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エンゲージリングと無数の星
最終話:無数の星
しおりを挟む「少しドライブをしてから帰らない?」
和司さんの提案に、一も二もなく頷いた。
「雪乃に見せたい場所があるんだ。そんなに遠くないから」
「はい! じゃあ私、いまのうちに飲み物買ってきますね」
「ああ、ありがとう」
和司さんがカーナビのパネルを操作して行き先を設定してる間に、駐車場の隅に設置されている自動販売機で、暖かいお茶を二本調達した。お茶の熱さに閉口しながら戻れば、和司さんは既にナビの設定を終えていた。
「熱いから気を付けてくださいね。あ! そこ持ったらあつ……」
「――うわ!?」
差し出したお茶を無造作に掴んだ彼は意外な熱さに驚いて、慎重に握りなおした。
その姿を眺めていたら、脳裏に去年のことが思い浮かんだ。
「もうすぐ一年、ですね」
ふと思いついたことを口に出す。あの時と本当に正反対でおかしいような、あれからもうすぐ一年かと思うと懐かしい。
「ん?」
封を切ったお茶を一口飲んで彼は不思議そうに訊いた。
「あの時は和司さんが私に買ってきてくれたんですよね。冷たいカフェオレ」
「ああ。あれかぁ。──そうか。一年か。遠い昔のことに思えるよ」
懐かしそうな目をして、彼は助手席の私から視線を逸らして前を見た。
「今になって思えばちょっとやり過ぎたかなーって反省はしてるんだ」
「ちょっと、ですか……」
ちょっと!? あれがちょっと!?
私の感覚から言えばかなり強引だったんだけど!
非難を込めてじっと見つめると、彼はちらりとこちらを一瞥してきまりが悪そうな顔になった。
「ごめん。訂正。やり過ぎました!」
彼の潔い物言いに、私は思いきり吹き出した。爆笑はなかなか終わらなくて、最初は
「雪乃笑い過ぎ」
なんて言いつつ不満そうにしてた和司さんも、次第に苦笑いの顔に変わった。
ペットボトルのキャップを閉めてカップホルダーへ置くと、彼は右手をハンドルに、左手をギアにかけた。
「そろそろ出発するよ。あまり遅くならないほうがいいんだ」
「はい!」
返事と共に車が滑るように走り出す。
和司さんの運転は人柄を現すように丁寧で優しい。
もう何度も彼の運転で出かけているけれど、一度も酔ったことはないし、ブレーキがきついとか、怖い運転だと思ったこともない。
逆に快適すぎる。寝ないように頑張っていても、いつの間にかうとうとと意識が遠のいてしまう。
「疲れてるんだし寝てていいよ。着いたら起こすから」
今日も和司さんはそう勧めてくれるくれたけれど、何が何でも寝ないつもりだ。
疲れているのは彼も一緒なんだから。
「今週は和司さん仕事忙しかったんですね」
何気なくふった話題は藪蛇で
「忙しいって言うかさ! 兄貴の野郎『佐々木君がいなくて寂しいだろう? 気が紛れるように山ほど仕事をくれてやる。ありがたく思え』なーんて言いやがってさ。自分の仕事押し付けんなっつーの!」
と荒れた口調で返事が返ってきた。
実にあの方らしいとしか言いようがない。
一度収まったはずの笑いの発作がぶり返しそうになったのだけれど、和司さんから横目でぎろりと睨まれたので慌てて顔の筋肉を引き締めた。
そうやって他愛もない会話を続けているうちに、平坦だった道は徐々に坂道に変わり、和司さんがもうすぐ着くと教えてくれる頃にはだいぶ急勾配になっていた。
夕暮れの闇に浮かぶ景色も劇的に変化し、しまいには林のような鬱蒼とした森の影しか見えなくなっていた。
たどり着いたのは高台にある広い駐車場。公園か何かの駐車場っぽい雰囲気だ。
だいぶ日も暮れて、すぐそこまで夜が近づいてきている時刻なのに、街灯に照らされた駐車場にはまだ何台かの車が駐車していた。
まばらではあるけれど、夕暮れの公園の駐車場にしては多いほうだと思う。
「ここは?」
「寒いけど、少し出られる?」
