[完結] 伴侶は自分で選びます。

キャロル

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28 選択肢は誰に?

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……兄との生活もある意味順調で兄が成長するまで世間から隠さなければという思いは杞憂に終わった。

なぜなら、私以上にチートな能力を持つ兄は早々に世間から自身を隠す魔法を展開させ体がほぼ成人に達した頃合いを見て姿を世間に認識できるように驚くほど自然に周囲に溶け込んだ。

成長は当初の見積もりより時間がかかり5年ほど時間を要した。となると、…今年26歳の私の3歳年上だから…29歳?
見た目は私も兄も20歳そこそこにしか見えず、この際年齢はどうでもいいか!

そう、いいんですよこの際。で!良くない事が予想外の兄の出鱈目とも言える能力?スキル?とにかくヤバイ!防御に特化している事は知ってはいるが、剣技もお父様直々の訓練によりあっという間に私より強くなってしまい、魔法を駆使されると兎に角全ての技をするりと交わされ、ほぼ?全く当たらない!

もはや無敵とも言える。

唯一魔道具に関しては負けてない…はず、…しかし、…薬草に興味を持ち独学で勉強して開発した治癒ポーションが詳細な症状に分類され、低価格で平民でも気軽に手に入るようになり今ではこの店の人気商品となって他国からも多くの注文が入る超有名店となりました。

人気が出たのはいいのですが、ここで1つ面倒な事が……兄妹揃ってチート、おまけに独身、世間的には優良物件なわけですよ、特に兄へのラブコールは凄まじい。なんと言っても実父似の美貌に能力も最上級そんな兄には他国の姫に高位貴族、次から次とお父様(ダンテ侯爵家)の所に釣書が届く、最初は丁寧に断っていたらしいが、最近では中も見ずに灰と化しているらしい。(お母様談)


「お兄様、先日お母様がお茶会で、お兄様から付与してもらった固有結界のおかげで無事だったそうですよ」

「ああ、元々私が原因だからね、あれで二度とお母様には手を出さないと思うよ、でも警戒は怠らないよ。お母様とお父様には傷1つ付けさせやしないよ。低俗な輩は考えることが浅はかだからね、ほんとは存在(国)ごと消してやってもいいんだけどさ!お母様が心痛めるのはやぶさかではないしね。」

……最近知ったが、兄はかなり腹黒い、それと家族や仲間と認識した人以外には一切興味がない分、冷酷な対応をする、今回もかなりえげつない魔法だった。悪意や不埒な心でお母様に触れた瞬間に拘束され、行おうとした悪事をペラペラ白状し依頼主や黒幕がいた場合その情報も多くの人の前で強制的に白状してしまう。
その時名前が挙がったものは即座に魔法で強制召喚され同じく自白してしまい有罪となり地下牢にぶち込まれる。

こんなとんでもない魔法を簡単に付与する兄の鬼畜チートっぷりは自国の人間は知っているので、誰もお母様には手を出さないが馬鹿な他国の人間はお母様を引き合いに兄を手に入れようと仕掛けてきては返り討ちに遭っている。

「…そう、ですね……(ほんとに滅ぼせるからどうか兄を怒らせないで欲しい)……いっその事ことルーナちゃんと大体的に婚約発表したらどうです?まだ5歳ですが、番でもあるんですから婚約していても……多分大丈夫だと思いますが、」

「……、せめて10歳いや、15歳、あと10年は…ちょっと、私がロリコンに見えてしまうだろ?」

「(確かに)…では10歳?でもいいかと、竜族は成長早いですし、多分10歳でも人族の15歳くらいには見えると思いますよ…それに会いに行った時は片時も離さず溺愛してるじゃないですか~今更な感じしますけど~」

「……そりゃ、…ルーナは可愛いからね!それよりリリィはどうするんだ?アイルスは15歳になったろ?もう成人だよ、最近あの2人が不憫でしょうがない、こんな拗らせた女が番だなんて、…年に2回しか顔出さないし、アイルスは素直に愛情表現できてるけど、グラシオス殿下は…見ているこっちが胸が痛くなるよ。」

「……、わかってますよ…素直じゃないって…私だって……」

「わかってないだろ?逃げてばかりで歩み寄ろうとしていないじゃないか!彼らはあんなに一途にリリィを思ってくれているのに、いつまでも待っていてくれるなんて思うなよ!あの2人が他の女性と結婚してもいいのか?」

「え?他の人?竜族は番以外とは…」

「無理じゃないよ!番以外とでも婚姻し子も作れるようになるよ。私がそれを可能にする薬を開発したからね。リリィがあの2人と一緒になる気がないのなら、番の縁を今直ぐ断ち切ってあげるけど、どうする?それともあの2人に選択させようかな?丁度明日ルーナに会いにレイ王国に行くから、あの2人に薬のこと話してくるよ。…リリィ、あれからもう5年だよ、私ならとっくに気持ち切り替えて新しい恋をするよ。」

縁が切れる?……そうか…とうとう薬ができたのね…私のような女より彼らには……他の…人と…人と……、

兄と話した後どうやって部屋に戻ったのか、分からないまま、一睡もできず朝を迎えていた。

身支度をしてリビングの扉を開けたら、兄は既にレイ王国に行ったらしく3日後に帰ると手紙が置いてあった。


そうか、もしかしたら、兄が帰る頃は……もう……私は…あの2人の番ではないかもしれない…

…これでいい…これでいいんだ…と自分に何度も言い聞かせながらも止めどなく溢れる涙を私は止める事ができなかった。

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