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春江望杏
retry5:君の顔
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「うぅ……」
あの時と同じ場面。猫が亡くなったことでショックを受けて泣くクラスの女子。それを慰める彼女の友達。会話のやり取りも前の時間軸と同じ。
できるならここで望杏を止めなければならない。ここを凌げば、何とかなる。ミカはそう思い望杏に声をかけにいこうと席を立ち上がる。
しかし、それより早く望杏が動いた。泣く女子の所に向かう彼。
ーーまずい、間に合わないっ。
ミカが焦り駆け寄ろうとすると、望杏は口を開いた。
「大丈夫。きっとキミの猫も悲しんでるよ」
その言葉に女子ははっと泣き腫らした顔を上げ、望杏を凝視する。
「悲しいんだね」
もう一度伝える。表情はないけれど、心から共感してるように優しく言葉を紡ぐ。この光景にミカは目を見開き驚く。望杏の中から出た言葉は嘘偽りのない彼の心。失感情症という病気に悩み蝕まれた心に芽生えたそれがなんなのか確かめるため、ミカは彼と女子の言葉に耳を傾ける。
「悲しんでる?」
「うん。だって自分の大切な物が亡くなってしまったんだ。悲しくないわけがないよ」
違う?と首を傾げて聞く望杏。その様子に女子達は少し固まったが、泣いていた女子が一番に動いた。
「あり、がとう」
気持ちに共感した望杏にお礼を言う女子生徒。彼女の周りにいた友達も望杏に対して嫌な視線は感じない。ミカはこの光景が嬉しくてたまらなかった。望杏の心の杭はまだ太いままだが、それでもこれは確実に彼の成長が繋げた世界だと確信する。
ーーこのまま、この調子で望杏と関わることができれば……。
ミカは未来で笑う望杏を想像して胸が高鳴った。
「おい、お前あのキモいのとよく一緒にいんじゃん」
「え、もしかして好きなの?付き合ってる?」
「ギャハハハ!うけんだけど」
順調に事が進む時ほど、その反動で厄介ごとは飛び込んでくるものだなとミカはため息を吐いた。目の前には以前にも望杏に絡んでいた男子生徒達。ちょうど用事があるという望杏の帰りを教室で待っている間に、見つかってしまったのだ。
「君らに答える義理はないよ」
ミカは関わらないで欲しいと言葉を選んで伝えるが、それは男子達を苛立たせるには十分すぎたようで、全く去る様子がない。
ーーこれは困った……。なんとかしないとな。
心苦しくも、隙をついて逃げるしかないかと思っていると男子生徒はニヤニヤしながらミカに詰め寄る。
「……なんかさ、お前も変じゃね?」
「なにが?」
「ずっとクールぶって、ぼっち貫いてたのに急にあんな奴と関わるなんてさ。お前も病気仲間なの?」
ミカはその一言でドキリとした。他人の心の後悔である杭が見えるなんて普通じゃない。病気といわれて改めて己の異常な部分が浮き彫りになり、不安になる。
「さあ?それなら君も人にすぐに突っかかる病気なのかもな。違うかい?」
ミカはこれ以上心を悟られないように、質問に質問を返す形で話題を逸らした。
「はぁ?ふざけんなよ」
「俺らはまともだよ。お前らよりはな」
さすがに体格のいい男子に凄まれミカもたじろぐ。その様子を察したのか男子はニヤリと笑い、更に詰め寄った。
「ようやくいい顔してきたじゃん」
「そうやって最初から黙ってればいいのに。調子のんなよな」
「文句があんなら……」
「あるよ」
男子が言い終わる前に望杏が入ってきた。表情は変わらないがいつもよりも強い口調で彼は言う。
「ミカちゃんに嫌なことしないで。そこをどいてよ」
「……っ、うるせぇな!お前には関係ねぇだろ!」
相手を射抜くように真っ直ぐに刺さる望杏の視線。そんな彼に一瞬怯むもすぐに反論する男子生徒。それでも望杏は口を閉じない。
「嫌そうだよ。そんな顔をさせてるのに、なんでわからないの?オレと同じ病気なの?」
相手を煽ったつもりはないがそう純粋に尋ねる望杏に男子生徒は殴りかかろうと拳をあげた。
「望杏!」
ミカが声を上げ、望杏を守ろうと駆け寄ろうとしたその時。
「っ……」
望杏は避けずに立ったまま。真っ直ぐに相手を見つめる。瞬きもしない、その瞳が不気味で、男子は拳を振り下ろすのを躊躇した。そして舌打ちをして、そのまま背中を向けて去っていく。教室のドアが閉まるとミカは望杏に駆け寄った。
「大丈夫か?」
望杏はコクリと頷く。ミカはなんでもないように振る舞う彼に申し訳なくなり、悲しげに眉を下げた。
「ごめん……」
自分が絡まれたせいで、望杏を巻き込んでしまったこと。しかしミカが謝るも望杏は何も気にしてないように首を振る。
「ううん。オレは平気だよ」
