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(番外編) 将軍と優しさ
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どっち派につく?どっちが優勢だ?そう騎士団で裏で囁かれていたことに気づいたのは、あの方が、だいぶ追い詰められてからだった。
「おまえら、何の話してんだ?」
「ガ、ガルシア将軍っ!」
「なんでもありません!」
騎士達が逃げていこうとするのを、待てっ!と止めた。
「聞かれたことに対してきちんと答えていけ!背中をみせて逃げるとは、それでも騎士か!?」
俺の厳しい声に立ち止まり、騎士たちがビシッと直立不動する。
「あああ、あのっ……ウィルバート様とエキドナ公爵のどちらが王になるのか、今、城内では賭けの対象になって……ぐはっ!」
バキッと俺に殴られて吹っ飛ぶ。
「ふざけるな!ウィルバート様に決まっていることだ!だれだ?そんな噂を流すやつは?」
恐怖の眼差しで俺を見る騎士たち。こいつら、ウィルバート様を守る立場でありながら、面白半分で賭けの話をするとはな。いい度胸じゃねーか!ポキポキと指を鳴らす。
「ひいいいい!ガルシア将軍っ!」
「怒らないでくださいっ。皆が言っていることですから!」
皆だと?いつからだ?俺は嫌な予感がした。王城内でこんな噂を流し、まるでウィルバート様以外の者が玉座につく可能性を作ろうとしていないだろうか?
ちっ!と俺は舌打ちした。どこのどいつが裏で情報操作しているか一目瞭然だな。蛇のような男の顔が思い浮かんだ。
エキドナ公爵に違いない!あいつは昔から玉座を欲していた。度々、陛下に不敬な態度をとることもあったが、優しい陛下は放っておけと言うだけだった。
それが今になって、まずい状況を生み出している。
お母様を亡くされ、最近陛下も体調が思わしくないこの状況に、幼いウィルバート様は塞ぎ込み、こっそり隠れて泣いていることが多いという。
ウィルバート殿下は優しすぎるのだ。エキドナ公爵は狡猾で恐ろしいところがある。対峙するときが必ず来るだろう。そのときにウィルバート様は勝てるか?最悪、お母様と同じようになっても不思議ではないぞ。
なぜここまで、俺がウィルバート殿下に忠誠を誓うのかといえば、王子だからという理由だけではない。
ある日、小鳥が窓に当たって気絶しているのをウィルバート様はみつけた。優しく手で包み込み、そっと横たえたかと思うと、水を持ってきて鳥のそばへ置いて少し離れた場所から見守っていた。
しばらくして鳥は目を覚ました。そしてよろけながらも水を飲むと元気になり飛びだった。その瞬間のウィルバート様の笑顔は今まで見たことのないくらい無邪気で明るかった。
……そのくらい、王宮では自分を押し殺しているのだとわかった。同情なのかわからないが、それからウィルバート様が気になって仕方なかった。
人は自分の運命を呪いながらでも役目を果たして生きていかなきゃならない。たとえ子どもであろうとだ。
俺は心に決めた。例え厳しくし、嫌われようとも!ウィルバート様を立派な王にしてみせると!そして自らの身は自分で守れるように鍛え上げてやろう!
