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第一章 王国編第一部(初等部)
エピソード53 集落の攻防戦
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「「「リアナ!」」」
オレ達は直ぐに駆け出した! 反応が遅れたショーンを置いて……
「ちょ、おめえら待たんかい。ワシもチームじゃろ!」
後方にはガッチガッチに防具を固めた重さにより、出遅れるショーンが鬼のような顔をして走ってくる。
ここから集落までは三百メートルぐらいあり、オレ達は何とかリアナに追いついた。
「リアナ! 勝手な行動はチームのみんなを危険に晒すんだ! 悲鳴が聞こえた時点でみんな助けに行く事は分かっていた事だろう!」
モーガンが、強い口調と厳しい表情でリアナに怒っていた。
「すまない……悲鳴が聞こえて冷静さを欠いてしまった……」
「モーガン! とりあえずショーンは間に合わないから、ショーン抜きの陣形でいいのか?」
オレは震える声でモーガンに確認した。
本当は早く帰りたかったが、流石に女性の悲鳴を聞いて逃げるのは人として間違っている……そう言い聞かせて、未知の恐怖へ対して心を強く保っている。
集落がハッキリと目視できる所まで近づくと一人の女性がこちらに気付き、家に隠れるようにと女性宅に急ぐように駆け込んだ。
遅れているショーンを残して…………
モーガンは女性を落ち着かせて状況を確認した。
「成る程、オオトカゲが森から流れる川沿い出現し、こちらの集落に向かってきているんですね」
必要な情報だけモーガンは聞き取り、みんなに対処するか確認をした。
「一匹程度ならぼく達でもなんとか対処できるはずだ。単体なら偽ブタよりは危険度は少し低いレベルだったはずだ。それに集落の皆さんを守らないと騎士として恥ずべき行為だ!」
リアナの思い描く騎士道精神により闘うとの事だが、自分が闘いたいだけじゃないよね?
「そうね、アタシ達にできる事をしないとね」
隠れる選択肢もあるが、フィーネも闘う事を選んだようだ。
「「「クライヴはどうする」」」
三人の圧が凄いが、所詮オオトカゲだろ。
コモドオオトカゲならまだしも。
体長一メートルか大きいヤツでも二メートル弱だろ。この世界には魔法もあるし楽勝楽勝!
「パパッと片付けようぜ!」
「「「えっ! あぁ」」」
一瞬みんなが驚いた後に表情が曇ったように見えたが………………気のせいか。
「なぁ、みんな……何か忘れてないか?」
「「「んー」」」
みんなで考えていたその時!
「なんじゃこいつは! デケェわ! 可笑しかろうが! おめぇら何で隠れとんじゃ!」
「「「「あっ……ショーン」」」」
オレ達は急いで家から飛び出した。
ショーンの前には体長四メートル級のオオトカゲ? がショーンを威嚇中だった。
「えっ! アレがオオトカゲ? ゴリゴリじゃねぇか!」
オオトカゲは天然物なのか身体は見事だ! としか言えなかった。
両脚の筋肉は熊の腕二つ分ぐらいありそうな太さと、筋肉の繊維の細かさ浮き出る血管のげいじさなコントラストを目で楽しめる事から、鍛えるだけでなく水分制限もかけてきているようだ。
そして首から肩にかけての僧帽筋の盛り上がりはまさに圧巻の一言で、パリパリな焼き鳥の鳥皮のような仕上がりを見せていた。
ここまで筋肉を落とさず絞るとは、かなりの年月を重ねたに違いない!
敵ながら感服してしまうそのストイックさ!
まさにこのエリアで生息するオオトカゲ達の誉れであろう!
「シャアアァァ!」
オオトカゲは素早く舌を伸ばしてショーンを襲い掛かった!
「うわっ」
ショーンは盾を突き出して舌を弾いたが、衝撃を吸収出来ずバランスを崩して尻もちをついた。
「頭とお腹と尻尾が柔らかいから、ボクは氷魔法で転倒させるね。みんな時間稼ぎで、リアナはショーンと一緒に頭かお腹狙いで! クライヴは後ろに回り込んで尻尾ね。フィーネはサイドからみんなの援護を!」
モーガンの指示により、陣形は変化した。
しかしオレの心は危険信号が鳴っている……これはオレの知っているオオトカゲじゃないと……こんなゴリゴリに仕上げたマッチョトカゲなんて知らない…………
(どうして、この世界で会う獣達はマッチョなんだ?)
