[完結] 伴侶は自分で選びます。

キャロル

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13 心の傷

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王城に留まり早3ヶ月、もう3ヶ月、まだ3ヶ月、どれも正しいと思う。

母の子が生まれるまで後3ヶ月…お陰様ですっかり馴染んだ3人で過ごす部屋に……慣れてしまった。

慣れって怖いですね。

夜、3人距離をとりベットで寝付いたはずが、ほぼ?前後にしがみつかれている。

私は抱き枕か!と、何度も苦言を呈したが、スルーされる。確実に2人の都合の悪い事限定でのスルースキルが段ちに上がってるのは気のせいじゃない!

こんな2人に最近すっかり絆され?慣れたくはないが、……実は慣れてしまったのは内緒です。



ここに滞在する原因となった、母の治療は順調で、今ではしっかりとした胎動を感じている。お腹の子に私の魔力を栄養としていたが、すっかり安定して私の治療も今日で終わった。

「アルスト様、順調に成長してます。それに僅かですが意思の疎通ができたので、危険だから、母体から魔力を吸収しないように伝えてあります。もう、私の魔力がなくても大丈夫になりましたよ。後は誕生を待つだけです。」

「リリアンナ嬢、感謝する。君がいなけれ母胎共に危険な状態だった。本当にありがとう。」

愛おしさ溢れる眼差しで膨らんだお腹を優しく撫でながら、母に溢れる愛を注ぐアルスト様と同じように愛に溢れる眼差しでアルスト様を見つめる母を見ると……こころが軋む


もう母の事を以前の様には思って嫌悪いない、が、王弟殿下の愛を受け幸せそうな母を見てると段々と寂しさが募る事に気がついた。


私は母に怖くて聞けなかったことがある。

妊娠中の母に精神的負担を与えたくない、……と言うのは母からの答えを聞くのが怖くて逃げるための口実でしかないがここに来て愛し合っている2人を見ていると……思わずにはいられない。

私は母にとって私は“忌むべき存在“だったのではないか?…と。


子供の頃は知らなかった。父に愛妾がいたことを。

母と父と父の愛妾の関係性が、その頃の母の心情が……、これはきっと同じ立場、同じ経験をしないとわからないと思う。

私は父の愛を感じていた。実際父は私を愛してくれていたと思う、では、母は?私を愛してくれていたんだろうか?

母は父の愛は愛妾に向いていて、自分は愛されていなかったと言っていたが、父が居ない今は真実がどうだったかは判らない。

私の容姿は父と母の中間だけど私の色は父と同じ。

母は私を……。

私は愛のない夫婦の間に生まれたんだろうか?

愛に溢れる2人を見ていると、どうしても考えてしまう…今更、聞いてもどうしようもないのに、むしろ愛してなかったと言われたら傷つくのに、……誰かを愛することができもしないくせに、愛されたいなんて、……。


__違う__

私は失うことが怖いんだ。

“愛している人の愛を失うことが怖い“

“信じていた愛が偽物だと知ることが怖い“

“傷つくことが怖い“

捨てられ忘れられることが怖い“

最初から何も期待しなければいい傷つくことも、失うこともない。

これ以上はここにいるべきではない、帰ろう東国へあの2人をこんな私から解放したい、このまま居心地の良い2人の元に居たら……きっと…私は…欲してしまうから_。


私は急いで2人に手紙を書き従者に彼等に渡して欲しいと頼み、隠匿魔法で身を隠し東国に帰った逃げた

また、逃げてしまった。










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