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年越しは賑やかに!
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新年の集まりになぜかニナがいた。
「暇なのか?」
ジーニーが言うと、ニナが忙しいわよっ!と言い返している。
「どういうことだ?仕事は大丈夫なのか?」
「リヴィオ、心配してくれるの!?」
ニナがウフフと嬉しそうに笑う。リヴィオが淡々と、いや、単純な疑問だと言うと、イラッとして半眼になっている。
「もうっ!ここの男たちはなんなのよっ!この美しいニナ様が来て嬉しくないの!?」
「ニナ、うるさいのだー」
「年越しの集まりに来るなら、空気読むのだ」
「うっ……一番、空気読めなさそうな双子ちゃんに言われてしまったわ」
私は、お酒の蓋を開ける。ナシュレ産の葡萄酒は今年、出来が良かった。暖炉のそばにマッタリと寝ているアオにも注いであげると満足げにぺろりと舐める。
「まあまあ。来たからには楽しんで行って。そんな大したことしてないんだけど……好きなように食べて飲んで、お風呂に行く感じなのよ」
「それ最高よ!もうね……今年はすごく忙しくて、この年の終わりと始まりくらい、ゆっくりさせてよ!ってワガママ言って、無理やりスケジュール明けたのよ。明後日には王宮のパーティーで歌う予定がもう入ってるわ」
多忙な歌姫はたまにストレスが溜まる。以前も逃げてきたことがあった。トトとテテがまぁ、飲むのだと限定の貴重なお酒を持ってきた。
「それ幻の酒じゃないか?『ロックスター』ってやつで、過去に数本しか作られていない、年代ものの……どうやって手に入れたんだ!?」
トトとテテがニヤリとした。ジーニーがやや怯む。
『我らに不可能はないのだっ!』
酒豪の双子ちゃんは他にもお酒の瓶を並べていく。……どれもすごい酒だなとジーニーが瓶を手に取り、銘柄を見て呟いている。
コック長が腕を奮ったご馳走もテーブルに並ぶ。甘酸っぱい魚のマリネ、甘辛く煮た柔らかい煮豚、肉汁がジュワッと出ている鶏肉のソテー、黄金色のバターがとろりとかかったマッシュポテト、程よく火の通ったローストビーフ、甘く煮たリンゴとシナモンが聞いたアップルパイ、フワリと焼かれたケーキにサクサクのクッキーなど、食べ切れるの?というくらいだ。
「フフッ。幸せだわー」
私は頬に手をやり、お皿に料理をとって食べる。
「セイラはけっこう食いしん坊だからな」
そう言って、リヴィオは私の顔を見て笑った。私とリヴィオのまったりとした雰囲気にもう!と言ってニナはお酒を置く。
「王都の男達は皆、ニナ様に夢中って言われてるのに……まぁ、いいわ!せっかく来たんだから、歌を一曲歌ってあげるわ!」
『恩着せがましいのだー』
トトとテテの一言にうるさいわよ!とニナが言う。
「お酒で良い気分になったから、歌いたいのよっ!水を差さないでよねっ!」
ニナは手を伸ばす。のびのびとした声が室内に響く。その曲は……神と人が恋に落ちたというもので、以前にも聞いたことが………私はガタッと立ち上がった。
『セイラ!?』
ニナも皆もバッと視線を私に向けた。
「あ……ごめんなさい。いきなり……この歌ってもしかして?って思って」
アオがあくびをする。ニナが、腰に手を当てて説明してくれる。
「これは昔から伝わる歌で『鎮魂歌』って言われる歌集に入ってるのよ」
「ニナ、あの……その本って貸してもらえる?」
「無理ね。持ち出し禁止よ。でも、そこの学園長に聞いてみたら?エスマブル学園の禁書の中にあるはずよ」
ジーニーは持ち出さず、学園で見るなら良いよと言う。私はわかったわと頷いた。
「セイラ、なにか……」
リヴィオが私に尋ねかけた時だった。バーン!と扉が開いた。
「オイーーーッス!エイデンさまだぞー!来てやったぞー!」
エイデンが騎士団の制服のまま登場した。仕事が終わってから慌てて、来たようだ。……そこまで来たかったのかしら?