程なくして、陛下も亡くなった。そしてウィルバート様は玉座につくことを決心された。玉座につくとこでしか生き抜けなかっただろう。もしエキドナ公爵が王になったとしたら、その後ウィルバート様は、用済みだと処分されていることは間違いない。
玉座についたせいで、ウィルバート様の優しさの灯火が消えそうになった。無邪気さや明るさと引き換えに命だけは助かった。
それにだれも優しく頼りない王など望んでいなかった。この俺とて、ウィルバート様がこの王宮で生き抜きたいなら、優しさよりも強さが必要だろうと思った。
だから倒れても『立ち上がれ!かかってこい!』と何度も煽った。
国を背負い、常にピリッとした空気、冷たさを含む雰囲気をまとい『獅子王』と呼ばれる強い王になった。鳥が飛んだ時に見た笑顔をあれから再び見ることは一度たりともなかった。
「将軍、北の国境の内乱をおさめるのにどのくらいかかる?」
「一ヶ月ほどだな」
「遅い。どんな手を使っても良い。2週間で片付けてこい。将軍ができないというなら、オレが行く」
「陛下は……まだ即位したばかりだからな。やることがあろう。俺が2週間でしてやろうじゃないか!」
出来ないとは言えなかった。2週間。それがウィルバート様が計算し、この戦で出せるだけの兵糧と金だったのだろう。
優しさが失われてゆく。心が深い闇に染まっていく。
ずっと笑顔をみていないと気づく。だけどどうしようもなかった。もしかして、ウィルバート様はこの国をいつか沈めるかもしれない。自分とともに道連れにしてもおかしくないくらい……戦の仕方も荒々しく、ときに冷酷さを感じられるものがあった。
怖いな……でもウィルバートがそうしたいというならば、俺は最期まで見届け、共に滅びようと半ば覚悟していた。
「ガルシア将軍!ウィルバート様の王妃候補にどうやら、気に入られた女性がいたようです!」
遠征先でそんな話を聞かされた。
王妃……候補!?そういえばこの内乱を抑えるために遠征に行く前に宰相がどうしてもウィルバート様の王妃を探したい!と意気込んでいたような?
そして帰ってきたら、アッサリ結婚していた。
……俺のいない間とかひどくないか!?せめて相談とかしないのかよ!
「陛下、なぜだっ!?」
除け者にされたような。そんな悔しい気持ちを抱えて陛下に会うと……。
ウィルバート様の顔を久しぶりにみて驚いた。わ、笑ってる!?嘘だろうっ!?俺は目を疑った。
「早く結婚しないと逃げられてしまうからな」
ハハッと笑ってそう言う。
相談くらいしてくれてもいいじゃないか!?そう思ってイライラした。どんな王妃だ!?金とか身分目当てじゃないだろうな!?そのあたり、しっかり調べよう!そう決心した。
その女は図書室によくいると言っていたが、確かによくいた。クロードとまさか影で逢引とかしてないだろうな!?そのあたりも調べておこう。
「もう前の本は読んでしまったのですか?」
「ええ。終わったわ。新刊の発売日でしょ?私が本屋まで取りに行きましょうか!?」
「やめてくださいっ!陛下に怒られますっ!」
ええーっ!と不満そうな女性を本棚の影から見ていた。
なんだ?確かに美人ではある!だが、普通の女性じゃないか?まるっきり普通だ。平凡すぎるし、まだ少女のようなあどけなさも残っている。
どこがいいんだ……?
まるでストーカーのように潜んでは、ウィルバート様を変えたという王妃をしばらく観察していた。
またある日のことだった。中庭の庭園で声がした。
「リアン、リアーン!」
陛下が親しげに彼女の名を呼んでいる!?なんだって!?そんなにウィルバート様の心を開いているのかっ!?どうやって陛下の心を掴んだ!?
まさか悪女か!?たぶらかしたかっ!?女の色気とやらで……ん??
「なによ……今、すごーくいい感じにうたた寝してたのに、邪魔したわね?」
「えっ!?いや!?」
とまどうウィルバート様。
「怠惰に過ごすってサイコーなのよ。どう?一緒に怠惰にすごさない?」
た、怠惰だと?
そんなものに『獅子王』がするわけがないだろう!叱られてしまえ!
「まあ、いいか。少しだけなら」
「私のお気に入りのふかふかクッションを特別にウィルバートに貸してあげるわ。おやすみなさい」
俺は信じられなかった……目の前の光景が。ウィルバート様は大人しくソファに横になった。そして頭は王妃様の膝の上。
穏やかで幸せな顔をしていた。
この王妃はウィルバート様に必要なんだとわかった。よし。俺が悪者になってもいい。皆に王妃様の良さをアピールしようじゃないか!
そうして、俺はリアン様と対決することとなり、姑息な手を使われた……それはまた別のエピソードとなる。
俺は人知れず微笑む。ちゃんとウィルバート様の中に優しさはあり、子どもの頃の姿も残っていた。それがなによりも嬉しかった。
無論、口に出して言うことは一生ないだろうがな!
