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第四章 決着
その後
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あの廃ビルの後、喧嘩した時にお世話になっている町医者の所へと向かった。雄二がスタスタ歩いていたことから思ってたより大丈夫なのかもしれない。神も少しだけ回復させたとかって言ってたし。
……が、町医者に行ってめちゃくそ怒られた。大丈夫そうに見えた雄二は病院に着くなり倒れるわ、医者もびっくりするわで大混乱だった。雄二の頭の傷は数針縫わないといけなかったし、肋骨も折れていたらしい。医者にはくれぐれも3週間は安静にしろと何度も念押しするように言われた。
ちなみにこの医者は結構若い。昔、お世話になっていたおじいちゃん先生が引退してこいつがその後釜にやって来たけど、何かと俺と雄二のことを気にかけてくれている。医者には怒られたもののオレの恰好を見て服を貸し、雄二にはニヤニヤと3週間と何度も念押しした。
帰り道、雄二と一緒に家へと向かう。ずっと無言で歩いていた。雄二は痛み止めを飲んだものの痛みはそこらへんじゃないだろう。横にいる雄二を見上げた。頭を縫った傷は髪に隠れていて見えない。雄二の綺麗な顔に傷がつかなくて良かった。
「慎太、話があるんだ」
家の前について雄二がそう言った。オレだって話がある。あの廃ビルで自分の気持ちに気付いた。雄二もそうだと言った。しかもずっとって。一体いつからだよ?説明してもらわねぇと。
雄二の家に行く前に、おふくろに一声かけて向かう。おふくろはオレが雄二の家に行くと知ると嬉しそうにしていた。週末も一緒に過ごしてたのにどうしてか分からなかった。とりあえず雄二の部屋へ行こうとしたら雄二が振り返りオレの手を引っ張ってお風呂場へと連れて行った。まぁ、いっか。オレも汚い身体洗いたかったし。
バサッと服をお互いに脱ぐ。雄二の身体中に青タンがあり、見るに堪えなかった。肋骨が折れたところにはシップが貼られている。
「オレが洗ってやる」
「俺も慎太の身体を洗う」
「え……」
オレは咄嗟に以前雄二にイヤと言うほどゴシゴシ洗われたのを思い出した。あれはイヤなんだけど……。
「……あの時は悪かった。今度は優しく洗う」
雄二がそう言うのでオレは頷いて受け入れてやった。タオルで石鹸を泡立て、優しく雄二の身体を拭くようにして洗ってやる。怪我している所などは避けて拭くのが意外と難しい。こりゃ1人では無理だから明日からも手伝ってやらないとな。雄二の右手ーー門倉のちんこのピアスを引きちぎったその手は念入りに洗ってやった。
雄二もオレの身体を優しく洗う。以前と全く異なるその力加減に、こんな洗い方もできるのかと驚いた。でも、オレは身体よりも違う場所を綺麗にして欲しかった。口ん中だ。
「……雄二」
雄二を見上げてオレは雄二の頬にそっと手を添えた。顔を近づける。なのに雄二はオレの手を掴むとその手にキスをし、オレの唇を阻止した。……なんでだよ。
「慎太、俺もしたい。でも、まずは話しを先にせてくれ」
雄二がこの前から頑なにキスを拒否するので、オレは少し凹んだ。でも、雄二が「俺もしたい」と言ってくれただけで、その不安はすぐに打ち消された。お風呂を出て、お互いの身体を優しく拭き、雄二の部屋へと向かった。
向かい合って床に座る。雄二が真剣な顔をしてオレを見た。端整な顔をした雄二に見つめられドキッとする。
「慎太、ずっと……ずっと好きだったんだ。付き合って欲しい」
雄二の声は少し震えていて、緊張しているのだと分かる。雄二でも緊張することがあるのだと思うと少し可愛く感じた。
「……オレも雄二が好きだ。オレも雄二と付き合いたい。キスもセックスもお前じゃなきゃイヤだ。別にキスとセックスが良かったから雄二と付き合いたいわけじゃないぞ?!どんな時も一緒で、お前がいなくなって……」
