恋する総受け悪役令息は、好意と押しに弱い。

ツキハ|BL小説

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2章

イケメンは補足次第リストに入れろ。

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「シア様。知らない人について行ってはいけません」
「い、いや、助けてもらったし……悪い奴じゃないなーと」
「うーん。確かに軽率だったな、シア様。ってかなんだ? あんた子供扱いされてんの?」

 渋々正直に真実を告げた俺をみながら、アレクは唇を戦慄かせて俺の両肩を掴み、ぐっと顔を覗き込んでくる。しどろもどろになりながら言い訳をすれば、余計にアレクの目は厳しくなって、横からミザイアの揶揄いがとんでくる。

 笑うミザイアを一睨みしてから、アレクがじっとこちらを見てくるので、渋々視線を合わせた。


「シア様。お願いですから、もう二度と、お一人で出歩くような真似はしないでください」

 俺に向けられた、なんだか普段のアレクとは結び付きづらい程に圧を感じる目と声に、あぁ、これ、本気で心配かけたのかと、今更すぎる実感が襲ってくる。

 俺はゲームの流れを知っていて、だからこそレオンとアレクを二人で居させることにばかり気をとられていたけれど、アレクはそんなこと知る由もない。


 自分が案内をしていた筈の相手が急に消えたとなれば、何かあればアレクの責任にもなるのだ。そんなことすら気付かず、いや、軽視していたのはきっと、俺がどこまでも自分本位だったという証左で。

「……ごめん、アレク。せっかく連れて行ってくれたのに、台無しにして、心配もかけて」
「違います。俺は、台無しにされたとか、そんなことは思っていません。それに」

 アレクの指先が、俯きがちだった俺の顔にかかる髪にふれて、少しためらったのちに、そのまま頬にのばされる。

「シアさま。俺は決して、レオンを友人以上に見ることは無いし、シアさまよりも優先することもありません」
「……え?」




 え? ……えっ?





「で、でも、アレク。俺が水魔法をかけてしまった時には、レオンと会うなって言ったら断ったじゃないか」

 聞き捨てならない言葉が耳を貫いたので、驚愕に目を見開いて、一歩、自ら身を乗り出すようにしてアレクに問えば、俺が胸元で握り締めていた片手に、アレクのもう片方の手が重なって、ゆっくりとほどかれる。


「あの時のシアさま、明らかに様子がおかしかったですし、友人に会うなと言われても困るでしょう? だからですよ。他意はありません」
「は……」


 つまり。アレクは。


「レオン様のことを好きではない? これっぽっちも? 前と変わりなく?」
「ええ。むしろ頭が固いなとか、素直じゃないなとか思うくらいですよ」


 ……なんということでしょう。アレクの目には一点の揺らぎもなく、むしろ優しく微笑む瞳からあふれる善人オーラで目がつぶれそうなくらいだ。

 どうりでお出かけイベントも何もこなしていない筈だ。俺が嫌がらせをしていたという事実があったから、てっきりアレクはレオンルートに居るものだと思ったのに。

 これは、非常にまずい。何しろ俺はゲーム実況を見ただけのスカスカゲーム知識しかない。……まてよ? 街で襲われたのも、もしかして別ルートの可能性があるのではないか?



 とんでもない可能性に思い至って、血の気が引く。不安げに視線をさ迷わせる俺を見てか、アレクが俺の手を強く握りこんで、頼もしい言葉をかけてくれるが、ちょっとそれどころではない。


 

 一体誰だ。アレクは誰のルートに入るんだ。と、ぐるぐると考えていると。

「はいはい、ストップ。それ以上おさわり禁止な」
「……あなたに指図されるいわれはないと思いますが。俺はシアさまの友人なんです」
「へえ。なら、節度ある友達付き合いを推奨するわ」


 先ほどより近い位置にあったアレクの顔と俺の顔の間に、遮るように手が差し込まれる。よく通る声、イケメン、目立つ容姿、何故か学園に入れる男……。




 ……ん?






 ――この世界に、攻略対象は4人いる。そして、俺が容姿を知らないキャラが、一人だけいる。レオンルートの1年目は基本学園内で完結しているから、きっと4人目はルートで出てこない外部のキャラなのだろうと実況者は口にしていた。






 スッと頭の中がクリアになって、なるほどそりゃそうだよな、こんな強いイケメンただのモブじゃないよなと納得する。






















「お前かよ!!!!!!」


 イケメンは、見たら攻略対象だと思え。過去の自分にかけたい言葉としては、それが第一である。
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