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24 そんな話聞いてない
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マリアンヌが兄からダイヤ王国の王と王妃の秘事を聞いてから数日フランはギスランと共に行動し何かをしているようだった。
「お義姉様?お兄様はギスランと一体何をしているのか知っていますか?今日も2人で出かけているようですが、ギスランに聞いても“大丈夫、心配いらないよ“としか言わないんですよ、お兄様といつの間にか交流を持っていたようで……仲が良いのは嬉しいんですけど…」
「ふふふふ、マリアンヌちゃん、ギスランがここ数日フランとばかり行動を共にしているので寂しいんでしょ?」
「そ、そんなこと… ただ、学習教室と職業訓練施設の引き継ぎがほぼ終わったんですけど、…お世話になった街の人達に挨拶に行きたいと思っているんですが…ギスランと…一緒に行こうと約束していたから…その話をしたかったんですけど」
夜遅く帰り朝早くにフランと出かけているギスランと話すどころか顔すら見ていないマリアンヌは正直寂しかったのだが、おそらく自分の為に動いてくれているギスランにたった数日会えないだけで寂しいなどと我が儘言うわけにはいかないと我慢していたが、ついアリスに寂しさを漏らしてしまった。
「私はフランと寝室が一緒だから帰りが遅くても一緒の時間が取れるけど、マリアンヌちゃんはすれ違いの生活なのよね、でも今日で終わりのはずよ!明日はレイン陛下との会談だからそれで全て完了よ!今日は早く帰ってくるわよ。その後は堂々と一緒にいられるわね。たくさん甘えなさい!」
アリスはそう言ってマリアンヌにパチンとウインクした。マリアンヌは“はい“と言いながら頬を赤くしながら嬉しそうな顔をしていた。
__会談当日__
結界魔導具の商談は滞りなく済んでこの後が今回のフランの訪問の真の目的である離縁についての話し合いが始まった。
この場には国王であるレイン、宰相のランバート、フラン、とフランの希望によりギスランが同席している。
隣の部屋にはアリスとマリアンヌを控えさせていた。
本来なら当事者であるマリアンヌも最初から同席するはずだったが、フランは最初は男だけで話を進めたいとマリアンヌとアリスは後で呼ぶと席を外させた。
「さて、レイン陛下、ここは簡潔に進めよう。獣人国に輿入れした日から今日までの事は既に調べてある。理由は言うまでもないだろう?速やかにこちらの書類にサインしていただこう、これは決定事項で否は認めない」
そう言ってレインの前に差し出された2種類の書類。
レインは白い結婚による婚姻白紙の書類に目を通した。これでマリアンヌとは赤の他人となるのだと震えそうになる手を抑え素直にサインした。
そしてもう1つに目を通しペンを持つ手が止まった。
「フラン殿下、…これは…どういう事でしょうか?」
「ん?見たままだが、…どこかわからないところがあリますか?何も難しい事は書かれていないはずですよ?…早くその書類にもサインしてくれませんか、サインがすみ次第マリアンヌをここに呼ぶ事になっているんです、レディを待たせるわけにはいかないでしょ?」
言葉だけ聞けば砕けた気軽な口調だがその言葉には魔力で威圧を込められていて圧倒的な強者の前にブルリとレインは震えた。
(確かに否は認めないと言われ離縁に関しては今更言い訳できないと己の非は認めてはいたが、…しかしこれは…)
「そうですが、しかし、…」
「しかしも何もこの書類に不備はないだろ?双方の家長の承諾は得ているしサインもしてあるし騎士団の離籍届は既に受理されているはずだよ」
なんの問題もないだろ?とさも当たり前のようにいうフランだった。
(確かに昨日付で受理されたと人事に聞いたが、…あれは…ギスランが騎士団を辞めて家督を継ぐと聞いたからで…まさか嫡子であるギスランがダイヤ王国のリード公爵と養子縁組するなど、あり得ないだろ?国王の私が知らないって…、)
「そ、それはギスランが家督を継ぐと言っていたから受理したんだ!だがこれでは…ギスランは嫡子のはずだ!養子縁組などあり得ない!それにこれでは家督を継ぐことはできないではないか!そんな話聞いてないぞ!」
「レイン陛下?…ああ、話してなかったんですね。事後報告になってしまって申し訳ありません。実はギスランは子供のいないリード公爵の後継として迎えられ次期リード公爵となり私のの右腕として働いてもらうことになっています。要するに次期宰相として迎える予定なんですよ。…それにギスランの家は弟が家督を継ぐ事になっていますので問題ありませんよ」
「で、では、ギスランは…」
「ええ、私と共にダイヤ王国に帰りますマリアンヌと共に当然でしょう」
「く!……」
(やられた、…完全に…まさかギスランがこのような行動を取るとは…自国をあっさり捨て…マリアンヌの元に…側に立つために養子縁組という手段を取るなんて…侮っていた、マリアンヌをいくら好いていてもマリアンヌは王女だ!たかが伯爵家の子息が大国の王女と縁を結ぶには身分差があるからどう足掻いてもギスランはマリアンヌを手に入れる事はできないと思っていたが…リード公爵だと…現宰相じゃないか!……くそ!)