「待て、俺に先に言わせてくれ。小さい頃からずっと一緒で、何をやるにしても慎太と一緒なら楽しくて、慎太が悲しいと慰めたくて、慎太の笑う顔が好きなんだ。……ずっと傍にいたいんだ」
……なんだよ、雄二もオレと一緒じゃねぇか。「オレもだ」って言うと雄二は嬉しそうに微笑んだ。
「って、ずっと好きとかって言うならもっと早く言えよ」
「慎太は俺のことをそんな風に見てないと思って……」
まぁ、確かに今回みたいなことがなかったらオレ、ずっと気づいてなかったかも……。
「あとはおにぎりを持って行かないとな」
あれ?どうして雄二がおにぎりの話を知ってんだ?神の呪いの話はしたけど、おにぎりのことなんてすっかり忘れて雄二には言ってないはずだ。
「どうして知ってんだ?」
「あぁ、実はな……」
雄二が微笑んでそう言った。いや、でも、まずオレはあの神さんの話よりも先に雄二とキスしたい。雄二もそうだったのか、オレと視線が絡みあう。その雄二の目は熱がこもり愛おしそうにオレを見るのを隠していない。その色っぽい目に心臓は高鳴り、ドキドキした。
お互いに顔を近づけて唇を重ねる。お互いの温もりを感じ合うように何度も唇を這わせ、雄二が口の中に舌をヌルッと入れる。その舌触りが気持ち良くてオレは快く受け入れた。雄二の熱い舌が顎裏や内頬を撫で、雄二の唾液を飲む。それでもまだ足りなくて、オレも雄二も抱き寄せて、お互いの素肌を味わうように服の中へと手を忍ばせた。もうお互いのペニスは硬くなっていた。
「いてて」
雄二が痛みの声を上げた。その声を聞いてゆっくりと離れる。……やべぇ、めちゃくちゃ雄二とセックスしたいのに3週間は絶対安静にしないといけない。雄二のちんこもオレのちんこも硬くなっているのにヤレないなんて……。
雄二も残念そうな顔をしている。お互いが同じ気持ちなのだと分かり目を合わせて笑い合った。小さい頃から知っている雄二。何をしても一緒でその雄二がオレの恋人となって嬉しくてもう一度キスをした。一度キスを始めると先ほどと同様にお互いの抑えが効かず、雄二の痛みの声で我に返る。そんなことを何度か繰り返す。
「3週間後が楽しみだ」
「……オレもだ」
そう言うのが恥ずかしくてオレはふいっと顔を逸らした。でも、雄二はその逃げたオレの頬を捕らえるともう一度キスをした。
……が、町医者に行ってめちゃくそ怒られた。大丈夫そうに見えた雄二は病院に着くなり倒れるわ、医者もびっくりするわで大混乱だった。雄二の頭の傷は数針縫わないといけなかったし、肋骨も折れていたらしい。医者にはくれぐれも3週間は安静にしろと何度も念押しするように言われた。
ちなみにこの医者は結構若い。昔、お世話になっていたおじいちゃん先生が引退してこいつがその後釜にやって来たけど、何かと俺と雄二のことを気にかけてくれている。医者には怒られたもののオレの恰好を見て服を貸し、雄二にはニヤニヤと3週間と何度も念押しした。
帰り道、雄二と一緒に家へと向かう。ずっと無言で歩いていた。雄二は痛み止めを飲んだものの痛みはそこらへんじゃないだろう。横にいる雄二を見上げた。頭を縫った傷は髪に隠れていて見えない。雄二の綺麗な顔に傷がつかなくて良かった。
「慎太、話があるんだ」
家の前について雄二がそう言った。オレだって話がある。あの廃ビルで自分の気持ちに気付いた。雄二もそうだと言った。しかもずっとって。一体いつからだよ?説明してもらわねぇと。
雄二の家に行く前に、おふくろに一声かけて向かう。おふくろはオレが雄二の家に行くと知ると嬉しそうにしていた。週末も一緒に過ごしてたのにどうしてか分からなかった。とりあえず雄二の部屋へ行こうとしたら雄二が振り返りオレの手を引っ張ってお風呂場へと連れて行った。まぁ、いっか。オレも汚い身体洗いたかったし。
バサッと服をお互いに脱ぐ。雄二の身体中に青タンがあり、見るに堪えなかった。肋骨が折れたところにはシップが貼られている。
「オレが洗ってやる」
「俺も慎太の身体を洗う」
「え……」
オレは咄嗟に以前雄二にイヤと言うほどゴシゴシ洗われたのを思い出した。あれはイヤなんだけど……。
「……あの時は悪かった。今度は優しく洗う」
