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後宮の夜に幽霊は現れる①
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幽霊事件をご存知ですか?そうアナベルに尋ねられた。
「幽霊??」
私は読んでいた本から顔を上げた。
「最近、夜に白い服を着た女の人の影を見るメイドが増えてるんです」
「な、なにそれ!?」
怖い話なの!?
「声をかけても、スーッと行ってしまい、追いかけると、そこには影も形もないらしいです」
「他の場所では出ないの?」
「後宮のみらしいです」
「怖いわね……」
ちょっと探ってみようかしら?好奇心から、ソファに横になり、怠惰に過ごしていた体をシャキッと起こした。その姿にアナベルがやっと起きてくれましたねと呟く。
「ゴロゴロ怠惰でも良いじゃなーい。最近忙しかったんだもの」
「お嬢様の場合、怠惰に過ごされているのか、策を立てているのか、わかりにくいんですよ」
何もしていないように見えて、していることがあるとアナベルは言いたいらしい。
「敵を欺くにはまず味方からでしょ」
「少しは話してくださいよっ!こっちの心臓が持ちません!」
アナベルは恋愛中のはずなのに、私へのお小言は、まったく変わらないわ。はいはいと私は適当に返事をして、後宮の中を歩く。
思いのほか後宮は広い。もともと外交で他国の夫人達を招いてお茶会や夜会を開いていたのだから、王宮なみの部屋がある。
そういえば、ウィルは後宮の廃止をするとベラドナ様に言っていたらしいけど……確かに経費削減には良いとは思う。
暗闇に魔法の明かりを灯したランプを手に歩いて行く。
「リアーン」
『きゃああああ!』
後宮の廊下に響く、私とアナベルの声。
「なんで悲鳴………?」
ぬっと現れたのはウィルだった。なんだか不服そうな顔をしていた。
「な、なに……!?ウィルだったの!?」
「そんなに驚かせたかな?部屋に行ったら、リアンがいなくて、廊下に出て探していたら灯りが見えたから来たんだけど、夜はちゃんと部屋で待っていてくれよ……いないとびっくりする」
「陛下、申し訳有りません!つい、お嬢様に後宮の噂を話してしまったからなのです」
アナベルが慌てて謝る。
「後宮の噂?」
「ウィルも知りたいでしょ?」
私の問いにウィルはイヤーな顔をした。
「そのリアンの知りたいでしょ?っていう好奇心、探究心に巻き込まれて、過去に何度、危険な目にあったかわからないんだが?」
「昔の話は置いといて、どうやら幽霊事件らしいわ!夜な夜な白い服を着た女の人の幽霊が歩いていて、何人もの゙メイドが見たらしいの!一緒に調べない!?」
「置いとくなよ!?自覚しろよ!?調べないし危ないだろう部屋に帰ろう」
スタスタと歩いていく。……やけに足が速い。
「フフフッ。もしかしてウィル、幽霊嫌いなんでしょー?」
「えっ!?」
「隠しても無駄よ!その足の速さが物語ってるわ」
ウィルは上を向いて、ちょっと考えている。そして、ポンッと手を叩いた。
「あ、うん。怖いな。だから部屋に帰ろう」
今の間……なんなのよ?と私とアナベルは顔を見合わせた。
ウィルは強力な助っ人になりそうだったのに……と私がブツブツ言いつつ部屋へ帰る道を歩くと、アナベルが陛下を助っ人呼ばわりするのはお止めくださいっ!と言うのだった。
「幽霊??」
私は読んでいた本から顔を上げた。
「最近、夜に白い服を着た女の人の影を見るメイドが増えてるんです」
「な、なにそれ!?」
怖い話なの!?
「声をかけても、スーッと行ってしまい、追いかけると、そこには影も形もないらしいです」
「他の場所では出ないの?」
「後宮のみらしいです」
「怖いわね……」
ちょっと探ってみようかしら?好奇心から、ソファに横になり、怠惰に過ごしていた体をシャキッと起こした。その姿にアナベルがやっと起きてくれましたねと呟く。
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何もしていないように見えて、していることがあるとアナベルは言いたいらしい。
「敵を欺くにはまず味方からでしょ」
「少しは話してくださいよっ!こっちの心臓が持ちません!」
アナベルは恋愛中のはずなのに、私へのお小言は、まったく変わらないわ。はいはいと私は適当に返事をして、後宮の中を歩く。
思いのほか後宮は広い。もともと外交で他国の夫人達を招いてお茶会や夜会を開いていたのだから、王宮なみの部屋がある。
そういえば、ウィルは後宮の廃止をするとベラドナ様に言っていたらしいけど……確かに経費削減には良いとは思う。
暗闇に魔法の明かりを灯したランプを手に歩いて行く。
「リアーン」
『きゃああああ!』
後宮の廊下に響く、私とアナベルの声。
「なんで悲鳴………?」
ぬっと現れたのはウィルだった。なんだか不服そうな顔をしていた。
「な、なに……!?ウィルだったの!?」
「そんなに驚かせたかな?部屋に行ったら、リアンがいなくて、廊下に出て探していたら灯りが見えたから来たんだけど、夜はちゃんと部屋で待っていてくれよ……いないとびっくりする」
「陛下、申し訳有りません!つい、お嬢様に後宮の噂を話してしまったからなのです」
アナベルが慌てて謝る。
「後宮の噂?」
「ウィルも知りたいでしょ?」
私の問いにウィルはイヤーな顔をした。
「そのリアンの知りたいでしょ?っていう好奇心、探究心に巻き込まれて、過去に何度、危険な目にあったかわからないんだが?」
「昔の話は置いといて、どうやら幽霊事件らしいわ!夜な夜な白い服を着た女の人の幽霊が歩いていて、何人もの゙メイドが見たらしいの!一緒に調べない!?」
「置いとくなよ!?自覚しろよ!?調べないし危ないだろう部屋に帰ろう」
スタスタと歩いていく。……やけに足が速い。
「フフフッ。もしかしてウィル、幽霊嫌いなんでしょー?」
「えっ!?」
「隠しても無駄よ!その足の速さが物語ってるわ」
ウィルは上を向いて、ちょっと考えている。そして、ポンッと手を叩いた。
「あ、うん。怖いな。だから部屋に帰ろう」
今の間……なんなのよ?と私とアナベルは顔を見合わせた。
ウィルは強力な助っ人になりそうだったのに……と私がブツブツ言いつつ部屋へ帰る道を歩くと、アナベルが陛下を助っ人呼ばわりするのはお止めくださいっ!と言うのだった。
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