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リヴィオの風邪
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今冬、流行している風邪にリヴィオがやられてしまった……。
ナシュレのお医者様のアラン先生を屋敷に呼ぶと駆けつけてきてくれた。ベットの傍で私は佇む。
「いやぁ~。こんな珍しいことあるんですね」
高熱で寝ているリヴィオは顔が赤くてしんどそうだ。眠そうな目を開けて、珍しくとか!なんだよ?それ!と言い返すが、いつもの勢いは無い。
「一番の薬は、大人しく寝ていることです。食後に、この薬草を飲ませてあげてくださいね」
アラン先生が薬を置いていく。ありがとうございましたと私はお礼を言う。
「セイラ様のほうが顔色悪いですよ。そんな心配そうな顔をされなくても大丈夫ですよ。単なる風邪ですから、リヴィオ様の体力なら、明日には治ってますよ」
「あ……うん……はい……」
私の表情が暗かったからなのか、アランはそう言って励まして帰っていった。執事のアルバートがテキパキとメイド達に着替えや水差しを用意させたりしている。
私は厨房に顔を出す。
「ちょっと私に作らせてくれる?」
料理長が良いですよと言いつつ、私を見守るように、なんでも言ってくださいと厨房にいてくれる。
私はりんごのすりおろし、おかゆ、バニラアイスを用意して、お盆にのせた。
「お米を柔らかくしたものですか?なるほど。パン粥をと考えていましたが、良いかもしれませんね!」
料理長が感心している。
「少し食べてくれるといいんだけど……」
「ええっと……セイラ様?リヴィオ様は単なる風邪と聞いてますが……?」
でもいつもより元気無いんだものと私が言うと、料理長が、まぁ、体調は悪いですからと言った。
私が食事を運んで行くと、寝ていたリヴィオが起き上がる。
「もうこんな時間か……」
「汗はかいてない?少し食べれる?」
「ああ、うん……おかゆ!?すりおろしりんご!?なんかすげー懐かしいのを持ってきたな。セイラが?」
「そうよ」
ありがとうと言って食べるリヴィオ。
「食べれる?食べさせようか?」
ブッ!とおかゆを吹き出しかけるリヴィオ。
「おい?どうした?酒、飲んでねーよな?……むしろさっさと出てけ。伝染るから!」
手であっち行けと追い払われた……。私はしょんぼりとした気持ちで、リヴィオの私室のドアの前に座り込む。病弱な母を思い出す。辛そうなのに何もできない自分。そのうち痩せていき、母は亡くなった。
早く……早く良くなってよ。涙が溢れる。いつも元気にしてるリヴィオが寝込んでいると、気持ちが沈み、どこまでも落ちていく。
夜も一緒にいて看病する!と言ったが、いいから!伝染るから!近寄るなよと怒られた。
アオにどうしようと相談すると『体力が有り余っとるあやつに力を使うのは無駄じゃ!むしろ免疫ついてラッキーじゃろうが!』と相手にされなかった。
冷たいタオルにしようと部屋に入ろうとすると、執事のクロウが私を止めた。
「セイラ様、リヴィオ様は気配に敏感です。部屋に入ると起こしてしまわれます。熱は下がってきてますから、セイラ様はそんな心配されず、ゆっくりお休みください」
私はなんの役にも立てない。自室に大人しく帰るが、明け方まで、なかなか寝付けなかった。
「リヴィオ!?」
私は朝になり、慌てて部屋まで走っていった。ベットは………え!?いない?いったいどこなの!?
