【完結】最後にひとついいかな?

金浦桃多

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おまけ

感謝SS②◇成長してました R18

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 実花と玲士が付き合い始めて、もうすぐ一年が経つ。

 大学三年生になった二人の交際は順調だ。

 先月、玲士の誕生日があったが、やはり、とも言うべきか、例のイタリアンのお店から、立派なお手紙が届いた。

 ───勿論、ウチでお祝いするよね?

 要約すると、こんな感じだ。

 二人には、手紙の向こうに留奈の圧のある微笑みが透けて見えた。

 勿論、「喜んで」予約させて貰い、美味しい食事とお酒で、玲士の誕生日のお祝いをした。
 玲士が甘いのが苦手なのを知っていたオーナーは、ほろ苦いティラミスをデコレーションして出してくれた。
 プレゼントのキーケースを渡すと、喜んでその場で付け替えて、実花にティラミス味のキスをした。

 その後、玲士の部屋に帰るとベッドに直行しそうな玲士を宥めて、シャワーを浴びる。
 入れ替わりにシャワーに行っている隙に、プレゼント第二弾の準備をする。

 出てきた玲士が見たものは、

 ───彼シャツ・萌え袖の実花だった。

 当然、実花は美味しくいただかれたのだった。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 その時の事を、思い出しつつ一人呟く。

「玲士はどうしてあんなに自信がないのかな?」
 
 実花は部屋で一人ネットショッピング中だ。
 今日は玲士がバイトの日。リーズナブルだけどちょっとお洒落なレストランの厨房の手伝いだ。
 レストランで働く玲士の見学がしたかったが、中だから見えないらしい。なので、休みの日にお客さんとして連れていって貰った。
 皆にも紹介して貰うと玲士は、からかわれても楽しそうだったので安心した。
 実花は、私達学生には、これくらいが丁度良いのだ。そう思ったものだ。
 
「うーん、やっぱり確かめてみるべきよね?」

 サイトで調べた評判の良い商品を、ポチリ。

「これでよし! 私はコレだと思うんだけどなぁ……玲士が正しかったら謝ろう。」 


 数日後の金曜日。玲士の部屋にお泊まりだ。
 着替えは既にお互いの部屋に置いてあるので、荷物はわりと少ない。
 何ならなにも持たず、そのままお泊まりする日もある。
 でも、今回の実花は、とても大切に持ってきた物があった。
 入れ違いで玲士がお風呂に入っている間にベッドに座り、そっと準備をしておく。

 お風呂上がりの玲士は色っぽい。
 スウェットを履いただけで、上半身は護身術で鍛えられているきれいについた筋肉を、惜しげもなくさらけ出す。いわゆる細マッチョだ。
 いつ見ても惚れ惚れする。
 近づいてきた玲士は実花に後ろから抱きつき、かつて傷を負った方のこめかみを実花の頬に擦り付ける。

 大型犬に懐かれている様で可愛い仕草だが、これで実花に伺いを立てている。
 そっと、髪を上げ傷口にキスをする。

 これは、いつの間にか出来た合図。
 
 そうすると、ゆっくりと正面から実花を抱きしめ、唇にキスをする。
 ちゅ、ちゅ、と角度を変えて触れ合わせる。
 玲士の手が、パジャマ用にしてるTシャツの中に入ってくる。
 普段なら、そのまま受け入れるが、玲士にストップをかけた。