謎は深まるばかりだった…………
モーガンの詠唱時間三分の間にオレ達は自分の役割を行う。
「シャャ!」
オオトカゲの尻尾は体に似合わず俊敏で、横から薙ぎ払ってきた。
オレは急いで小盾を構えて防いだ瞬間バックステップで衝撃を逃した…………が腕がジンジンする。
「尻尾強すぎだろ! リアナ! 大丈夫か」
「うわぁ」
「情けない声をあげるな! お前が盾にならないと陣形が崩れるんだぞ! 男なら頑張れ!」
こっちからはリアナたちが見えないが、先程からショーンの情けない声にリアナが発破をかけていた。
モーガンの魔法の完成まで、三分間死ぬ気で避けるしかないか…………震える足を思いっきり地面に踏みしめて、オレは脚の震えを止めた。
(三分間でいいんだ。それまでの我慢だ)
オレはステップ等で小盾に受ける衝撃を緩和していた時……ミシッと言う嫌な音が聞こえた。
そして、次の尻尾を振り下ろす一撃を小盾で受けた時に、小盾は真っ二つに割れて、オレの左腕を捉えた………………
「クライヴ!」
ちょうどフィーネからは見える位置だったらしいが、その後オレは砂ぼこりに包まれていた。
フィーネからはオレの状況は分からないようだったのか、フィーネが駆けつけてくる足音がオレには聞こえた。
「来るな! フィーネ!」
オレのいつもと違う雰囲気を察して、フィーネは足を止めた。
オレの左腕は激痛で全く動かす事が出来なかった。もしろ身体を動かそうとすると左腕に激痛が走る。
(痛い痛い痛いよー、あーもう涙が出そう。だから嫌だったんだよ、絶対トラブルが起きるフラグが立つ前兆があったし)
一人駄々をこねていたが、オオトカゲはお構いなしにまた尻尾を振り下ろそうとした。
「ギイィィ!」
前方のリアナ達が何かしたようだ。
オオトカゲは攻撃をやめて、尻尾が地面についた。
この隙にオレは左腕を右手でささえながら、オオトカゲの尻尾の射程外よりさらに遠くの林に離れていった。
(ここまで、離れれば大丈夫だろう……あれ? ここは集落の外まで逃げてきてしまった)
遠くから足音が聞こえる。
「クライヴ! その腕…………」
いつの間にかフィーネが側にいて、口をガタガタ震わせながら真っ青な顔をしている。
オレは逃げる事に必死で気づかなかった左腕を見ると…………ありえない方向に肘が曲がっていた。
「ク、クライヴ痛いけど我慢してね。ちょっと腕を見せてね」
フィーネはそう言うと、オレのハードレザーを外して、衣服を脱がそうとした。
「痛い痛い! ちょっともう少し優しくし」
「黙ってて!」
「…………」
衣服を脱がされ左腕を見ると、肘の上から指先まで腫れ上がり、肘周辺は燃えるように熱くて内出血を起こしていた。
幸い骨は飛び出して無かったようだが、オレの左腕はハッキリと折られていた。
「フィーネ。泣くなよ……」
フィーネは肩を震わせながら、オレを気遣い痛みが出ないようにゆっくりと衣服を着させてくれた。
「ゴメンね……クライヴ……アタシの援護が遅れちゃって…………」
フィーネは涙声でオレに謝っていた。
フィーネのせいじゃないのに…………
「オレが上手く避けれなかっただけ。フィーネの責任じゃないよ」
オレは激痛に耐えながら精一杯の笑顔を見せた。
「怖かった…………クライヴが死んじゃうんだと思って………………その後も腕が無くなってないか、ちゃんとくっついてるか、骨が飛び出てないか……アタシ、アタシ…………怖かったよ…………胸がまだ苦しいよ…………」
そう言って泣きじゃくるフィーネにどんな声をかければ良いか分からず……オレは一言だけ伝えた。
「オレは生きてるよ、フィーネ」
「アイステール」
モーガンの魔法により、オオトカゲは転倒し半分仰向けになり、リアナ達にお腹を突き出す姿勢となった。
「フィーネ! リアナの援護を頼む!」
リアナは一瞬だけ躊躇い、リアナ達の元に向かった。
「クライヴ。安静にしててね」
「ギャャ!」
「グギィィィッガァァ」
「………………」
オレからはオオトカゲの背中しか見えないが、どうやら退治したようだ。
「「「「クライヴ」」」」
みんながオレを呼ぶ声が聞こえた。
「良かった。みんな無事なんだ」
オレはみんなの声で安心し眠たくなってきた……
