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26【結局私かも】
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「しかし、サクラ様は聖女ではなかったようですね」
魔法師団長の正装で一人の攻略対象がやってくる。
「あら、ローリー先生」
「結果は出たのか」
「はい」
「結果?」
「サクラ、こちらへ、大丈夫だ悪いようにはしない」
優しく微笑んで手を差し出す。
「グラル皇子」
「俺達も行こうか。ここは、他の貴族もいるし、部屋を用意したんだ」
「そうね。サクラ様行きましょう」
グラル皇子の手に躊躇っているので、私がサクラの両肩をがっちりつかんで移動を促す。
女同士だからできるのだ。
部屋を移動する途中で、サクラをお手洗いに誘う。
また、お茶を飲むんだしね。
後ろからメイド服のミミも付いて来てもらっている。逃げても捕まえられるように。
指輪を外して、手袋を外して、水で洗う。
本当は光魔法持ちは浄化魔法をすればいいんだけど、気持ち悪いよね、水で洗えるのならそうしないと。
水洗いをしてから手を拭き、嵌めなおした手袋越しに浄化魔法をかける。
「あたしどうなるのかしら」
「相談に乗るから、短気を起こしては絶対ダメよ」
「あたし・・・」
「いい?一人で頑張れないなら、お手伝いするから」
「うん」
私はサクラの手をがっちり繋いで、待っててくれた健一と用意された部屋に入る。
そこはちょっとした講習会室のような机の配置になっていた。
普段は騎士団の上層部が作戦会議をするための部屋なんですって。
前に大きな黒板が置かれてあって、教卓のようなものと、それに向かって並べられた十六脚ほどの机と椅子のセット。
ドレスが邪魔なので、私とサクラは一番後ろに並んで座り、サクラの向こうにグラル皇子、私の隣に健一が座る。
合図があると、侍従や侍女、護衛などが席を外す。
教卓には攻略対象で学園の教師を兼ねている魔導士団長のローリー先生が立つ。
「では、始めますね」
「「おねがいします」」
「先ほどお庭で、皆様ドラゴンの丸い石を触って遊んでらっしゃいました」
「あれ、色々と光って楽しかったですわ」
わざと無邪気に言ってみる。
ローリー先生は一呼吸おいて、何もないところから見覚えのある石を出した。
空間魔法が使えるのだわ。羨ましいわね。
「あの丸い石がこちらです。私はこの石を持っているドラゴンの後ろで控えておりました」
「ま、まさか。でも私の髪色はピンクだし」
震えだすサクラの手を握る。
「この石は、皆さんも見覚えがあると思いますけれど、魔力鑑定装置です」
「へえ、そんなものをドラゴンが持っているのね」
しらじらしいかしら。
「皆さん、さすがに王族や高位貴族でいらっしゃるので、高い数値でありました」
「確かそれは、魔法の属性も出るのだったな、グラル殿下の属性をお聞きしたいな」
ちょっと、他国の皇太子の属性は国防の要なんだから聞いちゃダメでは?
「いいぞ、私も、現在の数値を知りたいしな」
ローリー先生は手に持っているタブレットをつつく。
「ではグラル殿下、は、火・風・土の三属性です。それぞれの数値も大変高いです」
「数値が高くてもな、俺は水さえあればいいのに無いし」
砂漠の国の次期皇帝なら切実だろう。
「で、フェルゼン殿下のも教えてくれるんだろう?」
「いいですよ。先生お願いします」
「はい。フェルゼン殿下は中学に上がられる前に測定した前回と同じ火・風・土・水・光の五属性、鍛錬を頑張っておられるからか、数字も大層高くなっておられます」
「五属性だと。しかも貴族クラスに通ってないのにどこで魔法の鍛錬をしているんだよ」
グラル殿下の言葉に、健一はちらりと私を見て
「冒険者活動で使うと上がる」
「へえ、俺ももうちょっとそっちの活動しようかな」
グラル殿下も冒険者登録しているんですね。
「さて、先生、サクラは?」
「あたし?」
「この、魔力鑑定装置は、ここ、王宮の魔法師団の所有するもので、教会にある物より精巧です。どんな小さな数値でも表示されます」
と言いながら、先ほどから見ているタブレットを示す
測定器は、内容を表示するタブレットみたいな魔道具とセットだ。だから、ガーデンで遊んでても内容は私たちは見ることはできなかった。
鎧を着こんで立っていたローリー先生側に、張り付けてあったのだ。
それにこのタブレットは保存が可能。メモを取らなくても取り出せる。
「さて、サクラ様の属性ですが、水・光・闇の三属性です」
「水があるのか!」
「ですが、何分全体的な魔力の数値が低くて、もっと訓練をしなくては、今はグラス一杯の水を出せば魔力切れになるでしょう」
