無能な俺が、年下騎士さまの溺愛ゲージを溜める話。

ツキハ|BL小説

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4章 ニート、陽当たりを愛ス。

ニートは七度目に気付かない。

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 俺はレガルさまについて知りたいことを次々に聞いた。チェリーワインくんに騙された時のこととかも気になったし、ちっせえバナナ事件が別に卑猥では無かったと知った時の衝撃たるや筆舌に尽くしがたし。ついでにレガルさまが滅茶苦茶不貞腐れてしまったので面倒が二倍。こちらを責める口調を隠しもしないあたり、よほどショックを与えてしまったらしい。申し訳ない。

「とんでもない勘違いにもほどがある。お前は私のことをそんなことをする奴だと思っていたのか」
「い、いや、あの。だってご友人とは恋仲あるいはそれに準ずる仲だと思っていたので」
「浮気を疑われていたのか……」

 悪化した。俺に抱き着いたままくどくどといかに傷ついたかを述べる彼に対し、どうしたものかなと考えていたら、ふと思い出したことがあったのでそれも聞くことにする。

「そういえば、レガルさまはなぜ俺を最初外出禁止にしていたのですか」
「……そ、れは」

「ついでに申し上げますと、国同士の政治的婚姻の相手に不便を強いた件についてもお聞きしたいですね」

 言いよどむレガルさまに対し、部屋に入って来て白けた目をした俺の執事が追加の質問を投げるので、レガルさまが更に呻く。

「俺は気にしてないんだけどなぁ」
「ルシアさまがおかしいだけですので」
「ふーん」

 言いたいことは言ったのか、まだ仕事があるとそそくさと出て行った執事を見送れば、くぐもった声が胸元から聞こえてきて、それが謝罪の言葉であると分かって目を丸くする。

「なぜ謝罪を?」
「屋敷の人間に対し、お前の扱いを適当にしておけと伝えたのは私だ。悪しざまに言っていたのも確かだから」
「……レガルさま。それだったら、俺が失礼な勘違いをしていたのも大概ひどいので、お互い様かもしれません」

 ぎゅっと頭ごと抱きしめつつそんなことを言ってみたが、正直、俺は全くのノーダメージどころか喜んですらいたので成立しない理論なのだ。しかし、ずるい無能ヒキニートたる俺はいけしゃあしゃあと付け込むことにする。俺はレガルさまに怒られたくないのである。怒られると1週間起き上がれなくなる。でもよく考えたら、起き上がれなくてもすることはないので実際そんなにダメージはないかもしれない。

 どうだ!? と様子を窺っていたら、お前はそれでいいのかと不安げにされるから、流石に俺の良心が痛んでしまったので、企みは数秒で頓挫だ。

「もちろん。というかですね……俺の場合は待遇に不満どころか喜んでしまっていたので、実のところ、レガルさまは何にも悪くないんですよ」
「はは。ここは陽当たりはいいからな。外出も苦手なようだし」
「そうなんです。でも、なぜ嫌われかねないことしたんですか? 相談した上で、あとはお互い適当に過ごせばよかったのでは」

 疑問をぶつければ、何故かレガルさまの目が激しく泳ぐ。怒らないので教えてくださいと告げれば、少しして観念したのか、ようやくこちらを見てくれた。

「苦手なんだ」
「何がです?」
「その、相手に配慮するとか、そういうのだ。興味がないことに時間を割きたくない。私が面倒だったから、全部家令に丸投げしたんだ」

 ぽけっと口をあけて見つめ返せば、再び俺の胸元に顔を埋めて見えなくなってしまった。たぶん、世間一般的にそういうのは、ニートと同じとまで言わないが大分ダメなやつだ。仕事に近しい婚姻なのだから、本来はちゃんとすべきところのはず。まあ俺こそ何にもしていないので、レガルさまを責める理由も意味もない。

 割れ鍋に綴じ蓋、という言葉が思い浮かぶくらいには、意外とレガルさまもダメなところがある。おかしくなってしまって震えていたら、怪訝そうにした彼がちらとこちらを見て来るからもう駄目だった。 

「ふふ、レガルさま、意外と人付き合いの面ではダメなところがおありですね」
「ぐ……、私はアズヴァンと違って、そういうのに価値は見出さないだけだ」
「その口ぶりからすると、前にもトラブルがおありですか」
「……大したことは起きていない」

 絶対うそだ。本当に大したことが無いならそんなバツが悪そうな顔はしない。その顔を見ていると、なんだかとても、こう、彼が喜ぶことをしてあげたいという気がしてくる。お詫びと言ってはなんだが、それはとてもいいアイデアに思えた。

「そうだ。レガルさま。俺はレガルさまに酷く失礼なことをしたので、何かお詫びがしたいです」
「詫び? いや、気にしなくとも、」
「なんでもいいですよ!」

 遠慮しようとした彼に、ふふんとドヤ顔をしながら付け加えたら、一瞬レガル様の動きが止まる。なんぞやと首を傾げれば、本当かと確認されるので、また首を傾げつつ頷く。

「言質はとったぞ」
「はぁ。そうですね?」

 なぜそんなに念入りに確認をなさるのか。疑問に思っていたその答えは、合わさった唇の後、意外とすぐに判明するのだった。
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