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15 資格
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あの日から私は無理矢理心に蓋をし鍵をかけた。
そうしなければ、胸が苦しくて心が潰れてしまいそうだったから。こんなにも私は……既に……。
何度も何度も何度もこれでいい、忘れられる、私は大丈夫、呪文のように自分に言い聞かせ暗示をかけた。
伯母様は時折心配そうに見ていたが、あれから、あの話題には触れて来なかった。私自身も前を向いて皇女としての責務を果たしラグラン皇国の人々の為に力を尽くそうと、より一層勉強に励み、忙しく日々を過ごしていくうちに20歳誕生を迎えの皇女としてのお披露目の日迎えた。
会場では各国の要人が多く主席する中、皇帝陛下に紹介され祝辞の挨拶の後、私は皇帝陛下ご夫妻に挟まれ一段高い位置の席で賓客を見下ろす形になっていた。
会場には1000人位以上の人が出席していて、私の所に次々と各国王族や高位貴族の方、主に独身の方達がこぞって挨拶にきた、あまりの多さと、慣れない賛辞に正直うんざりしていたが、これも仕事、仕事、頑張れ私!と自分に言い聞かせ顔の筋肉が攣りそうなほど笑顔を振りまいた。お祝いして頂いているのだが、流石に疲れたなあと、何気に視線を奥に向けたら……多くの人がいる中、ふと目が合ってしまった。
ウソ!
参加者リストに目を通した時に彼の名前が連ねてあったから、会場の何処かに居るとは思っていたけど……まさか視線が合うなんて、思いもせず動揺して、手にしていたグラスをカチャリと皿に当ててしまった。
……あんなに心に固く蓋をしたはずだったはず……なの…に、ほんの少し顔を見ただけで胸が熱い、苦しい、……じわっと目頭が熱くなる……。
「レティア?どうしたの?気分でも悪くなったの、人に酔ったのかしら?顔色が優れないわ。」
伯母様は私の異変に気づいて心配そうに顔を覗き込んだ。
「え、あ、だ、大丈夫です。緊張しただけです。」
「主だった方の挨拶は済んだから、少し席を外しても大丈夫よ、別室で休みなさい。」
「…で、でも……」
戸惑っっていると伯父様が
「レティア、席を外すしても問題ない、あとは我が適当に足らっておく!休むが良い」
主役が退席するのはよくないと思ったが気にせず早く行けと言う叔父上の言葉に甘える事にした。
「すみません、叔父様、お言葉に甘えて少し休んできます。落ち着いたら、戻ります。」
伯母様と一緒に席を立ち休憩の為に用意された部屋に移動した。
部屋にはアンナが控えていて、暖かい紅茶と私の大好きなマカロンを用意してくれた。私と伯母様はソファに向かい合わせに腰掛け、紅茶を口に含みほっと一息ついたところで伯母様が、少し話を聞いて欲しいと口を開いた。
「レティちゃん、私達はあなたを皇族だからと縛るつもりはないの、もっと肩の力を抜いて、自分の気持ちを押さえつけないで、苦しまないで欲しかったのに…あなたを守りたい幸せになって欲しいと良かれと思ってした事は結果、苦しめる事になってしまったのね、ごめんなさい」
「…そんなこと…ありません、私を大切に思って下さっての事だったと理解してます。苦しめるとか、縛られてるなんてそんな事ありません。」
「それなら、なぜ、心に鍵をかけてしまったの?なぜ、彼への思いを否定するの?確かに貴方達の出会い方は褒められたものではないけれど、それがなんなの?そんな事些末な事でしょ。むしろそれがあったから、貴方達は出会えたのでしょう?彼はレティちゃんにとって心に蓋をすれば簡単に切り捨てられるその程度の存在?」
切り……捨てる?……。そんな事……、
「……それが、…それが出来たらどんなに楽か、…忘れる事が出来たら……時間が経てば忘れられると、人の心は移ろいやすいものだから、彼もきっと私を忘れていずれ誰かと……きっと彼には他に愛する人が出来てる筈だから…だから、彼には幸せになって欲しいから、早く忘れなければいけないと、でも…忘れることが出来なくて、辛くて、苦しくて、……」
いつの間にか、伯母様は私の隣に座り溢れる涙を優しく拭い背中を撫でてくれていた。
「レティアちゃん、誰かを愛する気持ちは、心は自由なのよ、あなたは以前愛される資格はないと言っていたけど、誰かを愛する事に資格なんてそんなものいらないのよ。あなたのお父様とお母様には国を隔て更に大きな身分の差があったのよ。一介の伯爵風情が大国ラグランの皇女に思いを寄せるなんてと、諌めれられても、それでも諦めず一途にお母様を思い続け、愛を伝え2人は結ばれたのよ。ねぇ、誰かを愛するのに資格って必要?愛されることに資格は必要?」
「…………」
「顔を上げて素直な気持ちで前を向きなさい。_じゃぁ、私は先に戻るわね!レティちゃんはもう少し休んでなさい。」
そう言うと伯母様は私の頭を優しく撫でて部屋を出て行った。
私は目に手を当ててしばらくソファにもたれていた。
程なくして部屋をノックする音が聞こえ、アンナが対応していた。すると、アンナに連れられ、誰か部屋に入って来たようだ。
__どうして、あなたがここに?__。
そうしなければ、胸が苦しくて心が潰れてしまいそうだったから。こんなにも私は……既に……。
何度も何度も何度もこれでいい、忘れられる、私は大丈夫、呪文のように自分に言い聞かせ暗示をかけた。
伯母様は時折心配そうに見ていたが、あれから、あの話題には触れて来なかった。私自身も前を向いて皇女としての責務を果たしラグラン皇国の人々の為に力を尽くそうと、より一層勉強に励み、忙しく日々を過ごしていくうちに20歳誕生を迎えの皇女としてのお披露目の日迎えた。
会場では各国の要人が多く主席する中、皇帝陛下に紹介され祝辞の挨拶の後、私は皇帝陛下ご夫妻に挟まれ一段高い位置の席で賓客を見下ろす形になっていた。
会場には1000人位以上の人が出席していて、私の所に次々と各国王族や高位貴族の方、主に独身の方達がこぞって挨拶にきた、あまりの多さと、慣れない賛辞に正直うんざりしていたが、これも仕事、仕事、頑張れ私!と自分に言い聞かせ顔の筋肉が攣りそうなほど笑顔を振りまいた。お祝いして頂いているのだが、流石に疲れたなあと、何気に視線を奥に向けたら……多くの人がいる中、ふと目が合ってしまった。
ウソ!
