無能な俺が、年下騎士さまの溺愛ゲージを溜める話。

ツキハ|BL小説

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3章 ニート、勘違いを知る

※ニートは六度目に自信ニキ。

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 名前で呼んでよいか聞いたら、旦那さまは何度か口を開いては閉じるだけの機械になってしまったが、無事承諾をいただけたので何よりだ。これはいけるぞと思ったので、今日は少し俺に任せてくださいと胸を張って、旦那さまのバスローブの前をくつろげてやる。

 執事にもらったメモ曰く、男性器というのは気持ちがよいところが大体決まっているらしく、そこを触れてやればかたくすることくらいは俺にも出来るとのことだった。なるほど確かに、自分で触るくらいなら俺も普段たまにやるし、それくらいならいける。

 一つ誤算だったのが、意気揚々と目にしたものが、わりと既に臨戦態勢だったことである。……何故だ。まだ俺は何もしていない。今日は普通のワインだったはずだし、実際俺はお酒のほろ酔いくらいで何ともない。ふにゃふにゃの小さいやつを俺の力で立派に育て上げるぞの意気込みでいたら、バッキバキのムキムキマッチョが目の前に現れた気持ちだ。何という裏切り。もしかしてこれが旦那さまの通常形態だというのだろうか。

 その可能性も加味して、両手で目の前のモノを包み込むようにしてみる。親指のはらでくびれたところを撫で擦っていたら、手の中で脈打つ感じがして謎の感動があって、教えてもらった通りに反応があるのが結構楽しい。そう言えば濡れていた方が気持ちが良かった気がするなあと思って、何となく唇を近づけて舐めたのだけど。

「あ、ローションがあったのでその方がいいですかね」
「……」

 ちらと見上げた旦那さまは、なんだか見たこともないくらい目が血走っている気がしてちょっと引いた。え、何? 舐めたのがそんなに許せなかった? でも旦那さまも普段俺の乳首をめっちゃ舐めるし吸うから同罪ではなかろうか。そう思って、ムッとしながら言葉を続ける。

「旦那さま……レガルさまだって俺を舐めたりするじゃあないですか。俺がするのは嫌なんですか?」
「嫌ではない」

 ちょっと食い気味に返答が返ってきて、その間何となく指先でむにむにと旦那さまのそれを揉んでいたのだけど、さっきよりかたくなってきた気がするし、謎の達成感を感じる。育成ゲームをしている気分。というか。

「あの、じゃあなんで少し震えるんでしょうか」

 あとついでになんだかじりじりとこちらに迫ってきている気がする。唇を寄せていた体勢から上半身を起こして、むに、と手元の感触で遊んでいたら、名前を呼ばれてそのまま唇ごと覆われる。これは発見なのだが、この状態でレガルさまのものを指先で擦ると、呼吸が乱れてうめき声が漏れるから反応がよくわかって楽しい。

 わくわくしていた俺はそのまま続けて触れていたけど、調子に乗り過ぎたのかもしれない。貪るように深い口付けの後、首筋から胸元まで食まれて、正面から抱えられるような形で抱き寄せられると、一旦俺を抱えたままローションを取りに行ってそのまま膝の上で尻に指が入れられる。

 流石のテクニシャンなのであっという間に気持ちがよいところをこねられて、目の前の彼の首筋に顔を埋めて震えてしまう。これは俺への挑戦状に違いない、なんとしてでもこの手の中のものを気持ちよくさせてやると意気込むが、先走りで濡れたそれが卑猥な音をたてるので、尻に入った時のことを考えてしまって俺の方が指を後ろで締め付けて気持ちよくなる羽目になった。ウカツ。

