだ。
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