レインは悔しさを隠す事なくギスランを睨みながらもフランに否を申すこともできずとうとう書類にサインをした。
サインが済んだ書類を見てニコリとフランが笑みを浮かべ
「レイン陛下、これで全て完了ですね。これから陛下が良き出会いができるように私からささやかですが選別がわりに番に対する憂いをなくして差し上げましょう。」
「は?」
そう言ってフランはマリアンヌとアリスを呼んだ。
「さあ、マリアンヌこっちにおいで、それからレイン陛下はここに」
マリアンヌをレインを向かい合わせに立たせた。そして……、
「お義姉様?お兄様はギスランと一体何をしているのか知っていますか?今日も2人で出かけているようですが、ギスランに聞いても“大丈夫、心配いらないよ“としか言わないんですよ、お兄様といつの間にか交流を持っていたようで……仲が良いのは嬉しいんですけど…」
「ふふふふ、マリアンヌちゃん、ギスランがここ数日フランとばかり行動を共にしているので寂しいんでしょ?」
「そ、そんなこと… ただ、学習教室と職業訓練施設の引き継ぎがほぼ終わったんですけど、…お世話になった街の人達に挨拶に行きたいと思っているんですが…ギスランと…一緒に行こうと約束していたから…その話をしたかったんですけど」
夜遅く帰り朝早くにフランと出かけているギスランと話すどころか顔すら見ていないマリアンヌは正直寂しかったのだが、おそらく自分の為に動いてくれているギスランにたった数日会えないだけで寂しいなどと我が儘言うわけにはいかないと我慢していたが、ついアリスに寂しさを漏らしてしまった。
「私はフランと寝室が一緒だから帰りが遅くても一緒の時間が取れるけど、マリアンヌちゃんはすれ違いの生活なのよね、でも今日で終わりのはずよ!明日はレイン陛下との会談だからそれで全て完了よ!今日は早く帰ってくるわよ。その後は堂々と一緒にいられるわね。たくさん甘えなさい!」
アリスはそう言ってマリアンヌにパチンとウインクした。マリアンヌは“はい“と言いながら頬を赤くしながら嬉しそうな顔をしていた。
__会談当日__
結界魔導具の商談は滞りなく済んでこの後が今回のフランの訪問の真の目的である離縁についての話し合いが始まった。
この場には国王であるレイン、宰相のランバート、フラン、とフランの希望によりギスランが同席している。
隣の部屋にはアリスとマリアンヌを控えさせていた。
本来なら当事者であるマリアンヌも最初から同席するはずだったが、フランは最初は男だけで話を進めたいとマリアンヌとアリスは後で呼ぶと席を外させた。
「さて、レイン陛下、ここは簡潔に進めよう。獣人国に輿入れした日から今日までの事は既に調べてある。理由は言うまでもないだろう?速やかにこちらの書類にサインしていただこう、これは決定事項で否は認めない」
そう言ってレインの前に差し出された2種類の書類。
レインは白い結婚による婚姻白紙の書類に目を通した。これでマリアンヌとは赤の他人となるのだと震えそうになる手を抑え素直にサインした。
そしてもう1つに目を通しペンを持つ手が止まった。
「フラン殿下、…これは…どういう事でしょうか?」
「ん?見たままだが、…どこかわからないところがあリますか?何も難しい事は書かれていないはずですよ?…早くその書類にもサインしてくれませんか、サインがすみ次第マリアンヌをここに呼ぶ事になっているんです、レディを待たせるわけにはいかないでしょ?」
言葉だけ聞けば砕けた気軽な口調だがその言葉には魔力で威圧を込められていて圧倒的な強者の前にブルリとレインは震えた。
(確かに否は認めないと言われ離縁に関しては今更言い訳できないと己の非は認めてはいたが、…しかしこれは…)
「そうですが、しかし、…」
「しかしも何もこの書類に不備はないだろ?双方の家長の承諾は得ているしサインもしてあるし騎士団の離籍届は既に受理されているはずだよ」
なんの問題もないだろ?とさも当たり前のようにいうフランだった。
(確かに昨日付で受理されたと人事に聞いたが、…あれは…ギスランが騎士団を辞めて家督を継ぐと聞いたからで…まさか嫡子であるギスランがダイヤ王国のリード公爵と養子縁組するなど、あり得ないだろ?国王の私が知らないって…、)
「そ、それはギスランが家督を継ぐと言っていたから受理したんだ!だがこれでは…ギスランは嫡子のはずだ!養子縁組などあり得ない!それにこれでは家督を継ぐことはできないではないか!そんな話聞いてないぞ!」
「レイン陛下?…ああ、話してなかったんですね。事後報告になってしまって申し訳ありません。実はギスランは子供のいないリード公爵の後継として迎えられ次期リード公爵となり私のの右腕として働いてもらうことになっています。要するに次期宰相として迎える予定なんですよ。…それにギスランの家は弟が家督を継ぐ事になっていますので問題ありませんよ」
「で、では、ギスランは…」
「ええ、私と共にダイヤ王国に帰りますマリアンヌと共に当然でしょう」
「く!……」
(やられた、…完全に…まさかギスランがこのような行動を取るとは…自国をあっさり捨て…マリアンヌの元に…側に立つために養子縁組という手段を取るなんて…侮っていた、マリアンヌをいくら好いていてもマリアンヌは王女だ!たかが伯爵家の子息が大国の王女と縁を結ぶには身分差があるからどう足掻いてもギスランはマリアンヌを手に入れる事はできないと思っていたが…リード公爵だと…現宰相じゃないか!……くそ!)
レインは悔しさを隠す事なくギスランを睨みながらもフランに否を申すこともできずとうとう書類にサインをした。
サインが済んだ書類を見てニコリとフランが笑みを浮かべ
「レイン陛下、これで全て完了ですね。これから陛下が良き出会いができるように私からささやかですが選別がわりに番に対する憂いをなくして差し上げましょう。」
「は?」
そう言ってフランはマリアンヌとアリスを呼んだ。
「さあ、マリアンヌこっちにおいで、それからレイン陛下はここに」
マリアンヌをレインを向かい合わせに立たせた。そして……、
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