「う、ぁ、そこばかり、するの、やめて、くださぃ」
「気持ちがいいならいいだろう」
「そうやって、いつも、俺の限界を無視されるから、言って、るんです」

 ええい、仕返しである、と思って手の中のそれをぎゅっと握るけど、息が荒くなった彼の指が中で暴れまわる逆効果になって、巡り巡って俺がひどい目にあった。情けは人の為ならずとはきっとこのことだ。あれって人のためにしたことが自分に巡り巡って返ってくるって話だと聞いたことがある。俺は詳しいんだ。

 へにゃへにゃになっていたら、少し体を持ち上げられて、尻にぐぷりと沈み込む感触で我に返る。待て、結局俺が育てた旦那さまのアレは一度もイっていない。そのことについて文句を言ったら、うるさいとばかりに一気に貫かれて目の前がちかちかとした。

「ぁ、ぅ、っや、れがる、さま、まって」

 身じろぎ一つできないくらいがっちりと上半身を抑え込まれたまま、何度も突き上げられる。そのたびに中からずんとした気持ちいいものが脳までクるから、ただでさえ馬鹿な脳みそがIQ1くらいになりそうだった。

 何とかして快感を逃がしたくて、目の前の首筋をがじがじ噛んでいたのだけど、耳元で聞こえる吐息が荒くなるばかりでマシにはならない。くぐもった声をあげて震えても、お構いなしに揺さぶられるから、いつにも増してえっち騎士が暴走しているに違いなかった。いったいどこまで変態になってしまうのかと戦慄している俺を、一度達して少し落ち着いた彼がのぞき込んでくる。

「ルシア」
「なんですか、れがるさま」
「お前は、私と居て、幸せか」

 ぱちりと目を瞬かせれば、じっとこちらを見る藍色が揺れている。また何か不安に思っているように見えたので、手を伸ばして唇を寄せておく。

「そうじゃなかったら、ここに残るなんて言いませんよ。あ、そうだ」
「なんだ?」

 こちらを見る目が安堵で和らいだので、俺は嬉しくなって、もっと安心させてやりたいなと思う。

「俺は旦那さまがド変態でも嫌いにならないので、安心してくださいね」
「……は?」

 慈愛に満ちた目をしてやった俺は、満足感を抱いて頷く。旦那さまはバレていないと思っていたのだろうが、こうもされれば俺とて分かってしまうんだよねえ。

「待て、ルシア。なんだ、その変態というのは」
「? レガルさまは変態ですよね?」
「……違う。断じて」
「でも俺の乳首を舐めました」
「……」
「あと、特に美人でもなんでもない俺と何度もシてくださるし」
「……は?」

 ご自分がヘンタイだと言うことを認められないのだろう。物凄く動揺していらっしゃるが、哀しいことに事実だ。認めてしまった方が楽になるというもの。やがてふっと小さく笑った彼が、確認なんだがと言うので聞いてやることにする。

「ルシア。お前は私がこうして抱くのは、練習ではないともうわかっているな?」
「はい、もちろん」
「婚姻を結んだ間柄の行為だともわかっているな?」
「? はい」
「なら、私がこうやってお前の中を暴くのは」

 挿れたままのモノを揺さぶられて、不意打ちに小さく吐息が漏れる。なぜこうするのか理解しているかと問われるから、首を傾げながら答える。

「レガルさまの性欲と変態性の発散ですよね?」
「……ルシア」
「はぁい」

 軽く口付けられた後、深い深いため息とともに。

「私がお前を抱く一番の理由は、そうではない。一か月やる。その間に答えを出せないなら」
「だ、出せないなら……?」
「次は1週間起き上がれない生活をするのもいいだろうな」

 間抜けにも口を開けたまま固まる俺に、もう一度容赦のない快楽の波が押し寄せてくる。流石に冗談よなと思ったけど。そこから5日、ほとんどベッドの住人になった事実からして、多分アレは冗談ではないのだと、俺はベッドの上で震えあがったのだった。

 ――俺は気持ちがいいのは好きだけど、激しすぎる気持ちがいいのには、限度ってものはあるのである。




3章 ニート、勘違いを知る。 終
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