参加者リストに目を通した時に彼の名前が連ねてあったから、会場の何処かに居るとは思っていたけど……まさか視線が合うなんて、思いもせず動揺して、手にしていたグラスをカチャリと皿に当ててしまった。
……あんなに心に固く蓋をしたはずだったはず……なの…に、ほんの少し顔を見ただけで胸が熱い、苦しい、……じわっと目頭が熱くなる……。
「レティア?どうしたの?気分でも悪くなったの、人に酔ったのかしら?顔色が優れないわ。」
伯母様は私の異変に気づいて心配そうに顔を覗き込んだ。
「え、あ、だ、大丈夫です。緊張しただけです。」
「主だった方の挨拶は済んだから、少し席を外しても大丈夫よ、別室で休みなさい。」
「…で、でも……」
戸惑っっていると伯父様が
「レティア、席を外すしても問題ない、あとは我が適当に足らっておく!休むが良い」
主役が退席するのはよくないと思ったが気にせず早く行けと言う叔父上の言葉に甘える事にした。
「すみません、叔父様、お言葉に甘えて少し休んできます。落ち着いたら、戻ります。」
伯母様と一緒に席を立ち休憩の為に用意された部屋に移動した。
部屋にはアンナが控えていて、暖かい紅茶と私の大好きなマカロンを用意してくれた。私と伯母様はソファに向かい合わせに腰掛け、紅茶を口に含みほっと一息ついたところで伯母様が、少し話を聞いて欲しいと口を開いた。
「レティちゃん、私達はあなたを皇族だからと縛るつもりはないの、もっと肩の力を抜いて、自分の気持ちを押さえつけないで、苦しまないで欲しかったのに…あなたを守りたい幸せになって欲しいと良かれと思ってした事は結果、苦しめる事になってしまったのね、ごめんなさい」
「…そんなこと…ありません、私を大切に思って下さっての事だったと理解してます。苦しめるとか、縛られてるなんてそんな事ありません。」
「それなら、なぜ、心に鍵をかけてしまったの?なぜ、彼への思いを否定するの?確かに貴方達の出会い方は褒められたものではないけれど、それがなんなの?そんな事些末な事でしょ。むしろそれがあったから、貴方達は出会えたのでしょう?彼はレティちゃんにとって心に蓋をすれば簡単に切り捨てられるその程度の存在?」
切り……捨てる?……。そんな事……、
「……それが、…それが出来たらどんなに楽か、…忘れる事が出来たら……時間が経てば忘れられると、人の心は移ろいやすいものだから、彼もきっと私を忘れていずれ誰かと……きっと彼には他に愛する人が出来てる筈だから…だから、彼には幸せになって欲しいから、早く忘れなければいけないと、でも…忘れることが出来なくて、辛くて、苦しくて、……」
いつの間にか、伯母様は私の隣に座り溢れる涙を優しく拭い背中を撫でてくれていた。
「レティアちゃん、誰かを愛する気持ちは、心は自由なのよ、あなたは以前愛される資格はないと言っていたけど、誰かを愛する事に資格なんてそんなものいらないのよ。あなたのお父様とお母様には国を隔て更に大きな身分の差があったのよ。一介の伯爵風情が大国ラグランの皇女に思いを寄せるなんてと、諌めれられても、それでも諦めず一途にお母様を思い続け、愛を伝え2人は結ばれたのよ。ねぇ、誰かを愛するのに資格って必要?愛されることに資格は必要?」
「…………」
「顔を上げて素直な気持ちで前を向きなさい。_じゃぁ、私は先に戻るわね!レティちゃんはもう少し休んでなさい。」
そう言うと伯母様は私の頭を優しく撫でて部屋を出て行った。
私は目に手を当ててしばらくソファにもたれていた。
程なくして部屋をノックする音が聞こえ、アンナが対応していた。すると、アンナに連れられ、誰か部屋に入って来たようだ。
__どうして、あなたがここに?__。
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