私の質問には答えず、彼はエンジンを切った。
「え? ええ大丈夫です」
答えながらコートを羽織り、外の寒さを思ってボタンもベルトもしっかり留めた。バッグからマフラーも取り出して、首に冷たい風が当たらないようにしっかり巻きつける。
「じゃあ少しだけ、外に出よう」
車内が暖かかったぶん、外の寒さが身に染みる。身震いをしていると急に冷たい風が遮られた。和司さんが私の肩をそっと抱いて引き寄せてくれたからだ。
「こっちだよ」
言いながら彼は私の肩を抱いたまま駐車場の隅へと歩く。
「う、わ……」
思わずそんな声が漏れた。
「寒いのにごめんね。これを見せたくて」
「すごい……」
それ以上は言葉にならなかった。
空には最後の夕暮れの紫。
そして眼下では沢山の光が瞬いている。
住宅街の明かりなんだろう。繁華街の色とりどりのネオンの華やかさとは全く違う。
まるで星かダイヤモンドを闇にちりばめたような煌めきだ。
「綺麗ですね」
室内から夜景を眺められる施設は沢山ある。
でも分厚い窓で隔たれていて、別の世界を眺めるような感覚でしかない。
こんなに鮮やかな夜景はなかなか見られないだろう。
ここには遮るガラスも、そのガラスに映り込み、夜景をぼやけさせてしまう照明もない。
「ガラス越しに見るのと全然違う」
「うん。なんて言えばいいのか分からないけど、光が生きてる感じがするよね」
独り言のつもりでつぶやいた言葉を和司さんが拾う。
「生きてる?」
「うん。あの明かりの下には誰かが生活してるわけだろ? そこにはきっといろんな生き方があって、みんなそれぞれ喜んだり、悲しんだり、怒ったりしながら、現実を生きてるんだ。こうやって眺めれば沢山ある明かりの中のひとつでしかないけれどね」
和司さんが背中から私をぎゅっと抱きしめる。
大きな体に遮られて冷たい風は当たらず、そして私を優しく覆う腕は暖かい。
少し屈んだ彼の顔はちょうど私の肩の上で、囁くような彼の声も確実に耳に届く。
「でもさ、今の俺にはあの明かりのひとつひとつが無性に羨ましくてならないんだ。太陽や月みたいにただ一つの明かりとして輝かなくていい。俺は無数に集まった明かりの、ひとつになりたい」
太陽みたいに迷いない和司さんが、無数の星のそのひとつになりたいと言う。人より秀でた人には絶えず小さな孤独がつきまとうものなのかもしれない。それを思うと胸が痛くなった。
「できることなら君と一緒に。──結婚、してくれないか」
「和司さん……」
耳元で囁かれた言葉は誤解しようとしても出来ないくらい明確で、でも現実のものにも思えなくて。
私の肩を抱く彼の腕にさらに力が込められた。
「雪乃。俺は君と家を作りたい。君のいない未来なんて考えられない」
「和司さん……」
彼の名前を呼ぶ声が震えた。
「君の答えは?」
震える指で彼の手に触れれば、固い力で拳が握られていた。
和司さんでも緊張するんだ。そう思ったら、混乱していた頭がようやく落ち着きを取り戻し始めた。
答えはもう決まっている。
「私も……和司さんのいない未来なんて考えられません。答えは『はい』です」
「雪乃。ありがとう、雪乃」
和司さんは深いため息を吐くと、体の力が抜けたかのように私の肩へ頭を載せた。
「なりましょう。あの小さな星のひとつに。 家族みんなで……」
その家族の始まりは和司さんとふたりっきり。
だけど時が経てば子どもが増えて、それからもっと時が経てばきっと孫も。
すっかりおじいちゃんになった和司さんの横で、すっかりおばあちゃんになった私がいて、孫たちの他愛もない喧嘩を微笑ましく見ていたり、苦笑いしながら仲裁したり。
それはきっと賑やかで楽しい。
私たちはそんな未来を創るために、いま約束を交わした。
「賑やかな家にしましょうね。子どもはふたり以上がいいです! 三、四人いてもいいかなー」
「それ、雪乃が大変じゃないの」
しんみりした気持ちを隠すようにおどければ、和司さんもつられるように小さく笑った。
