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27 言葉の重み
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(アルスト(王弟殿下)視点)
去り際のリリィ嬢の様子とグラシオスを頼むと言った時の表情が心に残る。見送りに来なかったグラシオス、2人の中で余程の事があったのだろう。
私から見ても明らかに想いあっているように見えたし、マリアもリリィの変化に気がついていたから間違いはないんだが、一時的に離れるとはいえ今回は今までとは違う時々会いに来ると言っていたし東国の国境をでれば通信で話すことができる。
しかもリリィは転移ができるから利用者制限固定魔法陣ですぐ会える、竜族に生まれた久しぶりの姫の緊急時の対応の為我が家の地下に設置してもらったが、そのことはまだマリアと兄である国王しか知らぬことだが、…。
_コンコン_
「グラシオス、少しいいか?」
「…叔父上…」
「…(表情が暗いな)なぜ見送りに来なかった?しばらく会えぬのだぞ、お前らしくない。」
「…私には…そんな資格は…ない…どんな顔してリリィを送り出せと、今でも身を引き裂かれる想いなのに…せめて心が通じていれば想いが伝わっていれば、でも、…今は…」
「何があった?リリィ嬢を救出してこの城に戻った時は明らかにお互いの心が通じているように見えたんだが、違うのか?」
「私もそう思いましたよ…私が半竜化し暴走しかけていた時それを諌めてくれ、その時リリィから口付けしてくれた。あの時は確かに想いが通じていたんだ…リリィも私を思ってくれている、確かにそう感じたんだ。それなのに…」
「私も確かに感じた。今でもそう思っている。出発直前までリリィ嬢は、グラシオスお前が来るのを待っていた。」
「…私はリリィに側にいて欲しいといかないで欲しいと言ったんだ、そしたら、ここは私の居場所じゃないとその意味がわかるか?と、…このままここにいて何すればいい?と聞かれた。が答えられなかった。そして東国には私を必要とする人たちがいるから帰ると。私にもリリィが必要だと言ったら、なぜ必要?と聞かれ、番だからと答えようとしたら、……番だからとか子供を作るためだと言うなら、2度と会わないと言われ、何も言えなかった。私にリリィが必要な理由、ここに残る意味、私にとってリリィは何かと聞かれ、私は何1つ答えられなかったんだ」
「…そうか、答えられなかったのか、お前は良くも悪くも竜族なのだな、だがリリィ嬢の言葉の意味がわからぬなら、この先どんなに想い合っていてもうまくいかないだろう。」
「叔父上はわかると言うのか?リリィの求める答えが、」
そうか、グラシオスは1番肝心なことを伝えてなかったのか竜族であるグラシオスには当然すぎて言葉にする大切さがわからなかったのか…、種族の違いとは言え気がつかなければこれから、長い時を過ごす上で大切なことになる。
グラシオス、気がついて欲しい、竜は一生番のみを愛し求めるが、人は違う番以外を愛する事が出来る。自身が愛を言葉にし相手からも愛を言葉として伝えてもらう事でお互いの愛を確認できる。紋様はただの印にすぎないんだ。
「ああ、わかる。だが、教えることはできない。…1つだけ言えるのはお前は竜族でリリィ嬢は人族だ…番であっても魂で繋がっていても心は…気持ちは?…もう1つ、アイルスに、もしリリィ嬢が同じことを聞いたら、アイルスは迷わずリリィ嬢がいう所の正解、彼女が欲しい言葉を言えると思うよ。」
「……アイルスにはわかる?言える?私と何が違う?想いは…私の方が長く何年も……」
この不器用な甥の悲痛な心の叫びが突き刺さる。意図せず運命のしがらみに翻弄され、出会えた番とも引き裂かれ、また手にしたと思ったらまた溢れ落ち今は虚しさだけが残っているのだろう。
グラシオス、早く気がついて欲しい。
愛は想っているだけでは伝わらないんだ。言葉にしなければ何1つ伝わらないんだ。愛も感謝も謝罪も何1つ言葉にしなければ伝わらないんだ。
