転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ

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トトとテテ③

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「知識の塔で発明をするのも良いのだー」
 
「それとも工房を開くのも良いのだ!」

 セイラはどうするのだ?と卒業間近になり、そう聞いた。

「えっ?……私は……私はどうなるのかしらね……」

 そうボンヤリとした感じで答えて、再び本に目を落としていた。

 セイラはどうしたいのだ?と問うことは止めた。家に帰れないのか帰らないのか、休暇のほとんどを学園で過ごし、手紙やプレゼントもあまり見たことがない。

 なにか事情はあるにしろ、セイラが話さないことを聞くことは正しくない気がしたのだ。また同情もしかりなのだ。

 そしてセイラは卒業間近に家に帰り、それ以来学園にくることはなかった。

「帰ってこないようだな……」 

「見に行きたいところだが、僕たちもそんな余裕はないね」

 リヴィオは騎士団に合格し、卒業を首を長くして待たれていたジーニーは学園長になる。

「我らも行きたいのだ………でも新しい工房を作ってしまったのだ」

「セイラに手紙を出してみるのだ!」

 皆が忙しく、新しい道へそれぞれ進んでいく。幼い頃からすごしてきた仲間と離れるのは少し寂しさがあったのだ。

「うわーっはっはっ!リヴィオー!また一緒だなあ!負けねーぞおおお!」

 エイデンがうるさい。離れても寂しくないやつはいる。プイッとリヴィオは無言で、相手をせずに去っていく。セイラがいなくなってから元気がないのだ。

 新しい工房を開いたものの、お客さんときたら……。

 馬車の車輪が外れたから直してくれーとかランプの照明の付きが悪いから見にきてくれとか……。

「違うのだっ!ここは新しい発明をする場所なのだーっ!」

「面白い発明の依頼を持ってくるのだあああ!」

 儲からないのだ。肉の無いスープに硬いパンを噛じる。

「発明というものを理解していないのだー」

「このままでは飢えて、干からびてしまうのだ」

 ……かと言って、フォスター家の援助を受けるというのは悔しいのだ。王宮魔道士にならなかったし、自分達の力だけで、発明を続けていきたいのだ。

 うーんと二人で腕組みして考えたけれど良い案は浮かばず、行き詰まった時だった。セイラから『作って欲しい物があるの』と、連絡があったのは!

 それも面白そうな発明品ばかりを言う!我らは道具をカバンに押し込み、ナシュレへ飛んでいった。

 楽しいこと、面白いこと、ワクワクすることが待っている!そう直感した。

 我らがセイラに頼まれて作ったものは大ヒットした。

「今年の夏は特に暑かったけど、このなんでも冷やす箱のおかげで、生き延びたよー!」

 ……と、百歳まで生きれそうな元気なお婆さんが声をかけてきてくれたのだ。

「うちの六つ子ちゃん達の洗濯物、いつも時間がかかっていて、すっごく大変だったの!洗う箱のおかげで、あっという間よ!感謝よ!」

 六つ子のお母さんは目を潤ませていた。

「冬に薪をとってくるの、ボクの仕事だったんだ。凍ってる薪を割るのってすごくすごく大変なんだ……でもこの温かい風がでる箱のおかげで、冬に手から血が出なくなったよ!ありがとう!」

 少年がそう言って走ってゆく。

「発明品でこんな感謝をされるなんてすごいのだ」

「わからないけど、涙が出るのだ。人の幸せのためになるものを作るってこういうことなのだ……」

 我らはあまり泣くことがない。泣く理由もなかったからなのだ。でも今、目から涙が溢れてくる。

 人を傷つける物ではなく、これからも皆が幸せになるものを作りたいのだ。

 ナシュレに『フォスター工房』の看板を掲げた。ここで物作りをしていくのだ!
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