女王様が恋をしたら

紅玉

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5話

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 次の日。
凛が起こしに来ても、結菜はなかなか起きてくれなかった。なんだか、ぐずっているのだ。
「ほらー、制服着てー。」
小さな制服を渡しても、ブンブン振り回して着てくれないのだ。
フレンチトーストは美味しそうに食べてくれたのでもう機嫌が良くなったのかと思っていたのだが
学校で教室に入った途端、一気にムスッとした表情になってしまった。
学校だと結菜が笑わないのはいつもの事だけど、ここまで露骨に表情を変えるのは珍しい。
教室を見渡すと、赤みがかかった茶髪の頭を発見した。まだ声変わりをしていない男の子の声。
彼こそが凛がお付き合いを始めた相手、
佐川幸生である。
彼はすぐに凛に気づいてくれた。
「立花!おはよう。」
「おはよ、佐川。今日、バスケ部ある?」
「今日はないよ。立花、一緒に帰ろうぜ?」
「うん。」
そんな、ありふれた会話。
…とても嬉しい。
思わず笑がこぼれる。
「私、今日 日直じゃないよね?」
「違うだろ?2週間くらい前にやったばっか…」
「あ、そうだった。」
うっかりしてた、そう言うと彼は朗らかな笑い声をあげた。
 楽しそうな凛の笑顔。それが面白くなくて、結菜はくいっと制服の裾を引っ張った。
ショートカットの髪と共に振り向く凛の優しい表情。いつもの、私が知っている凛の表情。
「凛、私、準備しなくちゃ。」
「あれ、結菜珍しいね。
今日はどうしたの?良い子すぎるよー」
私の首に手を回してきゅっと抱きしめる。
いつもの凛。
私の知ってる、凛だ。
嬉しくて心から笑った。
ほら、こっちが本当の凛よって誇らしく思った。
幸生と目が合う。
彼は当惑した表情を見せていた。
私は認めない。
凛が、誰かと付き合うなんて。
絶対に凛をあいつから取り戻してみせる。


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