伝わらないんだよ……なにひとつ。
去り際のリリィ嬢の様子とグラシオスを頼むと言った時の表情が心に残る。見送りに来なかったグラシオス、2人の中で余程の事があったのだろう。
私から見ても明らかに想いあっているように見えたし、マリアもリリィの変化に気がついていたから間違いはないんだが、一時的に離れるとはいえ今回は今までとは違う時々会いに来ると言っていたし東国の国境をでれば通信で話すことができる。
しかもリリィは転移ができるから利用者制限固定魔法陣ですぐ会える、竜族に生まれた久しぶりの姫の緊急時の対応の為我が家の地下に設置してもらったが、そのことはまだマリアと兄である国王しか知らぬことだが、…。
_コンコン_
「グラシオス、少しいいか?」
「…叔父上…」
「…(表情が暗いな)なぜ見送りに来なかった?しばらく会えぬのだぞ、お前らしくない。」
「…私には…そんな資格は…ない…どんな顔してリリィを送り出せと、今でも身を引き裂かれる想いなのに…せめて心が通じていれば想いが伝わっていれば、でも、…今は…」
「何があった?リリィ嬢を救出してこの城に戻った時は明らかにお互いの心が通じているように見えたんだが、違うのか?」
「私もそう思いましたよ…私が半竜化し暴走しかけていた時それを諌めてくれ、その時リリィから口付けしてくれた。あの時は確かに想いが通じていたんだ…リリィも私を思ってくれている、確かにそう感じたんだ。それなのに…」
「私も確かに感じた。今でもそう思っている。出発直前までリリィ嬢は、グラシオスお前が来るのを待っていた。」
「…私はリリィに側にいて欲しいといかないで欲しいと言ったんだ、そしたら、ここは私の居場所じゃないとその意味がわかるか?と、…このままここにいて何すればいい?と聞かれた。が答えられなかった。そして東国には私を必要とする人たちがいるから帰ると。私にもリリィが必要だと言ったら、なぜ必要?と聞かれ、番だからと答えようとしたら、……番だからとか子供を作るためだと言うなら、2度と会わないと言われ、何も言えなかった。私にリリィが必要な理由、ここに残る意味、私にとってリリィは何かと聞かれ、私は何1つ答えられなかったんだ」
「…そうか、答えられなかったのか、お前は良くも悪くも竜族なのだな、だがリリィ嬢の言葉の意味がわからぬなら、この先どんなに想い合っていてもうまくいかないだろう。」
「叔父上はわかると言うのか?リリィの求める答えが、」
そうか、グラシオスは1番肝心なことを伝えてなかったのか竜族であるグラシオスには当然すぎて言葉にする大切さがわからなかったのか…、種族の違いとは言え気がつかなければこれから、長い時を過ごす上で大切なことになる。
グラシオス、気がついて欲しい、竜は一生番のみを愛し求めるが、人は違う番以外を愛する事が出来る。自身が愛を言葉にし相手からも愛を言葉として伝えてもらう事でお互いの愛を確認できる。紋様はただの印にすぎないんだ。
「ああ、わかる。だが、教えることはできない。…1つだけ言えるのはお前は竜族でリリィ嬢は人族だ…番であっても魂で繋がっていても心は…気持ちは?…もう1つ、アイルスに、もしリリィ嬢が同じことを聞いたら、アイルスは迷わずリリィ嬢がいう所の正解、彼女が欲しい言葉を言えると思うよ。」
「……アイルスにはわかる?言える?私と何が違う?想いは…私の方が長く何年も……」
この不器用な甥の悲痛な心の叫びが突き刺さる。意図せず運命のしがらみに翻弄され、出会えた番とも引き裂かれ、また手にしたと思ったらまた溢れ落ち今は虚しさだけが残っているのだろう。
グラシオス、早く気がついて欲しい。
愛は想っているだけでは伝わらないんだ。言葉にしなければ何1つ伝わらないんだ。愛も感謝も謝罪も何1つ言葉にしなければ伝わらないんだ。
伝わらないんだよ……なにひとつ。
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