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2章 ニート、交友関係が広がる(1名)。
ニートは手紙と乳首が気になってしょうがない。
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解放されて数日。未だ時折乳首を見るたびむずむずとする後遺症を患ってしまった俺は、ソファでだらだらとする俺の枕元に座る旦那さまに、ここであったが百年目とばかりに文句をたれることにした。
「旦那さま」
「どうした?」
旦那さまは手にしていた本を閉じて一度立ち上がり、何故か俺の顔の横に手をついて覆いかぶさってから、俺の顔を覗き込む。珍しくメガネな旦那さまは、いつもと違うイケメンである。でもイケメンだろうと俺の乳首を弄んだ罪は重い。有罪であるから、それ相応の謝罪を要求したいと思う。
「旦那さまが舐めすぎるので、乳首がまだ変な感じがします」
「……」
ぶーぶーと不満たらたらに言いつつ、彼のメガネに手を伸ばして外してやる。これで本を読めまい。地味な嫌がらせに満足していたら、そのまま旦那さまの顔が近づいて来て、かぷりと唇ごと覆い尽くされる。案の定口の中も荒らしまわられたので、多分乳首がダメなら口はいいだろう理論が適用されたのだと思う。ああ言えばこう言うタイプの騎士さまだ。
追い出そうとしても舌を絡めとられるので即失敗するし、両手はあっさり捕まったのでニートは無力。
むーむー言って抗議を示せば、物凄く不満げに一瞬だけ唇が離されたので、過去一番のスピードで彼の口元を手で覆ってガードする。
「口ならイイとは言ってません!」
「どう考えても今のはお前が悪かった」
「なんでですか」
というより、俺は未だになんで旦那さまが怒ったのか教えてもらえていない。忘れてた。思い出したので聞いてみれば、男としてのプライドの問題だったらしい。掘られる側と思われるのは屈辱だとかなんとか。え? それって俺にプライドが無いってこと? そうだよ。
「それから、結婚相手……お前に、他の男とのセックスを想像されるのは我慢ならない」
「……た、たしかに」
俺に仮にかわいい奥さんが居たとして、その奥さんから、俺が友達とえっちするなら主導権は友達の方だよね! とか言われたら地獄かと思う。なるほど、無神経ニート重罪。旦那さまも俺の乳首を弄んだ罪があるので、お互い様ということにしよう。有罪と有罪を掛け合わせて無罪理論だ。マイナス同士を掛け合わせたらプラスになることもある。
しょんぼりした俺は、素直に謝罪の姿勢を見せておくことにする。ニートにプライドはないが、申し訳なく思う気持ちはちゃんとある。
「す、すみませんでした」
「あぁ。もういいか?」
「はい、……っぁ、違います! もういい、は、していいよじゃあないです!!」
「チッ」
盛大な舌打ち。さすがえっち乳首好き騎士。乳首への執着が尋常ではない。しかし、俺も自分の乳首を守る義務がある。なんかちょっと大きくなった気すらするし、服に擦れて気になるようになってきたのが困るのだ。俺の乳首を守れるのは俺だけなので、気持ちがいいとはいえ、乳首禁止令を出させていただく。
そんなすったもんだの無駄な攻防を続けていたら部屋の扉がノックされたので、はぁいと返事すればクルクルお髭の家令が現れて、その手には白い封筒があった。何だろうと思って見ていれば、丁寧なお辞儀と共にそれが差し出される。
「ルシア様にお手紙でございます」
「ルシアに? どこからだ」
差し出された手紙を旦那さまが横からかっさらい、疑わし気に見ているが、俺も誰からなのか気にかかる。親は俺に興味もない筈だし、上の兄たちはもっと疎遠だ。執事はついて来てるし、前の屋敷ではメイドさんたちも無駄口をたたかないタイプのプロ集団だったので、ハーレムも不可能だった。哀しみ。
手にした手紙をひっくり返して裏面をじっと見つめる旦那さまが、眉を寄せて読み上げる。その名前に、俺は覚えがあった。
「クドラス・クウィード?」
「え」
思わず飛び起きて、旦那さまが手にしている手紙を覗き込む。確かに、とても見慣れた美しい文字がそこにあって、思わずじっと食い入るように見つめてしまう。
手紙に手を伸ばせば、すっと遠ざけられたから、中身が気になる俺はむっとしてしまった。俺への手紙なのになぜと聞けば、だからこそだと彼は言う。うーん、確かに敵国のニートだから、中身を疑われるのはそりゃそうか。最近えっち騎士のイメージが大きすぎてもはや忘れかけていたけど、俺と旦那さまは敵国の貴族同士だったわけで。そりゃピリピリしてもしょうがない。
「これは、誰だ」
「え、と」
ぐっと俺の腰を抱く彼が、額を合わせて問うて来る。特に隠すことでもなかったから、俺は素直に口を開いた。
クドラス・クウィード。彼は。
「俺の、元旦那さま、です」
――婚姻について、話し合うべき点がある。
そう書かれた手紙には、こちらの屋敷を訪問したいという言葉が記されていたのだった。
――――――――――――――
2章 ニート、交友関係が広がる(1名)。 終