「……今日は止めとくか?」

 ちょっと……いや、かなり残念そうな玲士は、実花の服を整えようとする。

「待って、違うの。今日は試してみたい事があって。」

 枕の下に隠していた小箱を、そっと玲士に渡す。

「これは……。もしかして、実花が買ったの?
 試すって、まさか──」

 玲士がギュッと眉間に皺を寄せる。
 一瞬、実花は失敗したと思ったが、気持ちを強く持って、玲士の目を覗き込みながら言った。

「───もし、私の間違いなら、今夜は玲士のやりたい事全部やるよ? お願い、玲士。」

 うー、と唸って片手で目を覆うと、上を向いた。

「今のはズルいぞ、実花。」

 ため息を吐くと、玲士はしぶしぶ頷いた。

「実花にガッカリされるの嫌なんだけどな。」
「ガッカリ……? しないよ? ただ、いつも窮屈そうで、この子が可哀想だと思って。」

 ナデナデされて、玲士は思わず身体をビクリとさせる。

「こーら、実花。」

 軽いデコピンをされて、痛くはないがおでこを撫でていると。玲士が箱を開け中身を確認する。

「念のため、いつものも用意しとくぞ?」

 実花が頷くと、いつもの場所から避妊具を取り出す。
 当然ながら、今の状態では使用できない。

「私がお手伝いする?」

 と言いながら、卑猥な手の動きをする実花に、

「オネガイシマス。」

 と、玲士は目元と耳を赤くして言った。
 玲士に腰を上げて貰って下着ごと履いていたものを取り去る。
 
 はじめから少し兆していたが、まだ柔らかさを残していたソコは、実花がそっと握り込んむとピクリと反応を示した。
 滑りを良くする為に舌を這わせようと邪魔な髪を耳にかけ、玲士の勃ち上がっているモノに半開きにした口から舌を覗かせ顔を近づけようとすると、

「エロすぎ……。」

 と、上から掠れた声が聞こえた。
 実花の手と口で玲士のモノが育っていく。
 時折漏れる玲士の艶を帯びた声に、実花の下腹部も熱くなっているのがわかる。
 玲士の反応の良いトコロを念入りに愛撫していく。

「───っ! 実花、もう良い。」

 もう少し愛でていたかったが、本当の目的を思い出す。

「玲士、着けてみて?」
「……ああ」
 
 渡された、普段よりワンサイズ上の避妊具。 
 玲士は一瞬、それを見つめてから手慣れた手順で装着していく。

「───ん? あれ……? 丁度良い?」

 確認のため何度か上下に手を動かす。

「ん、大丈夫。」

「でしょう? ほらね、やっぱり玲士はLサイズなんだよ。」

「───じゃあ、実花も確認しようか。」

 そう言うと実花の服を手早く脱がして行く。

「ん?」

 あまりの手際の良さに、実花もついていけない。

「───ああ、実花も俺のこと愛撫しながら、感じてたんだね。」

 下着を脱がされる時、クチリと音がして、糸をツゥ──と、引いて切れた。

「────!!」

 恥ずかしさにパッと全身が赤くなる。

「ちょっと、余裕ないからごめんね、実花。」

 そう言うと覆い被さり、キスをしながら、下の方にも指を入れて性急に解す。

「ぅん、ん、ん。───玲士、来て。」

 体勢を整え、玲士が実花の愛液を纏わりつかせると、先端を潜り込ませる。

「ふあ、大きい……。」
「───っ! ごめん、実花!」

 そう言うと、一気に奥まで侵入してきた。

「ぁああああ!!」

 普段より圧迫感が強く、でも玲士をより強く感じている。
 少し馴染ませるために、我慢していた玲士だが、思わずと言った風に、腰を揺らし始めた。
 徐々に動きが大胆になり、実花のイイトコロも攻めてくる。
 堪らず、声をあげる実花の手に玲士の手を指を絡ませるように握りしめる。
 激しく追い上げられ、実花の内壁がうねる様に玲士をしゃぶる。

「あ、あ、あ、玲士っ、────っ!!」
「実花っ──────くっ!」

 ほぼ同時に登り詰めた二人は、玲士が全て流し込むような仕草をしたあと、いまだ絶頂から降りてこれない実花の中から名残惜しげに抜け出る。

 手早く始末し、横になると、ぎゅうぎゅうに実花に抱きついた。
 漸く実花が落ち着いてきた頃に、

「実花の言うとおりだったな……。」

 と、噛み締めるように呟く玲士。

「実はさ───」

 そう言って、教えてくれた玲士にとって、恥ずかしい過去。

 頑なに、自分のサイズを標準だと言っていたのは、まだ高校生で、ストーカーにも出会っていなかった頃の事。
 ちょっと自分のサイズに自信のあった玲士は、Lサイズに挑戦した事があった。
 結果、少々緩い。自分で恥ずかしかった思いから、標準であると思い込むようになった。

「玲士、まだまだ成長期だったんでしょ?」
「……そうだな。」

 まだまだ成長途中だった玲士は、その後、ストーカー被害に遭った事もあり、身体を鍛えたことも相まって、精神的にも肉体的にも、立派に成長出来たのだった。

 ────全てが。



 ───おしまい───





 
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