「ク……ヴ……急いで…………誰か…………仲間…………助けて………………」
もう目を開けるのも億劫になり、何か声が聞こえているが徐々にオレは意識を失っていった…………
オレ達は直ぐに駆け出した! 反応が遅れたショーンを置いて……
「ちょ、おめえら待たんかい。ワシもチームじゃろ!」
後方にはガッチガッチに防具を固めた重さにより、出遅れるショーンが鬼のような顔をして走ってくる。
ここから集落までは三百メートルぐらいあり、オレ達は何とかリアナに追いついた。
「リアナ! 勝手な行動はチームのみんなを危険に晒すんだ! 悲鳴が聞こえた時点でみんな助けに行く事は分かっていた事だろう!」
モーガンが、強い口調と厳しい表情でリアナに怒っていた。
「すまない……悲鳴が聞こえて冷静さを欠いてしまった……」
「モーガン! とりあえずショーンは間に合わないから、ショーン抜きの陣形でいいのか?」
オレは震える声でモーガンに確認した。
本当は早く帰りたかったが、流石に女性の悲鳴を聞いて逃げるのは人として間違っている……そう言い聞かせて、未知の恐怖へ対して心を強く保っている。
集落がハッキリと目視できる所まで近づくと一人の女性がこちらに気付き、家に隠れるようにと女性宅に急ぐように駆け込んだ。
遅れているショーンを残して…………
モーガンは女性を落ち着かせて状況を確認した。
「成る程、オオトカゲが森から流れる川沿い出現し、こちらの集落に向かってきているんですね」
必要な情報だけモーガンは聞き取り、みんなに対処するか確認をした。
「一匹程度ならぼく達でもなんとか対処できるはずだ。単体なら偽ブタよりは危険度は少し低いレベルだったはずだ。それに集落の皆さんを守らないと騎士として恥ずべき行為だ!」
リアナの思い描く騎士道精神により闘うとの事だが、自分が闘いたいだけじゃないよね?
「そうね、アタシ達にできる事をしないとね」
隠れる選択肢もあるが、フィーネも闘う事を選んだようだ。
「「「クライヴはどうする」」」
三人の圧が凄いが、所詮オオトカゲだろ。
コモドオオトカゲならまだしも。
体長一メートルか大きいヤツでも二メートル弱だろ。この世界には魔法もあるし楽勝楽勝!
「パパッと片付けようぜ!」
「「「えっ! あぁ」」」
一瞬みんなが驚いた後に表情が曇ったように見えたが………………気のせいか。
「なぁ、みんな……何か忘れてないか?」
「「「んー」」」
みんなで考えていたその時!
「なんじゃこいつは! デケェわ! 可笑しかろうが! おめぇら何で隠れとんじゃ!」
「「「「あっ……ショーン」」」」
オレ達は急いで家から飛び出した。
ショーンの前には体長四メートル級のオオトカゲ? がショーンを威嚇中だった。
「えっ! アレがオオトカゲ? ゴリゴリじゃねぇか!」
オオトカゲは天然物なのか身体は見事だ! としか言えなかった。
両脚の筋肉は熊の腕二つ分ぐらいありそうな太さと、筋肉の繊維の細かさ浮き出る血管のげいじさなコントラストを目で楽しめる事から、鍛えるだけでなく水分制限もかけてきているようだ。
そして首から肩にかけての僧帽筋の盛り上がりはまさに圧巻の一言で、パリパリな焼き鳥の鳥皮のような仕上がりを見せていた。
ここまで筋肉を落とさず絞るとは、かなりの年月を重ねたに違いない!
敵ながら感服してしまうそのストイックさ!
まさにこのエリアで生息するオオトカゲ達の誉れであろう!
「シャアアァァ!」
オオトカゲは素早く舌を伸ばしてショーンを襲い掛かった!
「うわっ」
ショーンは盾を突き出して舌を弾いたが、衝撃を吸収出来ずバランスを崩して尻もちをついた。
「頭とお腹と尻尾が柔らかいから、ボクは氷魔法で転倒させるね。みんな時間稼ぎで、リアナはショーンと一緒に頭かお腹狙いで! クライヴは後ろに回り込んで尻尾ね。フィーネはサイドからみんなの援護を!」
モーガンの指示により、陣形は変化した。
しかしオレの心は危険信号が鳴っている……これはオレの知っているオオトカゲじゃないと……こんなゴリゴリに仕上げたマッチョトカゲなんて知らない…………
(どうして、この世界で会う獣達はマッチョなんだ?)