――――――――――
あとがき
お読みいただきありがとうございました。
続きが気になる、など思っていただけましたら、
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「旦那さま」
「どうした?」
旦那さまは手にしていた本を閉じて一度立ち上がり、何故か俺の顔の横に手をついて覆いかぶさってから、俺の顔を覗き込む。珍しくメガネな旦那さまは、いつもと違うイケメンである。でもイケメンだろうと俺の乳首を弄んだ罪は重い。有罪であるから、それ相応の謝罪を要求したいと思う。
「旦那さまが舐めすぎるので、乳首がまだ変な感じがします」
「……」
ぶーぶーと不満たらたらに言いつつ、彼のメガネに手を伸ばして外してやる。これで本を読めまい。地味な嫌がらせに満足していたら、そのまま旦那さまの顔が近づいて来て、かぷりと唇ごと覆い尽くされる。案の定口の中も荒らしまわられたので、多分乳首がダメなら口はいいだろう理論が適用されたのだと思う。ああ言えばこう言うタイプの騎士さまだ。
追い出そうとしても舌を絡めとられるので即失敗するし、両手はあっさり捕まったのでニートは無力。
むーむー言って抗議を示せば、物凄く不満げに一瞬だけ唇が離されたので、過去一番のスピードで彼の口元を手で覆ってガードする。
「口ならイイとは言ってません!」
「どう考えても今のはお前が悪かった」
「なんでですか」
というより、俺は未だになんで旦那さまが怒ったのか教えてもらえていない。忘れてた。思い出したので聞いてみれば、男としてのプライドの問題だったらしい。掘られる側と思われるのは屈辱だとかなんとか。え? それって俺にプライドが無いってこと? そうだよ。
「それから、結婚相手……お前に、他の男とのセックスを想像されるのは我慢ならない」
「……た、たしかに」
俺に仮にかわいい奥さんが居たとして、その奥さんから、俺が友達とえっちするなら主導権は友達の方だよね! とか言われたら地獄かと思う。なるほど、無神経ニート重罪。旦那さまも俺の乳首を弄んだ罪があるので、お互い様ということにしよう。有罪と有罪を掛け合わせて無罪理論だ。マイナス同士を掛け合わせたらプラスになることもある。
しょんぼりした俺は、素直に謝罪の姿勢を見せておくことにする。ニートにプライドはないが、申し訳なく思う気持ちはちゃんとある。
「す、すみませんでした」
「あぁ。もういいか?」
「はい、……っぁ、違います! もういい、は、していいよじゃあないです!!」
「チッ」
盛大な舌打ち。さすがえっち乳首好き騎士。乳首への執着が尋常ではない。しかし、俺も自分の乳首を守る義務がある。なんかちょっと大きくなった気すらするし、服に擦れて気になるようになってきたのが困るのだ。俺の乳首を守れるのは俺だけなので、気持ちがいいとはいえ、乳首禁止令を出させていただく。
そんなすったもんだの無駄な攻防を続けていたら部屋の扉がノックされたので、はぁいと返事すればクルクルお髭の家令が現れて、その手には白い封筒があった。何だろうと思って見ていれば、丁寧なお辞儀と共にそれが差し出される。
「ルシア様にお手紙でございます」
「ルシアに? どこからだ」
差し出された手紙を旦那さまが横からかっさらい、疑わし気に見ているが、俺も誰からなのか気にかかる。親は俺に興味もない筈だし、上の兄たちはもっと疎遠だ。執事はついて来てるし、前の屋敷ではメイドさんたちも無駄口をたたかないタイプのプロ集団だったので、ハーレムも不可能だった。哀しみ。
手にした手紙をひっくり返して裏面をじっと見つめる旦那さまが、眉を寄せて読み上げる。その名前に、俺は覚えがあった。
「クドラス・クウィード?」
「え」
思わず飛び起きて、旦那さまが手にしている手紙を覗き込む。確かに、とても見慣れた美しい文字がそこにあって、思わずじっと食い入るように見つめてしまう。
手紙に手を伸ばせば、すっと遠ざけられたから、中身が気になる俺はむっとしてしまった。俺への手紙なのになぜと聞けば、だからこそだと彼は言う。うーん、確かに敵国のニートだから、中身を疑われるのはそりゃそうか。最近えっち騎士のイメージが大きすぎてもはや忘れかけていたけど、俺と旦那さまは敵国の貴族同士だったわけで。そりゃピリピリしてもしょうがない。
「これは、誰だ」
「え、と」
ぐっと俺の腰を抱く彼が、額を合わせて問うて来る。特に隠すことでもなかったから、俺は素直に口を開いた。
クドラス・クウィード。彼は。
「俺の、元旦那さま、です」
――婚姻について、話し合うべき点がある。
そう書かれた手紙には、こちらの屋敷を訪問したいという言葉が記されていたのだった。
――――――――――――――
2章 ニート、交友関係が広がる(1名)。 終
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あとがき
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