【本編完結】イクと激弱になる喧嘩番長は皆に狙われる

miian

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番外編

徘徊するゾンビ(岡田視点)

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 ラグビー部を流行らせたかった。俺は大学時代、ラグビー部のキャプテンで同期にも後輩にも慕われ、教師からも熱い期待を得ていた。ラグビーを始めるには早いに越したことはない。なのに、なのに……俺が勤める乾山高校にはラグビー部がない!

 だが、幸いなことにラグビー部はないものの、この高校には喧嘩に明け暮れた体力馬鹿がかなり多くいる。これはラグビー部を作るチャンスだ!それに早くラグビー部を作らないと、興味のないボクシング部の顧問から逃れられない。

 そこで目を付けたのが入学して早々、体力と頭どちらも馬鹿な戸塚を叩きのめしたと言う山神だ。戸塚を倒したことで山神が番長になったらしい。番長となった山神を口説いてラグビー部を作れば、山神と一緒にいる寺山も一緒に入るはずだ。そして、番長が入っているならとラグビー部に入部する奴も多いはずだ!

 そう思って毎日、毎日、山神にラグビー部を勧めたのに、あいつは全然なびかず、3年生に進級してしまった。いや、まだチャンスはある。俺はラグビー部を諦めない。ボクシング部の顧問を辞めたい。

 いつの日からか俺が山神に声をかけると寺山がすかさず邪魔をしてくるようになった。最初は気のせいかと思ったが、いや、あれは邪魔している。そんなある日、山神と寺山が一緒にいない日が数日続いた。これはもしやチャンスでは……?

 授業中の廊下から山神の教室を覗くと、山神はサボっているのかいないようだ。サボるなんてけしからん生徒だ。保健室を覗くと山神はなんとちんこを勃ち上がらせて眠っているではないか!その姿を見てムラムラし、俺の息子もつられて勃ち上がった。普段の自分では考えられなかった。でも、この時無性に欲望を抑えられなかった。

 思わず山神のズボンとパンツを脱がして、そのご馳走を咥えていた。じゅるじゅると透明な液を零さないように舐めていると山神は目を覚ました。俺の行動に驚き、ポカスカと頭を殴って抵抗している。山神はこんなに力が弱かっただろうか?まるで子犬がじゃれついているかのようだ。結局、そのご馳走を最後まで食べることはできなくて口惜しい思いをしたが……。

 後日、ボクシング部の部室に行くと、ロッカーからスウェットが何故か消えていた。考えられるのは山神だ。あの時、山神は保健室でズボンを置いて行った。まぁ、その保健室に置いて行かれたズボンは持って帰って何度もシコったのだが……。いや、そんなことよりもオレのスウェットだ。もしかして……。そのことを想像してまたズボンでシコッた。

 後日、山神を見かけた時、また以前のように抑えられない衝動に駆られ、追いかけた。屋上で何故か興奮した戸塚部員の中村、森川教師がいた。全員が山神に何かしらしていて、対抗して言ったのに俺が一番しょうもなかった……。なんてことだ……ラグビー部のキャプテンとあろうものが……。

 屋上で寺山が寺山に勝てたら山神を好きにしていいと言った。よーし!寺山を倒して今度こそ山神に挿れるぞー!と意気込んだら金蹴りをされた。っく……なんて卑怯な……。

 金蹴りをされたその日、再起不能となった俺は早退した。帰って山神のズボンでシコって息子を慰めなければ……。

「あんた、あのズボンなんか汚かったから捨てたわよ」

 な、なにぃいいいー!!!実家暮らしは何かと楽だと思っていたが、まさかこんなところで弊害が!!
 ただでさえ再起不能なのに、癒しのズボンがなくなった今、もう廃人も同然だ。

 俺はその週末、布団の中でむせび泣いた。週が明けようとした頃、思い出した。ボクシング部のロッカーのスウェットがなくなっていたということを。あのスウェットを山神が本当に持って帰ったのなら俺も山神の何かを持って帰って良くないか?あぁ、そうだ。山神の何かを取りに行こう。あいつのロッカーに体育のジャージが置いてあるかもしれない。

 そうして、週明けの月曜日の早い時間に学校へと向かい、山神のロッカーを漁った。学校へ向かうまでの道のりは長く感じた。まるでゾンビが徘徊するかのようにノロノロと歩み、何とか学校へと到着した。生徒が来る前に漁らなければ……。

 山神の教室に忍び込み、ロッカーを開ける。……残念なことに山神のロッカーには何も入っていなかった。勉強道具もなければ何もない。あいつは何しに学校へ来ているんだ。ゾンビのように校舎を徘徊する。

 まだ金玉が痛いから俺は今日も学校を休むんだ。でも、戦利品もなく家に帰るわけにはいかない。はっ!そうだ、あそこなら……。俺は体育館へと向かった。

 ……あった。山神の体育館シューズを手に取り、匂いを嗅ぐ。うんうん。あの時の興奮する香りがする。俺はそれをそそくさと懐にしまい込み、家へと帰った。

『岡田が番長の体育館シューズを懐にしまって豊臣秀吉ごっこをしているらしい』

 今度は母親に捨てられないように肌身離さず持ち歩いていたらどこかからか、そんな噂が流れ始めた。
 その噂を聞きつけた寺山にまた金蹴りをされて、あっけなく体育館シューズは持ち帰られてしまったのだが……。

『時折、岡田はゾンビのように徘徊している』

 山神に対する興奮を覚えてからどうしても忘れられず、時折発作のように思い出しては懲りずに山神の何かがないかとゾンビのように徘徊してしまう。まぁ、その都度、ゾンビ退治をしに寺山が現れ、その姿を見ると俺の金玉は縮み上がるのだが……。
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