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休日デート?①
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日曜日の午前10時K駅改札前。
「いおちーん!こっち!」
伊織の姿を見付けて大きく手を振った茉央。
ライブの時にはポニーテールにしていた髪を下ろし、長袖の白いシャツにグレーのスカートといった装いである。
中性的な強い印象の顔立ちをメイクで和らげて表情も柔らかく、ステージに上がっていた時とはまるで異なる印象だ。
対して伊織は特に反応を見せずにスタスタと歩いて茉央の前まで来た。
部屋着のTシャツにパーカーを羽織ってジーンズを穿いたテキトーコーデ。
そのうえ寝癖までついているので、茉央とは対照的にゆるゆるである。
そして合流して早々ふあぁと大あくびをした。
伊織と茉央の家はベランダに出れば話が出来るぐらいに近い。
それなのにわざわざ駅前で待ち合わせをするのは、待ち合わせからデートは始まっているという茉央のこだわりからである。
これをデートと思っているのは茉央だけではあるのだが、それは一旦置いておこう。
「もう、寝起きなの?寝癖ついてるじゃん」
そう言ってぴょこんと跳ねた髪を手櫛で梳かした茉央は、伊織の腕をとって駅から直通の商業ビルへと入るのであった。
「ねぇ、これとこれならどっちが良いかな?」
「別にどっちでも良いんじゃねぇの?」
「えー、もっと真剣に考えてよ」
女性が悩んだ様子で二つの服を見せ、男性からは面倒臭そうにテキトーな言葉を返される。
そんなカップルテンプレートのような会話をする伊織と茉央。
こういった状況の場合、女性は既に買う物を決めていて、男性が逆を選ぶと怒ったりするものだ。
間違えてもどっちでも良いでも怒られるのだから、正解を当てる為に伊織はもっと真剣に考えるべきだろう。
それが服やアクセサリーであって、ドラムスティックでなければの話だが。
2本のドラムスティックを見せられてどっちが良いか選べなんて、本職のドラマーでもなければ答えられないだろう。
いや、本職でも難しいだろうか。
ここに小傷がとか、こっちの方が少し軽いとか、こっちの方が木の密度が高そうとか、こっちの方が木目が綺麗だとか。
そんなもん自分で持って握ってみて決めろよって話である。
まあ、茉央も本気で伊織に選んで欲しい訳ではなく、カップルっぽい会話がしたくてやっているだけではあるのだが。
茉央は幾つかの商業ビルに入って服などを見てまわったが、伊織があまりにも退屈そうにしていたので早々に楽器屋へと移動した。
茉央自身、どうせそうなるだろうと思っていたから問題はない。
結局二人は軽く楽器屋をまわって近くの広場に移動した。
普段はあんなにもはっちゃけている伊織が、今日は大人しいものである。
「いおちーん!こっち!」
伊織の姿を見付けて大きく手を振った茉央。
ライブの時にはポニーテールにしていた髪を下ろし、長袖の白いシャツにグレーのスカートといった装いである。
中性的な強い印象の顔立ちをメイクで和らげて表情も柔らかく、ステージに上がっていた時とはまるで異なる印象だ。
対して伊織は特に反応を見せずにスタスタと歩いて茉央の前まで来た。
部屋着のTシャツにパーカーを羽織ってジーンズを穿いたテキトーコーデ。
そのうえ寝癖までついているので、茉央とは対照的にゆるゆるである。
そして合流して早々ふあぁと大あくびをした。
伊織と茉央の家はベランダに出れば話が出来るぐらいに近い。
それなのにわざわざ駅前で待ち合わせをするのは、待ち合わせからデートは始まっているという茉央のこだわりからである。
これをデートと思っているのは茉央だけではあるのだが、それは一旦置いておこう。
「もう、寝起きなの?寝癖ついてるじゃん」
そう言ってぴょこんと跳ねた髪を手櫛で梳かした茉央は、伊織の腕をとって駅から直通の商業ビルへと入るのであった。
「ねぇ、これとこれならどっちが良いかな?」
「別にどっちでも良いんじゃねぇの?」
「えー、もっと真剣に考えてよ」
女性が悩んだ様子で二つの服を見せ、男性からは面倒臭そうにテキトーな言葉を返される。
そんなカップルテンプレートのような会話をする伊織と茉央。
こういった状況の場合、女性は既に買う物を決めていて、男性が逆を選ぶと怒ったりするものだ。
間違えてもどっちでも良いでも怒られるのだから、正解を当てる為に伊織はもっと真剣に考えるべきだろう。
それが服やアクセサリーであって、ドラムスティックでなければの話だが。
2本のドラムスティックを見せられてどっちが良いか選べなんて、本職のドラマーでもなければ答えられないだろう。
いや、本職でも難しいだろうか。
ここに小傷がとか、こっちの方が少し軽いとか、こっちの方が木の密度が高そうとか、こっちの方が木目が綺麗だとか。
そんなもん自分で持って握ってみて決めろよって話である。
まあ、茉央も本気で伊織に選んで欲しい訳ではなく、カップルっぽい会話がしたくてやっているだけではあるのだが。
茉央は幾つかの商業ビルに入って服などを見てまわったが、伊織があまりにも退屈そうにしていたので早々に楽器屋へと移動した。
茉央自身、どうせそうなるだろうと思っていたから問題はない。
結局二人は軽く楽器屋をまわって近くの広場に移動した。
普段はあんなにもはっちゃけている伊織が、今日は大人しいものである。
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