それは少なすぎる。手品みたいな魔法しかできない。でも光属性を伸ばせれば、このまま聖女として・・・
「うそ、たしかに聖属性の数値が出たのよ」
「そうだな、サクラ。私は自分の国の数値を信じたいよ」
グラル殿下がやさしくサクラの髪を撫でている。
お国が厳しいから、聖女に期待しているんだよね。
「で、では、マリー殿下はどうなの?」
私はゲームの設定では闇属性に偏っていた。でも前に見てもらった時は・・・・。
「マリー殿下の属性も前に見た時と同じ、火、水、風、光、闇と、聖属性です。特に聖属性の数値が三年前と違って凄く伸びていて」
「それは、平民クラスの実習の成果だな」
健一は、ぽそりとつぶやく。
「そんな、な、なぜ、悪役令嬢が聖属性なの!認めないわ!」
サクラは繋いでいる私の手を振りほどき立ち上がる。
「あなたに認められなくても・・・」
「さくら、サクラ大丈夫だから。君が悪いのじゃない、教会の測定器がおかしかったんだ」
グラル殿下の方はサクラをなだめる。
「でも、このままじゃ私、男爵様から・・・」
「聖女じゃなくても貴族の養女にはなれるんだ。大丈夫」
グラル殿下は結構必至だ。
「そうだ、サクラ嬢。この国でも、優秀な平民は爵位を貰える、外で待ってくれている護衛騎士のイガニスのようにな」
健一も平民から貴族になった身近な例を示す。
「だが、サクラ」
グラル殿下は少し声色を変えて、お腹に力を込めたような声を出す。
「このままでは無理だ。君が心を入れ替えなければ。そして、君を測定した教会を調べてきちんと対処しよう」
その教会を調べたら、余計にサクラに不利になるのでは?
いくら何でも、同郷の転生者には幸せになってもらいたい。
本人の中身はともかく、私たちが外から出来ることは他にはないのだろうか。
それに、聖属性が出ているとサクラやグラル殿下に知られてしまった私にも次にするべき義務が発生している。
・・・卒業したら、健一とちゃんと結婚できるのかしら。
魔法師団長の正装で一人の攻略対象がやってくる。
「あら、ローリー先生」
「結果は出たのか」
「はい」
「結果?」
「サクラ、こちらへ、大丈夫だ悪いようにはしない」
優しく微笑んで手を差し出す。
「グラル皇子」
「俺達も行こうか。ここは、他の貴族もいるし、部屋を用意したんだ」
「そうね。サクラ様行きましょう」
グラル皇子の手に躊躇っているので、私がサクラの両肩をがっちりつかんで移動を促す。
女同士だからできるのだ。
部屋を移動する途中で、サクラをお手洗いに誘う。
また、お茶を飲むんだしね。
後ろからメイド服のミミも付いて来てもらっている。逃げても捕まえられるように。
指輪を外して、手袋を外して、水で洗う。
本当は光魔法持ちは浄化魔法をすればいいんだけど、気持ち悪いよね、水で洗えるのならそうしないと。
水洗いをしてから手を拭き、嵌めなおした手袋越しに浄化魔法をかける。
「あたしどうなるのかしら」
「相談に乗るから、短気を起こしては絶対ダメよ」
「あたし・・・」
「いい?一人で頑張れないなら、お手伝いするから」
「うん」
私はサクラの手をがっちり繋いで、待っててくれた健一と用意された部屋に入る。
そこはちょっとした講習会室のような机の配置になっていた。
普段は騎士団の上層部が作戦会議をするための部屋なんですって。
前に大きな黒板が置かれてあって、教卓のようなものと、それに向かって並べられた十六脚ほどの机と椅子のセット。
ドレスが邪魔なので、私とサクラは一番後ろに並んで座り、サクラの向こうにグラル皇子、私の隣に健一が座る。
合図があると、侍従や侍女、護衛などが席を外す。
教卓には攻略対象で学園の教師を兼ねている魔導士団長のローリー先生が立つ。
「では、始めますね」
「「おねがいします」」
「先ほどお庭で、皆様ドラゴンの丸い石を触って遊んでらっしゃいました」
「あれ、色々と光って楽しかったですわ」
わざと無邪気に言ってみる。
ローリー先生は一呼吸おいて、何もないところから見覚えのある石を出した。
空間魔法が使えるのだわ。羨ましいわね。
「あの丸い石がこちらです。私はこの石を持っているドラゴンの後ろで控えておりました」
「ま、まさか。でも私の髪色はピンクだし」
震えだすサクラの手を握る。
「この石は、皆さんも見覚えがあると思いますけれど、魔力鑑定装置です」
「へえ、そんなものをドラゴンが持っているのね」
しらじらしいかしら。
「皆さん、さすがに王族や高位貴族でいらっしゃるので、高い数値でありました」
「確かそれは、魔法の属性も出るのだったな、グラル殿下の属性をお聞きしたいな」
ちょっと、他国の皇太子の属性は国防の要なんだから聞いちゃダメでは?