雄二がそう言うのでオレは頷いて受け入れてやった。タオルで石鹸を泡立て、優しく雄二の身体を拭くようにして洗ってやる。怪我している所などは避けて拭くのが意外と難しい。こりゃ1人では無理だから明日からも手伝ってやらないとな。雄二の右手ーー門倉のちんこのピアスを引きちぎったその手は念入りに洗ってやった。
雄二もオレの身体を優しく洗う。以前と全く異なるその力加減に、こんな洗い方もできるのかと驚いた。でも、オレは身体よりも違う場所を綺麗にして欲しかった。口ん中だ。
「……雄二」
雄二を見上げてオレは雄二の頬にそっと手を添えた。顔を近づける。なのに雄二はオレの手を掴むとその手にキスをし、オレの唇を阻止した。……なんでだよ。
「慎太、俺もしたい。でも、まずは話しを先にせてくれ」
雄二がこの前から頑なにキスを拒否するので、オレは少し凹んだ。でも、雄二が「俺もしたい」と言ってくれただけで、その不安はすぐに打ち消された。お風呂を出て、お互いの身体を優しく拭き、雄二の部屋へと向かった。
向かい合って床に座る。雄二が真剣な顔をしてオレを見た。端整な顔をした雄二に見つめられドキッとする。
「慎太、ずっと……ずっと好きだったんだ。付き合って欲しい」
雄二の声は少し震えていて、緊張しているのだと分かる。雄二でも緊張することがあるのだと思うと少し可愛く感じた。
「……オレも雄二が好きだ。オレも雄二と付き合いたい。キスもセックスもお前じゃなきゃイヤだ。別にキスとセックスが良かったから雄二と付き合いたいわけじゃないぞ?!どんな時も一緒で、お前がいなくなって……」
「待て、俺に先に言わせてくれ。小さい頃からずっと一緒で、何をやるにしても慎太と一緒なら楽しくて、慎太が悲しいと慰めたくて、慎太の笑う顔が好きなんだ。……ずっと傍にいたいんだ」
……なんだよ、雄二もオレと一緒じゃねぇか。「オレもだ」って言うと雄二は嬉しそうに微笑んだ。
「って、ずっと好きとかって言うならもっと早く言えよ」
「慎太は俺のことをそんな風に見てないと思って……」
まぁ、確かに今回みたいなことがなかったらオレ、ずっと気づいてなかったかも……。
「あとはおにぎりを持って行かないとな」
あれ?どうして雄二がおにぎりの話を知ってんだ?神の呪いの話はしたけど、おにぎりのことなんてすっかり忘れて雄二には言ってないはずだ。
「どうして知ってんだ?」
「あぁ、実はな……」
雄二が微笑んでそう言った。いや、でも、まずオレはあの神さんの話よりも先に雄二とキスしたい。雄二もそうだったのか、オレと視線が絡みあう。その雄二の目は熱がこもり愛おしそうにオレを見るのを隠していない。その色っぽい目に心臓は高鳴り、ドキドキした。
お互いに顔を近づけて唇を重ねる。お互いの温もりを感じ合うように何度も唇を這わせ、雄二が口の中に舌をヌルッと入れる。その舌触りが気持ち良くてオレは快く受け入れた。雄二の熱い舌が顎裏や内頬を撫で、雄二の唾液を飲む。それでもまだ足りなくて、オレも雄二も抱き寄せて、お互いの素肌を味わうように服の中へと手を忍ばせた。もうお互いのペニスは硬くなっていた。
「いてて」
雄二が痛みの声を上げた。その声を聞いてゆっくりと離れる。……やべぇ、めちゃくちゃ雄二とセックスしたいのに3週間は絶対安静にしないといけない。雄二のちんこもオレのちんこも硬くなっているのにヤレないなんて……。
雄二も残念そうな顔をしている。お互いが同じ気持ちなのだと分かり目を合わせて笑い合った。小さい頃から知っている雄二。何をしても一緒でその雄二がオレの恋人となって嬉しくてもう一度キスをした。一度キスを始めると先ほどと同様にお互いの抑えが効かず、雄二の痛みの声で我に返る。そんなことを何度か繰り返す。
「3週間後が楽しみだ」
「……オレもだ」
そう言うのが恥ずかしくてオレはふいっと顔を逸らした。でも、雄二はその逃げたオレの頬を捕らえるともう一度キスをした。
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