「大丈夫ですよ、和司さんに手伝って貰いますもん」
「もちろん俺だって協力するよ!……君はどんなお母さんになるんだろうね。楽しみだ」
「和司さんもどんなお父さんになるんでしょうね?」
きっと子煩悩で優しくて厳しい父親になるんじゃないかな。
子ども達とじゃれ合う未来の彼を想像してみると全く違和感がなくて、まるで決まりきった結果を見るような感じだ。
「さぁね。俺がどんな父親になるのかなんて、自分でも想像つかないよ」
笑いを含んだ声が耳元で囁く。
「ねぇ、雪乃。幸せになろう。これからの長い人生、順風満帆でばっかりはいられない。苦しい時だってきっとある。俺はそれを君と一緒に乗り越えて行きたい」
「私も和司さんと一緒ならどんな時でも幸せでいられると思ってます」
「――ありがとう。今日は君に、その未来へつながる約束を受け取って欲しいんだ」
「約束?」
私の肩を抱きしめていた片手が不意に外れて、ほどなく私の目の前にかざされた。その手には、煌めく小さな――
「指輪?」
「左手、出して」
彼はそう言いながら、私の左手を掴んで胸の高さまで上げた。
驚いたままどうしていいか分からずにいる私の薬指に、和司さんはゆっくりとその指輪をはめる。
「サイズぴったりだね。良かった」
指輪は街灯の光を反射してキラキラと光っている。
まるで眼下に広がる街の灯りのようだ。暗がりの中でも鮮やかな輝き。
真ん中に収まった大きなダイヤ。
そしてその周りには大小のメレダイヤが散りばめられている。
花を模した様な繊細なデザインだ。
「良く似合ってる」
私の左手を押さえていた彼の手が、手のひらを合わせるように重ねられて指が絡められた。
「和司さん……」
「本当はね。君が結婚を承諾してくれた後、一緒に探そうと思っていたんだ。君が気に入ったものを買えば良いって。だけど、先日たまたまこれを見つけてね。君にとてもよく似合うと思ったらどうしても欲しくなっちゃって。迷惑だったかな?」
迷惑だなんて絶対にない。私は首を大きく横に振った。
「私、今日のこと一生忘れません」
宝石のような街を眺めながら、指輪の形をした約束を受け取ったこと。
それは彼の夢も一緒に受け取ったということだ。
どんな高級なレストランや場所で渡されるよりも、もっとずっと贅沢な出来事だった。
泣き虫は卒業したつもりだったのに目から涙が溢れて、折角の景色も左手の指輪も滲んでいく。 冷え切った頬を流れ落ちる涙は驚くくらいに熱くて、あごから落ちたそれは胸元を濡らし染みを作った。
「雪乃、そんなに泣かないで」
「む、無理、です! 嬉し涙、なんで……大目に見て、くださ……」
「弱ったな。俺は君の涙に弱いんだ」
少しも困ってなさそうな声で囁いて、私をなだめるように髪を撫でる。
その心地よさに酔いながら、この涙はしばらく止まりそうもないなとぼんやりと思っていた。
「雪乃、愛してる」
頬に軽い羽のようなキスがひとつ。
応えたくても、嗚咽が邪魔をして何も言葉にならない。
だから、何度も何度も頷いて。
彼は「分かっている」と言わんばかりに、私の髪を、頬を優しく撫でた。
************************************************
全8話予定でしたが、5話に圧縮いたしましたので、これで完結とさせていただきます。お付き合いくださいましてありがとうございました。
【お詫び】
4話の最後にチョコに関する話を少々書きましたが、文章を切り落とした時にチョコの行方も一緒に削ってしまいました……。
回収しないままでは気分的に収まらないので、後日、補遺的な話を一話投稿いたします。
一話分にするにはかなり書き足さなければならないので、少しお時間をいただきまして、20日ごろに投稿いたします。
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