「でも……っ」
また何か言われるかもしれないと思うと心配で仕方ない。変わろうとしている望杏がこれ以上、苦しむ姿は見たくない。そう情けなくも表情に出たミカ。望杏はそんな顔を見て、ハッキリと言葉を紡ぐ。
「そんな顔しないでミカちゃん。キミが嫌な思いをしてたら、オレも嫌だ」
「望杏……」
「悲しそうにしてると、心がざわつく。大切な友達だから。キミといると、こんなオレでも心がわかるようになった気になるんだ」
声の抑揚もない、それでも嘘偽りのない彼の本心。
「だから、ありがとう。オレのそばにいてくれて」
はにかんで笑う望杏。その時、彼の心の杭がなくなる。あんなに太くて大きな杭だったのに、一瞬で消えたそれ。望杏が自分と他人の感情を理解できたから、彼の中の後悔が亡くなったのだと理解して喜びに満ち溢れてミカは目を細める。
ーーああ……。私は、君のその顔が見たかったんだ。
そう、ミカは気付いた。最初は他とは違う杭だという興味本位だったのに、いつしか望杏という存在自体がミカにとって大切になり、ここまで共にこれたのだと。
「……うん」
いろいろな感情が混ざり合う。ミカは杭がなくなり、望杏の感情に対する後悔が消えたことを喜び嬉し泣きをした。それを見て望杏が不思議そうにする。
「なんで泣くの?悲しいの?」
「うれしくても、涙がでるんだよ」
ミカの説明に望杏は首を傾げて、無表情のまま質問をしてきた。
「難しいなぁ。ねぇ、笑って?ほら笑顔になれば心も楽しくなるんでしょ?」
そう言ってぎこちなく笑う彼。
ミカは「下手な笑い方」と笑った。
「はぁ、疲れたぁ」
ミカは自室のベッドに横たわり、大きく息を吐いた。望杏と関わるようになってから、彼のことをずっと考えていたせいか頭が疲れていたようだ。
ーーでも……。
望杏が自分と他人の感情を理解できるようになって本当に良かったと思う。これで彼はきっと変われるだろう。そう確信してミカは微笑んだ。
しかし同時に不安も過る。それは自分がタイムリープした影響がどこに出るのかということ。今回はいい形で収まったが、次にまたリープしたら……。
「考えてもしょうがないか」
きっとなるようにしかならない。望杏が未来を切り開いたように、ミカも自分のできることをするだけだ。
ミカはその日夢を見た。夢の中で望杏がくしゃっと笑い、ミカに「ありがとう」と伝える夢。
心の中でミカは答える。
ーー友達なんだから、気にするな、と。
あの時と同じ場面。猫が亡くなったことでショックを受けて泣くクラスの女子。それを慰める彼女の友達。会話のやり取りも前の時間軸と同じ。
できるならここで望杏を止めなければならない。ここを凌げば、何とかなる。ミカはそう思い望杏に声をかけにいこうと席を立ち上がる。
しかし、それより早く望杏が動いた。泣く女子の所に向かう彼。
ーーまずい、間に合わないっ。
ミカが焦り駆け寄ろうとすると、望杏は口を開いた。
「大丈夫。きっとキミの猫も悲しんでるよ」
その言葉に女子ははっと泣き腫らした顔を上げ、望杏を凝視する。
「悲しいんだね」
もう一度伝える。表情はないけれど、心から共感してるように優しく言葉を紡ぐ。この光景にミカは目を見開き驚く。望杏の中から出た言葉は嘘偽りのない彼の心。失感情症という病気に悩み蝕まれた心に芽生えたそれがなんなのか確かめるため、ミカは彼と女子の言葉に耳を傾ける。
「悲しんでる?」
「うん。だって自分の大切な物が亡くなってしまったんだ。悲しくないわけがないよ」
違う?と首を傾げて聞く望杏。その様子に女子達は少し固まったが、泣いていた女子が一番に動いた。
「あり、がとう」
気持ちに共感した望杏にお礼を言う女子生徒。彼女の周りにいた友達も望杏に対して嫌な視線は感じない。ミカはこの光景が嬉しくてたまらなかった。望杏の心の杭はまだ太いままだが、それでもこれは確実に彼の成長が繋げた世界だと確信する。
ーーこのまま、この調子で望杏と関わることができれば……。
ミカは未来で笑う望杏を想像して胸が高鳴った。
「おい、お前あのキモいのとよく一緒にいんじゃん」
「え、もしかして好きなの?付き合ってる?」
「ギャハハハ!うけんだけど」
順調に事が進む時ほど、その反動で厄介ごとは飛び込んでくるものだなとミカはため息を吐いた。目の前には以前にも望杏に絡んでいた男子生徒達。ちょうど用事があるという望杏の帰りを教室で待っている間に、見つかってしまったのだ。
「君らに答える義理はないよ」
ミカは関わらないで欲しいと言葉を選んで伝えるが、それは男子達を苛立たせるには十分すぎたようで、全く去る様子がない。
ーーこれは困った……。なんとかしないとな。
心苦しくも、隙をついて逃げるしかないかと思っていると男子生徒はニヤニヤしながらミカに詰め寄る。
