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おまけ
感謝SS①◇黒く光って怖いヤツ
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皆様の応援のお陰で、作者の想像もした事のない、ランキングに手が届きました。
皆様に感謝を込めて、二作品を捧げます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回も、いつものイタリアンに、二人でディナーに来ていた。
───ある決意を待って。
「実花、卒業おめでとう。」
「玲士も卒業おめでとう。」
乾杯をして、美味しい食事を楽しみながら、今までの他愛ない事を話していく。
芳樹達も順調にいっているので、ダブルデートもたまにしていた。
先日、無事大学を卒業し、それぞれの就職先も決まった。
同棲を決めた時に、両親達に会って挨拶をした。
実花の父親だけは、最初は反対していたが、どのようなことが起き、どれ程助けられ大切にされているのかを、事件の内容をぼかしつつ説明した。
何より、実花が玲士を大好きなのだ。
絶対離れないと宣言すると、父親はしぶしぶ納得した。
実花は、父にしては、思ったよりあっさり引き下がったな。と訝しんでいたら、実は玲士に好印象を持っていた。
実花はわざと試されたのかと少しムッとしたが、楽しそうに飲んでいる父親を見ると、まあ、いいか。と思った。
ちなみに他の家族は大感激してた。
玲士の家族は、実花が緊張していたのが馬鹿馬鹿しいくらいのウェルカム状態で、玲士が家族をなだめていた。
二人の住む場所は、お互いの通勤距離の真ん中にした。
とは言っても、会社自体さほど離れていない為、通勤は楽だろう。
イタリアンの特別室を改めて見回す。
「このVIP用の部屋も今日で終わりだな。」
「ここに来る度にどうしてもビクビクしちゃったよね。」
「俺達には分不相応だったんだよ。実花、本当に良いのか?」
「うん。最初に玲士と決めていたから、使えたとも思うよ。
───納得してくれると良いけど。 」
手元には黒く光るカード。
絶っっっ対に失くせない、普段は部屋に大切に保管されているヤツだ。
今日の真の目的は、このカードを返却する事。
コンコンと、いつものように、オーナーがやって来る。
「本日のディナーはお口に合いましたか?」
「はい! とても美味しかったです。
あの、オーナーさんにお願いがあるんです。
実は、留奈さんに伝えて貰いたい事がありまして────。」
そう言って、そっとカードを手渡す。
これからは社会人として、自力で稼いでいく事。
謝罪は十分に受け取った事。
勿論、自腹でこれからも、こちらには顔を出す事。
「───と、いうことで、とてもお世話になりました。これからは普通に予約して来させて頂きます。」
大学時代の嫌な事は全てリセットしたい。
このカードを貰ってから、玲士と話し合っていた。
二人で立ち上がりペコリと頭を下げる。
すると、クスクスとオーナーが笑っていた。
「大変失礼しました。お嬢様の仰っていた通りになったので、思わず。」
「え?」
「承りました。責任を持って留奈お嬢様に伝えておきます。
───そして、こちらが今度からお使いいただくカードでございます。」
代わりに手渡されたカードは、上品な金色をしていた。
「お嬢様からの伝言です。
『これを受け取って貰えないのなら、残りの慰謝料を支払います。』
との事です。
────諦めた方がよろしいかと。
このカードなら、持っている方は他に何名かいらっしゃいますので。」
「うぅ、普通で良いのに……。」
しかし、あの留奈だ。絶対にやる。
「───諦めよう。実花」
玲士は既に切り替えているようだ。
そもそも、実花に何か他にあるかも。と言っていたのだ。
「オーナーさん、そのカード頂きます。」
「はい。今後ともご贔屓によろしくお願いいたします。
本日の分は既に留奈お嬢様から、卒業祝いとして頂いております。
お二人共、ご卒業おめでとうございます。」
こうして、黒く光って怖いヤツは、ゴールドでちょっと怖いヤツになった。
実花の部屋に帰り、改めてカードを眺める玲士が何かに気付いた。
「あ、永年半額だって……。」
ポカンとした実花は、玲士の言った言葉を理解すると、頭を抱えて叫んだ。
