新しいお仕事は期間限定妻になりました[本編完結]

キャロル

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どうして_貴方がここに_。

彼女レティアは美しいその瞳を大きく見開いてこちらを見た。

約1年ぶりだ。その姿は洗練され高貴なオーラを纏い神々しい程に美しい皇女になっていた。
体が心が震える。うまく言葉が出ない。会いたいと、声が聞きたいと、毎日毎日願い、焦がれた愛しい人にやっと逢えた。
震える足に気づかれない様にゆっくり歩み寄った。

手を伸ばせば届きそうな距離なのに酷く遠く感じる。

「レティ、…レティア皇女殿下20歳の御生誕お祝い申し上げます。皇妃様のご恩情により皇女様との面会の許可を頂けましたので、ご迷惑でなければ少しお話させて頂いても宜しいでしょうか。」

「伯母様が……そうですか…どうぞこちらにお掛けください……あの…できれば以前のようにレティと呼んでくださいますか?殿下呼びはちょっと、…サミシイ」

「…で、では、お言葉に…甘えて…レ、レティと呼ばせて貰います。」
私はレティアの向かいに腰かけた。緊張で口が乾く何を、何から話す?会いたい、話がしたいと願っていたのにうまく言葉が出ない…胸がいっぱいで。



__1年前__、

俺はラグラン皇国に向かうレティを見送った時、不安ながらもきっとすぐ会える、帰ってくると言ってくれたから、必ず戻るはずだと思っていた……話があると伯父国王に呼ばれ嫌な予感がしたが、予想を超えた内容に俺を絶望へと落とした。

全ては浅はかで愚かな俺自身のせいだった。自身の能力、地位、容姿、に驕り思い通りに全てが運ぶと、結婚すら商談と同じいかにこちらに有利に運ばせプライベートを守るか、そんな打算的な行動が初めて愛した人を一度はその手に掴んでいながら、心を掴む事ができず手から零れ落ちて、届かないところへ行ってしまった。


程なくしてレティアのサイン入り婚姻無効書類が届き完全にレティアとの縁が切れてしまった。

絶望に打ちひしがれていたときルーカスから手紙を渡された。

「本当は貴方に渡すのは嫌だったんだ、だが必ず渡して欲しいとお願いされたレティアとの約束だから、不本意だけど、仕方たがないから、置いていく」

渋い顔したルーカスに渡された手紙には綺麗な文字でがたくさん書かれていた。そして最後に書かれていたのが、涙で滲んでいたが“必ず帰ると言った約束を守れなくてごめんなさい“と書かれていた。

生まれて初めてが漏れた。



ごく親しい者は事情離婚理由を知っていて、次の新しい恋人でも見つければすぐ忘れると次々紹介してきた、伯父も婚約者候補にと多くの釣書を持ってきたが断り続けた。俺はレティ以外の女には興味が持てず、近寄られるのも触れられるのも嫌になり徐々に女の存在自体が苦手になっていった。

あんなに浮名を流してた俺がいつの間にか冷血公爵と呼ばれていた。

今なら分かるただ1人唯一愛する人しか要らないという父の言葉の意味が一途な父を見て育ち尊敬していたのになぜ初めから父のように誠実なれなかったのか、過去の自分を殴りたい。

過去の女性関係を振りければ振り返る程俺はクズだったと自責の念に駆られる。きっとこんな男はレティに相応しくないんだろうが、それでも諦めるなんて、忘れるなんて出来なかった。


俺は、とにかく必死に政務に取り組み無心に働いた。少しでも認めて貰いたくて、レティに近づきたくて、いつか逢う事が出来た時に恥ずかしくないように、そんなときラグラン皇国皇女殿下の生誕の祝いとお披露目の招待状が届いたと国王伯父から登城するようにと連絡がきた。


「クラウス、ラグラン皇国より皇女殿下の生誕祝いの招待状が届いたが、王の名代として参加するか?」

「え!ラグラン皇国に?私が行ってもよろしいんですか?」

「ああ、謁見は叶わぬと思うがお祝いの言葉は伝える事はできるであろうからな、ここ1年公務もこなし頑張っているようだからな、褒美だ。」

「あ、ありがとうございます。」

「では、これを、」
皇国の紋章の入った手紙を渡された。

「これは?」

「ラグランの皇妃様よりお前にだ!もしラグラン皇国に来ることがあれば渡すようにと、皇妃様との面会許可証が入ってる。向こうに着いたら、それを持って面会に来るようにと、話がしたいそうだ」



レティアの姿を見ることができる、はやる心を抑えラグラン皇国に向かった。

ラグラン皇国に着き、皇国で紋章入りの手紙を出すとすぐ貴賓室に案内され程なくして皇妃様がお見えになった。

「其方がクラウスか?急に呼び立てて驚いたでしょ」

「皇妃陛下、お初にお目にかかります。クラウス=グランハムと申します。この度は御面会許可を頂きありがとうございます。」

「非公式だから、そんなにかしこまらないでちょうだい。楽にしてくれるかしら。」
気さくな方のようだが、楽になんか出来ないだろう、が、無理ですと言えるはずもなく

「……はい、善処します…。」

「あなたにとって不快な話となりますが聞いてくれるかしら。」

「…はい。」

「以前皇帝はレティアの結婚の経緯やあなた自身の事を密かに調べさせていた。その結果あなたはレティアに相応しくないと判断され、強引な方法を取り婚姻無効にさせてもらったの、その一番の理由はあなたの結婚前の女性関係と多くの女性と楽しみたいという理由での結婚が皇帝忌諱ききに触れた事。
代々皇家の男子は恋愛結婚で伴侶は唯一無二の存在で例外なく一途な家系なの、あなたのお父様も伯父である国王もそうでしょ。だから、あなたみたいな男性は同じ男として受け入れられないの。だから、レティアの伴侶候補の2人を王国に迎えに行かせ、皇国でもずっと側でレティアを支えてもらったのよ。第一候補はグランデ公爵嫡男ジン=グランデ 次期宰相になるわね。彼はレティアのとって最良の相手なんだけど……あなたはレティアと出会ってから、離婚した後も身綺麗な生活を送っているようね。理由を聞いても良いいかしら?」

やはり、あの2人が候補だったのか、ずっとレティアの側にいたと聞かされて胸がジリリと燻る。

「…理由はレティアに出会ってから、私の唯一はレティアだから、レティアを心から愛しています。レティア以外は愛せない…要らない」

「レティアが手に入らなくても?変わらず?誰とも結婚しないの?あなたは王位継承者でしょ、いつか誰かと子を成さねばならないでしょ、」

「……それでもレティア以外とは結婚する気はないです。レティアへの愛だけは貫きます。気持ちを偽りたくない。諦めたくないんです。最後まで、死ぬまで諦めたくないんです。」

「そう、よかったわ」

「…??よかった?」

「明日、一度だけチャンスをあげるわ、レティアに会わせてあげる、あとはこのチャンスを生かすも殺すもあなた次第よ、」

「。チャンス?……(レティアに合わせてもらえるのか…。)あ、ありがとうございます」




__護衛騎士に案内された部屋のドアをノックすると中からアンナが出てきた。__


中に案内されたその先に……ずっと逢いたかったレティアが驚きの表情でこちらを見ていた。
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