「……なんかさ、お前も変じゃね?」
「なにが?」
「ずっとクールぶって、ぼっち貫いてたのに急にあんな奴と関わるなんてさ。お前も病気仲間なの?」
ミカはその一言でドキリとした。他人の心の後悔である杭が見えるなんて普通じゃない。病気といわれて改めて己の異常な部分が浮き彫りになり、不安になる。
「さあ?それなら君も人にすぐに突っかかる病気なのかもな。違うかい?」
ミカはこれ以上心を悟られないように、質問に質問を返す形で話題を逸らした。
「はぁ?ふざけんなよ」
「俺らはまともだよ。お前らよりはな」
さすがに体格のいい男子に凄まれミカもたじろぐ。その様子を察したのか男子はニヤリと笑い、更に詰め寄った。
「ようやくいい顔してきたじゃん」
「そうやって最初から黙ってればいいのに。調子のんなよな」
「文句があんなら……」
「あるよ」
男子が言い終わる前に望杏が入ってきた。表情は変わらないがいつもよりも強い口調で彼は言う。
「ミカちゃんに嫌なことしないで。そこをどいてよ」
「……っ、うるせぇな!お前には関係ねぇだろ!」
相手を射抜くように真っ直ぐに刺さる望杏の視線。そんな彼に一瞬怯むもすぐに反論する男子生徒。それでも望杏は口を閉じない。
「嫌そうだよ。そんな顔をさせてるのに、なんでわからないの?オレと同じ病気なの?」
相手を煽ったつもりはないがそう純粋に尋ねる望杏に男子生徒は殴りかかろうと拳をあげた。
「望杏!」
ミカが声を上げ、望杏を守ろうと駆け寄ろうとしたその時。
「っ……」
望杏は避けずに立ったまま。真っ直ぐに相手を見つめる。瞬きもしない、その瞳が不気味で、男子は拳を振り下ろすのを躊躇した。そして舌打ちをして、そのまま背中を向けて去っていく。教室のドアが閉まるとミカは望杏に駆け寄った。
「大丈夫か?」
望杏はコクリと頷く。ミカはなんでもないように振る舞う彼に申し訳なくなり、悲しげに眉を下げた。
「ごめん……」
自分が絡まれたせいで、望杏を巻き込んでしまったこと。しかしミカが謝るも望杏は何も気にしてないように首を振る。
「ううん。オレは平気だよ」
「でも……っ」
また何か言われるかもしれないと思うと心配で仕方ない。変わろうとしている望杏がこれ以上、苦しむ姿は見たくない。そう情けなくも表情に出たミカ。望杏はそんな顔を見て、ハッキリと言葉を紡ぐ。
「そんな顔しないでミカちゃん。キミが嫌な思いをしてたら、オレも嫌だ」
「望杏……」
「悲しそうにしてると、心がざわつく。大切な友達だから。キミといると、こんなオレでも心がわかるようになった気になるんだ」
声の抑揚もない、それでも嘘偽りのない彼の本心。
「だから、ありがとう。オレのそばにいてくれて」
はにかんで笑う望杏。その時、彼の心の杭がなくなる。あんなに太くて大きな杭だったのに、一瞬で消えたそれ。望杏が自分と他人の感情を理解できたから、彼の中の後悔が亡くなったのだと理解して喜びに満ち溢れてミカは目を細める。
ーーああ……。私は、君のその顔が見たかったんだ。
そう、ミカは気付いた。最初は他とは違う杭だという興味本位だったのに、いつしか望杏という存在自体がミカにとって大切になり、ここまで共にこれたのだと。
「……うん」
いろいろな感情が混ざり合う。ミカは杭がなくなり、望杏の感情に対する後悔が消えたことを喜び嬉し泣きをした。それを見て望杏が不思議そうにする。
「なんで泣くの?悲しいの?」
「うれしくても、涙がでるんだよ」
ミカの説明に望杏は首を傾げて、無表情のまま質問をしてきた。
「難しいなぁ。ねぇ、笑って?ほら笑顔になれば心も楽しくなるんでしょ?」
そう言ってぎこちなく笑う彼。
ミカは「下手な笑い方」と笑った。
「はぁ、疲れたぁ」
ミカは自室のベッドに横たわり、大きく息を吐いた。望杏と関わるようになってから、彼のことをずっと考えていたせいか頭が疲れていたようだ。
ーーでも……。
望杏が自分と他人の感情を理解できるようになって本当に良かったと思う。これで彼はきっと変われるだろう。そう確信してミカは微笑んだ。
しかし同時に不安も過る。それは自分がタイムリープした影響がどこに出るのかということ。今回はいい形で収まったが、次にまたリープしたら……。
「考えてもしょうがないか」
きっとなるようにしかならない。望杏が未来を切り開いたように、ミカも自分のできることをするだけだ。
ミカはその日夢を見た。夢の中で望杏がくしゃっと笑い、ミカに「ありがとう」と伝える夢。
心の中でミカは答える。
ーー友達なんだから、気にするな、と。
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