「おまえら、何の話してんだ?」
「ガ、ガルシア将軍っ!」
「なんでもありません!」
騎士達が逃げていこうとするのを、待てっ!と止めた。
「聞かれたことに対してきちんと答えていけ!背中をみせて逃げるとは、それでも騎士か!?」
俺の厳しい声に立ち止まり、騎士たちがビシッと直立不動する。
「あああ、あのっ……ウィルバート様とエキドナ公爵のどちらが王になるのか、今、城内では賭けの対象になって……ぐはっ!」
バキッと俺に殴られて吹っ飛ぶ。
「ふざけるな!ウィルバート様に決まっていることだ!だれだ?そんな噂を流すやつは?」
恐怖の眼差しで俺を見る騎士たち。こいつら、ウィルバート様を守る立場でありながら、面白半分で賭けの話をするとはな。いい度胸じゃねーか!ポキポキと指を鳴らす。
「ひいいいい!ガルシア将軍っ!」
「怒らないでくださいっ。皆が言っていることですから!」
皆だと?いつからだ?俺は嫌な予感がした。王城内でこんな噂を流し、まるでウィルバート様以外の者が玉座につく可能性を作ろうとしていないだろうか?
ちっ!と俺は舌打ちした。どこのどいつが裏で情報操作しているか一目瞭然だな。蛇のような男の顔が思い浮かんだ。
エキドナ公爵に違いない!あいつは昔から玉座を欲していた。度々、陛下に不敬な態度をとることもあったが、優しい陛下は放っておけと言うだけだった。
それが今になって、まずい状況を生み出している。
お母様を亡くされ、最近陛下も体調が思わしくないこの状況に、幼いウィルバート様は塞ぎ込み、こっそり隠れて泣いていることが多いという。
ウィルバート殿下は優しすぎるのだ。エキドナ公爵は狡猾で恐ろしいところがある。対峙するときが必ず来るだろう。そのときにウィルバート様は勝てるか?最悪、お母様と同じようになっても不思議ではないぞ。
なぜここまで、俺がウィルバート殿下に忠誠を誓うのかといえば、王子だからという理由だけではない。
ある日、小鳥が窓に当たって気絶しているのをウィルバート様はみつけた。優しく手で包み込み、そっと横たえたかと思うと、水を持ってきて鳥のそばへ置いて少し離れた場所から見守っていた。
しばらくして鳥は目を覚ました。そしてよろけながらも水を飲むと元気になり飛びだった。その瞬間のウィルバート様の笑顔は今まで見たことのないくらい無邪気で明るかった。
……そのくらい、王宮では自分を押し殺しているのだとわかった。同情なのかわからないが、それからウィルバート様が気になって仕方なかった。
人は自分の運命を呪いながらでも役目を果たして生きていかなきゃならない。たとえ子どもであろうとだ。
俺は心に決めた。例え厳しくし、嫌われようとも!ウィルバート様を立派な王にしてみせると!そして自らの身は自分で守れるように鍛え上げてやろう!
