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第12話

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「チカ。起きてください。終わりました」

 チカは途中から見ているのも疲れたので、鞄からブランケットを出して包まり眠っていた。ようやく終わったのかルダスに起こされた。

「おはよ。終わったの」

「終わりました。担任以外は居ません」 

「そうなんだ。了解」

 起き上がり綺麗にブランケットをたたみ鞄に入れて、チカは欠伸をしながら立ち上がる。

「よく寝てたな。この状況で寝られるのは凄いよ。
 それで、チカくんの生徒情報がボクにないんだ」

「当たり前だよ。だって、入学式前日に試験受けて滑り込み入学。
 これ渡してと言われて、誰に渡したらいいか分からなかった。
 担任様に渡せば良いよね。はい、どうぞサバト先生」

「ありがとう。あとで確認するよ。
 クラブ活動一覧を渡すよ。貰っていないはずだ。入るクラブを決めてくれ」

「先生」

「なんだ。チカ」

「入らないって選択肢はないのかなぁって」

「無いな。入学案内全部読んでなかっただろ」

 入学案内なんて読んでる暇があるわけないだろ。一夜漬けのテスト勉強で体力気力ともに使い果たした。

「すいません」

 反論するのが面倒だから、チカはとりあえず謝罪した。ルダスが説明してくれた。

「魔法学園では自分達が持って来た物を除き、全てが自給自足。
 必修の基礎科目と選択科目が3つ。お金は持ってくるな。書かれていたでしょう。それはクラブ活動でお金を稼ぐため。実績やクラブ活動ポイントでお金が配給される。ちなみにクラスポイントもある。卒業まで外出は無理だと考えた方が良い。課外授業と夏季休暇、冬季休暇を除いて。毎年課外授業で脱走者が出るらしい」

「あっありがとう。ルダス。教えてくれて」

 知らなかった。真剣に選ばなければ。でも人が多いのも目立つのもチカは面倒で嫌だった。クラブ活動はさほど多くはない。

 ・生徒会

 ・魔法研究会

 ・魔導具研究部

 ・生物部

 ・召喚術研究会

 ・戦闘魔法研究会

 ・食虫植物部

 ・カクテル文学ミニチュア部

 なんだろう最後のカクテル文学ミニチュア部。小説家のわたしには向いているかもしれない。カクテルも作ったことはある。ミニチュア模型も。分からない。詰め込みすぎじゃないか。最後の部。ルダスはどうするのだろう。

「リオン様は何部にサバト教師。
 リオン様は俺と同じクラスでしょうか?」

「リオンか。同じクラスだ。聞かなくても分かるだろ。生徒会だ。
 リオンに伝えておいてくれと言われたからな」

「ありがとうございます。俺も生徒会で」

「分かった。チカ。おまえ。どうする」

「最後のカクテル文学ミニチュア部はなんですか?」

「そこは1人しか在籍してないボクが顧問の部だよ。今年も0で1人が卒業したら廃部に「入部します」本当か。チカがいいなら。この後は各自クラブで挨拶をしてオリエンテーション終了だ。お疲れ様。
 チカはボクと来い。場所に案内する。ルダスは階段で最上階まで行き目の前が生徒会室だ。行けるか?」

「分かりました。それではチカ。ここまでありがとう」

 バレているのに、貫き通す精神力凄いよ。ルダス。でもリオン様と同じじゃなくて入りたい部なかったのか。わたしが聞くのもお門違いか。最後ぐらいとチカは前髪を上げて笑顔を作る。

「わたしは何もしていない。こちらこそ、ありがとうと言っておこう。
 目立つから普段はわたしに話しかけるな。では先生行きましょう」

「こっちだ。ボクが顧問の部は別館にある。着いたら説明するから、はぐれないように」

 チカとサバト先生が職員室を出た。チカは自分の顔について他人にどう見られるかまったく気にしていない。目立たないために隠しているだけで、顔の良し悪しでさえ頓着していない。チカの顔はこの世界では見たこともないほど、可憐は本来女子に使う言葉だが、可憐で儚げでかなりの美人だ。まじかで見たルダスが顔を真っ赤にしていたことにチカは気付かなかった。

「反則じゃねぇか。あの顔」

 俺もこれが終われば関わらない。決めていた。だから、話しかけるな。それはそれで好都合のはずなのにルダスは何故かもやっとしていた。
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