廊下に出ていくと、タオルを首にかけたリヴィオがいた。
「ん?何してるんだ?」
「え?もう………元気なの?」
「ああ。元気だ。ちょっと寝すぎてだるいけど、いつも通りだな。風呂で汗を流してきたところだ」
首をコキコキと横にしたり戻したりしている。
「どうしたんだ?」
「えっと……なんでもないわ」
私はほほ笑む。ホッとした。リヴィオは大丈夫だ。ちゃんと元気になった。私の母のようにはならなかった。
「セイラに伝染るか心配で、おかゆを食べさせてもらいそこねたのが惜しかったけどな!でも美味しかった。ありがとう」
そう言って、ハハッと笑って着替えに行くリヴィオの背中を見送ったのだった。
今日の私は明るく笑えそうだ。
ナシュレのお医者様のアラン先生を屋敷に呼ぶと駆けつけてきてくれた。ベットの傍で私は佇む。
「いやぁ~。こんな珍しいことあるんですね」
高熱で寝ているリヴィオは顔が赤くてしんどそうだ。眠そうな目を開けて、珍しくとか!なんだよ?それ!と言い返すが、いつもの勢いは無い。
「一番の薬は、大人しく寝ていることです。食後に、この薬草を飲ませてあげてくださいね」
アラン先生が薬を置いていく。ありがとうございましたと私はお礼を言う。
「セイラ様のほうが顔色悪いですよ。そんな心配そうな顔をされなくても大丈夫ですよ。単なる風邪ですから、リヴィオ様の体力なら、明日には治ってますよ」
「あ……うん……はい……」
私の表情が暗かったからなのか、アランはそう言って励まして帰っていった。執事のアルバートがテキパキとメイド達に着替えや水差しを用意させたりしている。
私は厨房に顔を出す。
「ちょっと私に作らせてくれる?」
料理長が良いですよと言いつつ、私を見守るように、なんでも言ってくださいと厨房にいてくれる。
私はりんごのすりおろし、おかゆ、バニラアイスを用意して、お盆にのせた。
「お米を柔らかくしたものですか?なるほど。パン粥をと考えていましたが、良いかもしれませんね!」
料理長が感心している。
「少し食べてくれるといいんだけど……」
「ええっと……セイラ様?リヴィオ様は単なる風邪と聞いてますが……?」
でもいつもより元気無いんだものと私が言うと、料理長が、まぁ、体調は悪いですからと言った。
私が食事を運んで行くと、寝ていたリヴィオが起き上がる。
「もうこんな時間か……」
「汗はかいてない?少し食べれる?」
「ああ、うん……おかゆ!?すりおろしりんご!?なんかすげー懐かしいのを持ってきたな。セイラが?」
「そうよ」
ありがとうと言って食べるリヴィオ。
「食べれる?食べさせようか?」
ブッ!とおかゆを吹き出しかけるリヴィオ。
「おい?どうした?酒、飲んでねーよな?……むしろさっさと出てけ。伝染るから!」
手であっち行けと追い払われた……。私はしょんぼりとした気持ちで、リヴィオの私室のドアの前に座り込む。病弱な母を思い出す。辛そうなのに何もできない自分。そのうち痩せていき、母は亡くなった。
早く……早く良くなってよ。涙が溢れる。いつも元気にしてるリヴィオが寝込んでいると、気持ちが沈み、どこまでも落ちていく。
夜も一緒にいて看病する!と言ったが、いいから!伝染るから!近寄るなよと怒られた。
アオにどうしようと相談すると『体力が有り余っとるあやつに力を使うのは無駄じゃ!むしろ免疫ついてラッキーじゃろうが!』と相手にされなかった。
冷たいタオルにしようと部屋に入ろうとすると、執事のクロウが私を止めた。
「セイラ様、リヴィオ様は気配に敏感です。部屋に入ると起こしてしまわれます。熱は下がってきてますから、セイラ様はそんな心配されず、ゆっくりお休みください」
私はなんの役にも立てない。自室に大人しく帰るが、明け方まで、なかなか寝付けなかった。
「リヴィオ!?」
私は朝になり、慌てて部屋まで走っていった。ベットは………え!?いない?いったいどこなの!?
廊下に出ていくと、タオルを首にかけたリヴィオがいた。
「ん?何してるんだ?」
「え?もう………元気なの?」
「ああ。元気だ。ちょっと寝すぎてだるいけど、いつも通りだな。風呂で汗を流してきたところだ」
首をコキコキと横にしたり戻したりしている。
「どうしたんだ?」
「えっと……なんでもないわ」
私はほほ笑む。ホッとした。リヴィオは大丈夫だ。ちゃんと元気になった。私の母のようにはならなかった。
「セイラに伝染るか心配で、おかゆを食べさせてもらいそこねたのが惜しかったけどな!でも美味しかった。ありがとう」
そう言って、ハハッと笑って着替えに行くリヴィオの背中を見送ったのだった。
今日の私は明るく笑えそうだ。
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