「もう! 普通がいいのー!!」
ゴールドの怖いヤツは、今も大切に保管されている。
皆様に感謝を込めて、二作品を捧げます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回も、いつものイタリアンに、二人でディナーに来ていた。
───ある決意を待って。
「実花、卒業おめでとう。」
「玲士も卒業おめでとう。」
乾杯をして、美味しい食事を楽しみながら、今までの他愛ない事を話していく。
芳樹達も順調にいっているので、ダブルデートもたまにしていた。
先日、無事大学を卒業し、それぞれの就職先も決まった。
同棲を決めた時に、両親達に会って挨拶をした。
実花の父親だけは、最初は反対していたが、どのようなことが起き、どれ程助けられ大切にされているのかを、事件の内容をぼかしつつ説明した。
何より、実花が玲士を大好きなのだ。
絶対離れないと宣言すると、父親はしぶしぶ納得した。
実花は、父にしては、思ったよりあっさり引き下がったな。と訝しんでいたら、実は玲士に好印象を持っていた。
実花はわざと試されたのかと少しムッとしたが、楽しそうに飲んでいる父親を見ると、まあ、いいか。と思った。
ちなみに他の家族は大感激してた。
玲士の家族は、実花が緊張していたのが馬鹿馬鹿しいくらいのウェルカム状態で、玲士が家族をなだめていた。
二人の住む場所は、お互いの通勤距離の真ん中にした。
とは言っても、会社自体さほど離れていない為、通勤は楽だろう。
イタリアンの特別室を改めて見回す。
「このVIP用の部屋も今日で終わりだな。」
「ここに来る度にどうしてもビクビクしちゃったよね。」
「俺達には分不相応だったんだよ。実花、本当に良いのか?」
「うん。最初に玲士と決めていたから、使えたとも思うよ。
───納得してくれると良いけど。 」
手元には黒く光るカード。
絶っっっ対に失くせない、普段は部屋に大切に保管されているヤツだ。
今日の真の目的は、このカードを返却する事。
コンコンと、いつものように、オーナーがやって来る。
「本日のディナーはお口に合いましたか?」
「はい! とても美味しかったです。
あの、オーナーさんにお願いがあるんです。
実は、留奈さんに伝えて貰いたい事がありまして────。」
そう言って、そっとカードを手渡す。
これからは社会人として、自力で稼いでいく事。
謝罪は十分に受け取った事。
勿論、自腹でこれからも、こちらには顔を出す事。
「───と、いうことで、とてもお世話になりました。これからは普通に予約して来させて頂きます。」
大学時代の嫌な事は全てリセットしたい。
このカードを貰ってから、玲士と話し合っていた。
二人で立ち上がりペコリと頭を下げる。
すると、クスクスとオーナーが笑っていた。
「大変失礼しました。お嬢様の仰っていた通りになったので、思わず。」
「え?」
「承りました。責任を持って留奈お嬢様に伝えておきます。
───そして、こちらが今度からお使いいただくカードでございます。」
代わりに手渡されたカードは、上品な金色をしていた。
「お嬢様からの伝言です。
『これを受け取って貰えないのなら、残りの慰謝料を支払います。』
との事です。
────諦めた方がよろしいかと。
このカードなら、持っている方は他に何名かいらっしゃいますので。」
「うぅ、普通で良いのに……。」
しかし、あの留奈だ。絶対にやる。
「───諦めよう。実花」
玲士は既に切り替えているようだ。
そもそも、実花に何か他にあるかも。と言っていたのだ。
「オーナーさん、そのカード頂きます。」
「はい。今後ともご贔屓によろしくお願いいたします。
本日の分は既に留奈お嬢様から、卒業祝いとして頂いております。
お二人共、ご卒業おめでとうございます。」
こうして、黒く光って怖いヤツは、ゴールドでちょっと怖いヤツになった。
実花の部屋に帰り、改めてカードを眺める玲士が何かに気付いた。
「あ、永年半額だって……。」
ポカンとした実花は、玲士の言った言葉を理解すると、頭を抱えて叫んだ。
「もう! 普通がいいのー!!」
ゴールドの怖いヤツは、今も大切に保管されている。
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