「いいぞ、私も、現在の数値を知りたいしな」
ローリー先生は手に持っているタブレットをつつく。
「ではグラル殿下、は、火・風・土の三属性です。それぞれの数値も大変高いです」
「数値が高くてもな、俺は水さえあればいいのに無いし」
砂漠の国の次期皇帝なら切実だろう。
「で、フェルゼン殿下のも教えてくれるんだろう?」
「いいですよ。先生お願いします」
「はい。フェルゼン殿下は中学に上がられる前に測定した前回と同じ火・風・土・水・光の五属性、鍛錬を頑張っておられるからか、数字も大層高くなっておられます」
「五属性だと。しかも貴族クラスに通ってないのにどこで魔法の鍛錬をしているんだよ」
グラル殿下の言葉に、健一はちらりと私を見て
「冒険者活動で使うと上がる」
「へえ、俺ももうちょっとそっちの活動しようかな」
グラル殿下も冒険者登録しているんですね。
「さて、先生、サクラは?」
「あたし?」
「この、魔力鑑定装置は、ここ、王宮の魔法師団の所有するもので、教会にある物より精巧です。どんな小さな数値でも表示されます」
と言いながら、先ほどから見ているタブレットを示す
測定器は、内容を表示するタブレットみたいな魔道具とセットだ。だから、ガーデンで遊んでても内容は私たちは見ることはできなかった。
鎧を着こんで立っていたローリー先生側に、張り付けてあったのだ。
それにこのタブレットは保存が可能。メモを取らなくても取り出せる。
「さて、サクラ様の属性ですが、水・光・闇の三属性です」
「水があるのか!」
「ですが、何分全体的な魔力の数値が低くて、もっと訓練をしなくては、今はグラス一杯の水を出せば魔力切れになるでしょう」
それは少なすぎる。手品みたいな魔法しかできない。でも光属性を伸ばせれば、このまま聖女として・・・
「うそ、たしかに聖属性の数値が出たのよ」
「そうだな、サクラ。私は自分の国の数値を信じたいよ」
グラル殿下がやさしくサクラの髪を撫でている。
お国が厳しいから、聖女に期待しているんだよね。
「で、では、マリー殿下はどうなの?」
私はゲームの設定では闇属性に偏っていた。でも前に見てもらった時は・・・・。
「マリー殿下の属性も前に見た時と同じ、火、水、風、光、闇と、聖属性です。特に聖属性の数値が三年前と違って凄く伸びていて」
「それは、平民クラスの実習の成果だな」
健一は、ぽそりとつぶやく。
「そんな、な、なぜ、悪役令嬢が聖属性なの!認めないわ!」
サクラは繋いでいる私の手を振りほどき立ち上がる。
「あなたに認められなくても・・・」
「さくら、サクラ大丈夫だから。君が悪いのじゃない、教会の測定器がおかしかったんだ」
グラル殿下の方はサクラをなだめる。
「でも、このままじゃ私、男爵様から・・・」
「聖女じゃなくても貴族の養女にはなれるんだ。大丈夫」
グラル殿下は結構必至だ。
「そうだ、サクラ嬢。この国でも、優秀な平民は爵位を貰える、外で待ってくれている護衛騎士のイガニスのようにな」
健一も平民から貴族になった身近な例を示す。
「だが、サクラ」
グラル殿下は少し声色を変えて、お腹に力を込めたような声を出す。
「このままでは無理だ。君が心を入れ替えなければ。そして、君を測定した教会を調べてきちんと対処しよう」
その教会を調べたら、余計にサクラに不利になるのでは?
いくら何でも、同郷の転生者には幸せになってもらいたい。
本人の中身はともかく、私たちが外から出来ることは他にはないのだろうか。
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