新しいお仕事は期間限定妻になりました[本編完結]

キャロル

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番外編 皇太子マクミランの受難

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「殿下、今日はやけにご機嫌ですね。というよりそのだらしない顔やめて貰えませんか!ちょっと気持ち悪いです。」

「なんだと!マイロ!いくらお前でも気持ち悪いは言い過ぎだろ?…確かに…ふふ、…緩んだ顔してるのは認めるが…ふふ、ついにヴィーと正式に婚約する事ができたんだぞ!いいじゃないか少しぐらい緩んだって…しっかり政務はこなしてるだろ?逆にいつもよりはかどってるじゃないか!気になるならこっちを見るなよ!」

「……まぁ、確かに…そうなんですけどね、ヴィオラ様にお気持ちが通じて浮かれたい気持ちはわかりますが…ぐふっ!とか、ムフっ!とか頻繁に聞こえると見たくはないですが流石に目が行きます、顔は…しょうがない…あきらめましょう、ですがその口から漏れる気持ち悪い声は控えてください!」

「……そこまで…言わなくても…いいじゃないか……、わかった…善処する」

相変わらず辛辣な奴だな、こいつが優秀だから返す言葉もないのが悔しいが、長年の片思いが報われたんだぞ!そこは喜びを分かち合う所だろ?全くマイロと話しているとまるで母上と話をしてるようだ!以前は母上の部下だと言っていたが…辛辣さが似ている、きっと母上が男だったら、こんな感じじゃないか?

いや、母上が男だったら……ブル!…考えるのはやめよう、ただ、間違いなく父上とは女性の好みが違うのは確かだという事だ…。

………皇妃としての母上は完璧だ!人心収攬、政治手腕は父上に引けを取らない能力を持っていて尊敬しているが……それは結婚してから発揮された能力で…結婚前はレティア王妃様の侍女だったと聞く……元から歯に衣をきせぬ物言いだったらしいがこんな辛辣な母上のどこに父上は惚れたんだろう?

「そういえば、殿下はもうすぐ卒業ですが、ヴィオラ様に飛び級の話をされて断られたらしいですね!」

「ぐ!…なんでそれを…ヴィーには断られてはいない!2年飛び級して一緒に卒業する事は叶わなかったが…1年飛び級してくれることになった、……一応、皇子妃教育もあるし……成績も優秀で既に卒業に必要な単位は1年目取得していたからな!それにヴィーは承諾してくれたのに…婚約発表の後の披露宴で母上に邪魔されたんだ!」




____婚約披露宴会場の皇族席にて____

「ヴィオラ、アンナは今日この日を迎えることができてどんなに幸せか、これからは私のことをおば様ではなく、おかあ様って呼んでくれるかしら、」

「はい!…お、おかあ様…」

「あー、もう、なんて可愛いのーヴィオラが娘になってくれる決心をしてくれたなんて嬉しいけどマクミランにはもったいないわね!いいの?ほんとに?」

「え!あ、」

「母上!なんてこというんですか!いいに決まってるじゃないですか!それにヴィーは飛び級して私と一緒に卒業して半年後には結婚するんですから!」

「飛び級?卒業?すぐ結婚?……マック…いつも言ってるでしょ、寝言は寝て言えと……そんなこと許可しません!ヴィオラはまだ16歳です。どんなに早くても18歳になるまでは結婚の許可は出しません、ですから飛び級は却下です!」

「…(くそ、母上はヴィーに関しての事は言い出すと聞かないからなぁ)ですが、既にヴィーは卒業資格を得てますし、皇子妃教育もあります。結婚は……準備もありますから…18歳まで…待ちますが、卒業は私と一緒でもいいと思いますが」

「…うーん、将来の皇妃としての教育ねぇ、確かに学園と両立は負担があるわねぇ」

「(よし、もう一押しかな、)そうですよ、将来の皇妃として母上から主外国の要人について学ぶことがたくさんありますからね」

「……マック、…ふ!…まだまだ、青いな!…ヴィオラは王族よ!その辺の貴族のバカ娘と一緒にしてはいけないよ!語学は主要5ヵ国語は勿論、各国の要人我が国の貴族名鑑は既に頭に入っている、皇子妃教育?そんなもの必要ないくらい優秀なことはお前が1番よく知っているんじゃないの?そんな小細工しないで素直に側に置きたいからと言えばいいものを、…却下だ!」

そうだ!レンフルー国王のクラウス様ヴィオラの父の言うことなら聞いてくれるかも、

「そんなぁ、…クラウス様ヴィオラの父は許可してくれましたよね、母上を説得してください!」

「……すまない…マック……確かに許可はしたんだが…アンナを止める事は…私には無理かな…それができるのはレティだけ…かな」

母上…あなたは一体…何者ですか?一国の国王が…無理だって…苦笑いって…

レティア様ヴィオラの母お願いです…母を…説得して貰えませんか?私は…長い間ヴィーに片思いしていたので思いが通じた今、もう片時も離れたくなくて…」

「ふふ、(なんか昔のクラウス様みたい)アンナ、これ以上は可哀想よ!…そうね、間をとって飛び級1年と言うことで、ヴィオラはあと1年学園に通い卒業してから1年後に婚姻ってことでどうかしら?どちらにしてもヴィオラが18歳の誕生日を迎えての婚姻になるでしょ!アンナ、それで、いいわね!」

「レティア様がそう仰るなら、…それに従います。」

ああ、流石レティア様!母上と違ってお優しい、

「レティア様、ありがとうございます。」

「ふふふ、マック、ヴィオラをよろしくね!それといずれ親子になるんだから、私の事はおかあ様って呼んでね!クラウス様の事はおとう様よ!」

「はい、おかあ様、おとう様ヴィオラはお任せ下さい。」

ふぅ、1年かぁ、長いなぁでもそこは我慢しなければ…ここにきてこの4人のパワーバランスが垣間見得てしまった。

この4人の最強はヴィオラの母レティア様だ!あの猛獣が借りてきた猫のようになっていた。

不本意だが後1年はルークの世話になる事になるのか……




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