「誰も呼んでないのだ」
「手土産持ってきたのだ?」
双子ちゃんの手厳しい出迎えにも、めげず、もちろんだ!とエイデンは一応気を使ったと良い、王都の有名店のチーズケーキやシュークリームなどを出した。
「意外と甘党なのね」
もさっとした人の割に……とニナが言う。エイデンがうわあああ!と声をあげた。
「えっ!?えええええっ?な、なんでこんなところにニナ様が!?」
エイデンの顔が真っ赤になった。ニナはそれを無視して、ジーニーとリヴィオにドヤ顔で言い放つ。
「見なさいよっ!これが普通の男の反応なのよ!?」
そーかよとリヴィオは言い、ジーニーは苦笑している。
「ニナ様に在学中、話しかけたくても話しかけることができなかった青春!今こそっ!」
一人で燃えているエイデン。
「友達からお願いしまーーーーすっ!」
『うるさいのだ!』
トトとテテに怒られるエイデンを見ず、リヴィオとジーニーから視線を外さないニナ。
「おい、この肉うまくないか?カシューの牧場で育てたやつなんだが、餌に工夫してるらしい」
「へー!確かに普通の肉より、プリッとした感じがするよ」
悪魔でもマイペースなリヴィオとジーニーは二人で食べて飲んで、語っている。プルプル震えるニナ。絶対わかっててしてるわよね!?と、私は思いつつ、フルフルと怒りを抑えているニナの肩をポンッと叩く。
「今日のお風呂はゆず風呂よ……暖まってくるといいわよ」
セイラー!とニナに泣き声をあげられつつ、抱きつかれる。
「こんな性格悪いリヴィオとジーニーは置いといて、二人でお風呂に行きましょう!」
えええ!ニナさん行っちゃうんですかーーーーっ!とエイデンが叫ぶのだった。
………今年の年越しも賑やかに過ぎてゆく。
「暇なのか?」
ジーニーが言うと、ニナが忙しいわよっ!と言い返している。
「どういうことだ?仕事は大丈夫なのか?」
「リヴィオ、心配してくれるの!?」
ニナがウフフと嬉しそうに笑う。リヴィオが淡々と、いや、単純な疑問だと言うと、イラッとして半眼になっている。
「もうっ!ここの男たちはなんなのよっ!この美しいニナ様が来て嬉しくないの!?」
「ニナ、うるさいのだー」
「年越しの集まりに来るなら、空気読むのだ」
「うっ……一番、空気読めなさそうな双子ちゃんに言われてしまったわ」
私は、お酒の蓋を開ける。ナシュレ産の葡萄酒は今年、出来が良かった。暖炉のそばにマッタリと寝ているアオにも注いであげると満足げにぺろりと舐める。
「まあまあ。来たからには楽しんで行って。そんな大したことしてないんだけど……好きなように食べて飲んで、お風呂に行く感じなのよ」
「それ最高よ!もうね……今年はすごく忙しくて、この年の終わりと始まりくらい、ゆっくりさせてよ!ってワガママ言って、無理やりスケジュール明けたのよ。明後日には王宮のパーティーで歌う予定がもう入ってるわ」
多忙な歌姫はたまにストレスが溜まる。以前も逃げてきたことがあった。トトとテテがまぁ、飲むのだと限定の貴重なお酒を持ってきた。
「それ幻の酒じゃないか?『ロックスター』ってやつで、過去に数本しか作られていない、年代ものの……どうやって手に入れたんだ!?」
トトとテテがニヤリとした。ジーニーがやや怯む。
『我らに不可能はないのだっ!』
酒豪の双子ちゃんは他にもお酒の瓶を並べていく。……どれもすごい酒だなとジーニーが瓶を手に取り、銘柄を見て呟いている。
コック長が腕を奮ったご馳走もテーブルに並ぶ。甘酸っぱい魚のマリネ、甘辛く煮た柔らかい煮豚、肉汁がジュワッと出ている鶏肉のソテー、黄金色のバターがとろりとかかったマッシュポテト、程よく火の通ったローストビーフ、甘く煮たリンゴとシナモンが聞いたアップルパイ、フワリと焼かれたケーキにサクサクのクッキーなど、食べ切れるの?というくらいだ。