程なくして、陛下も亡くなった。そしてウィルバート様は玉座につくことを決心された。玉座につくとこでしか生き抜けなかっただろう。もしエキドナ公爵が王になったとしたら、その後ウィルバート様は、用済みだと処分されていることは間違いない。
玉座についたせいで、ウィルバート様の優しさの灯火が消えそうになった。無邪気さや明るさと引き換えに命だけは助かった。
それにだれも優しく頼りない王など望んでいなかった。この俺とて、ウィルバート様がこの王宮で生き抜きたいなら、優しさよりも強さが必要だろうと思った。
だから倒れても『立ち上がれ!かかってこい!』と何度も煽った。
国を背負い、常にピリッとした空気、冷たさを含む雰囲気をまとい『獅子王』と呼ばれる強い王になった。鳥が飛んだ時に見た笑顔をあれから再び見ることは一度たりともなかった。
「将軍、北の国境の内乱をおさめるのにどのくらいかかる?」
「一ヶ月ほどだな」
「遅い。どんな手を使っても良い。2週間で片付けてこい。将軍ができないというなら、オレが行く」
「陛下は……まだ即位したばかりだからな。やることがあろう。俺が2週間でしてやろうじゃないか!」
出来ないとは言えなかった。2週間。それがウィルバート様が計算し、この戦で出せるだけの兵糧と金だったのだろう。
優しさが失われてゆく。心が深い闇に染まっていく。
ずっと笑顔をみていないと気づく。だけどどうしようもなかった。もしかして、ウィルバート様はこの国をいつか沈めるかもしれない。自分とともに道連れにしてもおかしくないくらい……戦の仕方も荒々しく、ときに冷酷さを感じられるものがあった。
怖いな……でもウィルバートがそうしたいというならば、俺は最期まで見届け、共に滅びようと半ば覚悟していた。
「ガルシア将軍!ウィルバート様の王妃候補にどうやら、気に入られた女性がいたようです!」
遠征先でそんな話を聞かされた。
王妃……候補!?そういえばこの内乱を抑えるために遠征に行く前に宰相がどうしてもウィルバート様の王妃を探したい!と意気込んでいたような?
そして帰ってきたら、アッサリ結婚していた。
……俺のいない間とかひどくないか!?せめて相談とかしないのかよ!
「陛下、なぜだっ!?」
除け者にされたような。そんな悔しい気持ちを抱えて陛下に会うと……。
ウィルバート様の顔を久しぶりにみて驚いた。わ、笑ってる!?嘘だろうっ!?俺は目を疑った。
「早く結婚しないと逃げられてしまうからな」
ハハッと笑ってそう言う。
相談くらいしてくれてもいいじゃないか!?そう思ってイライラした。どんな王妃だ!?金とか身分目当てじゃないだろうな!?そのあたり、しっかり調べよう!そう決心した。
その女は図書室によくいると言っていたが、確かによくいた。クロードとまさか影で逢引とかしてないだろうな!?そのあたりも調べておこう。
「もう前の本は読んでしまったのですか?」
「ええ。終わったわ。新刊の発売日でしょ?私が本屋まで取りに行きましょうか!?」
「やめてくださいっ!陛下に怒られますっ!」
ええーっ!と不満そうな女性を本棚の影から見ていた。
なんだ?確かに美人ではある!だが、普通の女性じゃないか?まるっきり普通だ。平凡すぎるし、まだ少女のようなあどけなさも残っている。
どこがいいんだ……?
まるでストーカーのように潜んでは、ウィルバート様を変えたという王妃をしばらく観察していた。
またある日のことだった。中庭の庭園で声がした。
「リアン、リアーン!」
陛下が親しげに彼女の名を呼んでいる!?なんだって!?そんなにウィルバート様の心を開いているのかっ!?どうやって陛下の心を掴んだ!?
まさか悪女か!?たぶらかしたかっ!?女の色気とやらで……ん??
「なによ……今、すごーくいい感じにうたた寝してたのに、邪魔したわね?」
「えっ!?いや!?」
とまどうウィルバート様。
「怠惰に過ごすってサイコーなのよ。どう?一緒に怠惰にすごさない?」
た、怠惰だと?
そんなものに『獅子王』がするわけがないだろう!叱られてしまえ!
「まあ、いいか。少しだけなら」
「私のお気に入りのふかふかクッションを特別にウィルバートに貸してあげるわ。おやすみなさい」
俺は信じられなかった……目の前の光景が。ウィルバート様は大人しくソファに横になった。そして頭は王妃様の膝の上。
穏やかで幸せな顔をしていた。
この王妃はウィルバート様に必要なんだとわかった。よし。俺が悪者になってもいい。皆に王妃様の良さをアピールしようじゃないか!
そうして、俺はリアン様と対決することとなり、姑息な手を使われた……それはまた別のエピソードとなる。
俺は人知れず微笑む。ちゃんとウィルバート様の中に優しさはあり、子どもの頃の姿も残っていた。それがなによりも嬉しかった。
無論、口に出して言うことは一生ないだろうがな!
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