謎は深まるばかりだった…………
モーガンの詠唱時間三分の間にオレ達は自分の役割を行う。
「シャャ!」
オオトカゲの尻尾は体に似合わず俊敏で、横から薙ぎ払ってきた。
オレは急いで小盾を構えて防いだ瞬間バックステップで衝撃を逃した…………が腕がジンジンする。
「尻尾強すぎだろ! リアナ! 大丈夫か」
「うわぁ」
「情けない声をあげるな! お前が盾にならないと陣形が崩れるんだぞ! 男なら頑張れ!」
こっちからはリアナたちが見えないが、先程からショーンの情けない声にリアナが発破をかけていた。
モーガンの魔法の完成まで、三分間死ぬ気で避けるしかないか…………震える足を思いっきり地面に踏みしめて、オレは脚の震えを止めた。
(三分間でいいんだ。それまでの我慢だ)
オレはステップ等で小盾に受ける衝撃を緩和していた時……ミシッと言う嫌な音が聞こえた。
そして、次の尻尾を振り下ろす一撃を小盾で受けた時に、小盾は真っ二つに割れて、オレの左腕を捉えた………………
「クライヴ!」
ちょうどフィーネからは見える位置だったらしいが、その後オレは砂ぼこりに包まれていた。
フィーネからはオレの状況は分からないようだったのか、フィーネが駆けつけてくる足音がオレには聞こえた。
「来るな! フィーネ!」
オレのいつもと違う雰囲気を察して、フィーネは足を止めた。
オレの左腕は激痛で全く動かす事が出来なかった。もしろ身体を動かそうとすると左腕に激痛が走る。
(痛い痛い痛いよー、あーもう涙が出そう。だから嫌だったんだよ、絶対トラブルが起きるフラグが立つ前兆があったし)
一人駄々をこねていたが、オオトカゲはお構いなしにまた尻尾を振り下ろそうとした。
「ギイィィ!」
前方のリアナ達が何かしたようだ。
オオトカゲは攻撃をやめて、尻尾が地面についた。
この隙にオレは左腕を右手でささえながら、オオトカゲの尻尾の射程外よりさらに遠くの林に離れていった。
(ここまで、離れれば大丈夫だろう……あれ? ここは集落の外まで逃げてきてしまった)
遠くから足音が聞こえる。
「クライヴ! その腕…………」
いつの間にかフィーネが側にいて、口をガタガタ震わせながら真っ青な顔をしている。
オレは逃げる事に必死で気づかなかった左腕を見ると…………ありえない方向に肘が曲がっていた。
「ク、クライヴ痛いけど我慢してね。ちょっと腕を見せてね」
フィーネはそう言うと、オレのハードレザーを外して、衣服を脱がそうとした。
「痛い痛い! ちょっともう少し優しくし」
「黙ってて!」
「…………」
衣服を脱がされ左腕を見ると、肘の上から指先まで腫れ上がり、肘周辺は燃えるように熱くて内出血を起こしていた。
幸い骨は飛び出して無かったようだが、オレの左腕はハッキリと折られていた。
「フィーネ。泣くなよ……」
フィーネは肩を震わせながら、オレを気遣い痛みが出ないようにゆっくりと衣服を着させてくれた。
「ゴメンね……クライヴ……アタシの援護が遅れちゃって…………」
フィーネは涙声でオレに謝っていた。
フィーネのせいじゃないのに…………
「オレが上手く避けれなかっただけ。フィーネの責任じゃないよ」
オレは激痛に耐えながら精一杯の笑顔を見せた。
「怖かった…………クライヴが死んじゃうんだと思って………………その後も腕が無くなってないか、ちゃんとくっついてるか、骨が飛び出てないか……アタシ、アタシ…………怖かったよ…………胸がまだ苦しいよ…………」
そう言って泣きじゃくるフィーネにどんな声をかければ良いか分からず……オレは一言だけ伝えた。
「オレは生きてるよ、フィーネ」
「アイステール」
モーガンの魔法により、オオトカゲは転倒し半分仰向けになり、リアナ達にお腹を突き出す姿勢となった。
「フィーネ! リアナの援護を頼む!」
リアナは一瞬だけ躊躇い、リアナ達の元に向かった。
「クライヴ。安静にしててね」
「ギャャ!」
「グギィィィッガァァ」
「………………」
オレからはオオトカゲの背中しか見えないが、どうやら退治したようだ。
「「「「クライヴ」」」」
みんながオレを呼ぶ声が聞こえた。
「良かった。みんな無事なんだ」
オレはみんなの声で安心し眠たくなってきた……
「ク……ヴ……急いで…………誰か…………仲間…………助けて………………」
もう目を開けるのも億劫になり、何か声が聞こえているが徐々にオレは意識を失っていった…………
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