「フフッ。幸せだわー」
私は頬に手をやり、お皿に料理をとって食べる。
「セイラはけっこう食いしん坊だからな」
そう言って、リヴィオは私の顔を見て笑った。私とリヴィオのまったりとした雰囲気にもう!と言ってニナはお酒を置く。
「王都の男達は皆、ニナ様に夢中って言われてるのに……まぁ、いいわ!せっかく来たんだから、歌を一曲歌ってあげるわ!」
『恩着せがましいのだー』
トトとテテの一言にうるさいわよ!とニナが言う。
「お酒で良い気分になったから、歌いたいのよっ!水を差さないでよねっ!」
ニナは手を伸ばす。のびのびとした声が室内に響く。その曲は……神と人が恋に落ちたというもので、以前にも聞いたことが………私はガタッと立ち上がった。
『セイラ!?』
ニナも皆もバッと視線を私に向けた。
「あ……ごめんなさい。いきなり……この歌ってもしかして?って思って」
アオがあくびをする。ニナが、腰に手を当てて説明してくれる。
「これは昔から伝わる歌で『鎮魂歌』って言われる歌集に入ってるのよ」
「ニナ、あの……その本って貸してもらえる?」
「無理ね。持ち出し禁止よ。でも、そこの学園長に聞いてみたら?エスマブル学園の禁書の中にあるはずよ」
ジーニーは持ち出さず、学園で見るなら良いよと言う。私はわかったわと頷いた。
「セイラ、なにか……」
リヴィオが私に尋ねかけた時だった。バーン!と扉が開いた。
「オイーーーッス!エイデンさまだぞー!来てやったぞー!」
エイデンが騎士団の制服のまま登場した。仕事が終わってから慌てて、来たようだ。……そこまで来たかったのかしら?
「誰も呼んでないのだ」
「手土産持ってきたのだ?」
双子ちゃんの手厳しい出迎えにも、めげず、もちろんだ!とエイデンは一応気を使ったと良い、王都の有名店のチーズケーキやシュークリームなどを出した。
「意外と甘党なのね」
もさっとした人の割に……とニナが言う。エイデンがうわあああ!と声をあげた。
「えっ!?えええええっ?な、なんでこんなところにニナ様が!?」
エイデンの顔が真っ赤になった。ニナはそれを無視して、ジーニーとリヴィオにドヤ顔で言い放つ。
「見なさいよっ!これが普通の男の反応なのよ!?」
そーかよとリヴィオは言い、ジーニーは苦笑している。
「ニナ様に在学中、話しかけたくても話しかけることができなかった青春!今こそっ!」
一人で燃えているエイデン。
「友達からお願いしまーーーーすっ!」
『うるさいのだ!』
トトとテテに怒られるエイデンを見ず、リヴィオとジーニーから視線を外さないニナ。
「おい、この肉うまくないか?カシューの牧場で育てたやつなんだが、餌に工夫してるらしい」
「へー!確かに普通の肉より、プリッとした感じがするよ」
悪魔でもマイペースなリヴィオとジーニーは二人で食べて飲んで、語っている。プルプル震えるニナ。絶対わかっててしてるわよね!?と、私は思いつつ、フルフルと怒りを抑えているニナの肩をポンッと叩く。
「今日のお風呂はゆず風呂よ……暖まってくるといいわよ」
セイラー!とニナに泣き声をあげられつつ、抱きつかれる。
「こんな性格悪いリヴィオとジーニーは置いといて、二人でお風呂に行きましょう!」
えええ!ニナさん行っちゃうんですかーーーーっ!とエイデンが叫ぶのだった。
………今年の年越しも賑やかに過ぎてゆく。
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